もうそれ以上、人は増えない 死人の国

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 見る景色全てが人。


 その数は数えきれない。


 そこは死人の国だ。


 国はたくさんの死人であふれかえっている。


 とてもではないが、誰かが歩いたりするスペースは存在しなかった。


 だから死人たちは困っていた。


 見ている人がいたら、これ以上増えたらどうしようと心配になるだろう。


 けれど、そうはならない。


 それ以上スペースは狭くはならない。


 その国は狭くはならない。


 それは幸いである。





 そもそもなぜ、どうしてそんなに人であふれかえってしまっているのか。


 それは、たくさんの人が死んだから。


 一日に何十、何百万人もの人が死んだから。


 普段は、そんな事はない。


 決して少なくはないけれど、数えられなくなるくらいではなかった。


 何十、何百万人と表すような規模ではなかった。


 けれど、今は普通ではなかった。


 普通ではない事が起こった末に、そうなってしまった。


 死人の国はどこもかしこも人だらけ。


 それは、なぜか。


 それは。


 世界が滅んだからである。


 とても大きな災いが起こって、魔王とか最終魔術とか、色々なものが様々した後、目を覆うような悲劇が起きた結果に、世界が滅んだ。


 だから、彼等はいま困っているが、これ以上困る事はもうないだろう。


 幸いである。


 だって世界がないなら、人はもう生きてはいない。


 それ以上そこに人は増えないのだから。


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もうそれ以上、人は増えない 死人の国 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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