苛立ちと千円

@88memi88

第1話 ホッケ

「傘って雨の日に忘れるとめちゃくちゃ辛いのに、

降ると思って降らなかった時の傘ほど邪魔なものはない。

傘って都合のいい存在。傘みたいな女にはならないでおこう、、。」


そんなことを考えた今日、ちゃんと雨が降った。

傘を持っていた。先週コンビニで買う羽目になった傘を。



月曜日から金曜日、

基本的に8:45には御茶ノ水駅に到着する。


私の仕事は一応事務。

ただ、想像して頂くものとはかなり違うだろう。


ファッション業界とでも言っておこうか。

そこで商品が出来上がるまでの材料を用意したり、

営業部の人に言われた材料の仕入れ処理をしたり、、、

ゴミ捨て、掃除、雑用など、社員の方達のお手伝い。


お昼休憩は1時間。

お弁当か、コンビニ。

コンビニでは300円程度使う。


そして夜、700円程度。


そう、タイトルの千円とは、

私が1日に使う金額である。


それをいかに有意義に、

美味しく、幸せに使えるか。

私はそれに妥協をしないと決めている。


自分の機嫌は自分でとる。


とても難しく、孤独になる時も多い。

誰かに「幸せを頼んだー!」と

全て投げてしまいたくなる。


それでも、

ちゃんとマスクの下に苛立ちを隠し、

頑張った自分を甘やかしてあげたい。


そんな気持ちから始まった千円生活。


貧乏ではない金額だと思っている。


贅沢と思われるかもしれない。

だけど、今のところやめる予定はない。


ちなみに今日のご褒美は、

夜、毎日1缶飲むビールと

ホッケ!(30パーセントオフ、2切れで299円!!)


これからここには、

こうして美味しいおつまみとビール。

都会で募る疑問と、苛立ちを書いていく。


最初の1歩の今日、

私は今、なすなかにしのコントをBGMに、

もうあと1切れあるホッケを焼くか否か、

ビールを飲みながら、幸せな悩みに思い耽っている。


東京は雨。

家の中で聞く雨の音は、悪くない。





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