重み。
自分がまるで、世界から切り取られた異物のように思えてくる。
重力は人間を地上に繋ぎ止める鎖のような生を感じる重みであるならば、この重みの正体は。
勤務後の更衣室で取り囲まれる私。巡る思考の末、渡されたのは誕生日プレゼントであった。帰路を共にすることになった一人の後輩から説かれるのは恋愛についてで……。
理解ができない話の中へ身を投じている時の、あの何とも言えない感じ。この作品の中で重みとして表現されている感覚が、私の淡々とした独白のような語りと相まって、物語冒頭から主人公に対する理解度と自分の思考とのリンク度が凄まじかったです。
外側から受ける明るいものに対しての、内側から湧き出る暗いもの。同僚のテンション感と私のテンション感。日々を生きる上で生まれる表と裏が、繊細な心理描写によって表現されているようでした。
受け入れなければならない苦悩や、生きている上で感じる重みと葛藤している方に是非、読んでもらいたい作品です。
素晴らしい作品をありがとうございました。