第4話 だれか‥。お母さんが襲われて!

実は有希子の父親は事故で亡くなっている。

父親もまたトラックの運転手だったのだが、積み荷の過積載でカーブを曲がりきれずに死んだことになっていた。


有希子の母親は、夫が真面目な性格だということを知っているので、過積載などあり得ないと、会社にも警察にも訴えたが、誰も話を聞いてくれなかった。警察はしっかりとした調査もしないまま、夫の自己責任ということで、調査を打ち切ったのだ。それから、有希子の母親は警察を嫌っている。


それから1か月が過ぎ、有希子は夏休みを迎えていた。

そんなある日の夕方。


有希子は母親と買い物帰りに河原を歩いていた。

近くの河川敷では、少年野球の試合をしている。


「ねーお母さん。最近仕事が忙しいの? 休みが少ないよ――」


ドンッ


「きゃっ!?」


有希子は衝撃を食らった瞬間に、これは以前も味わった痛みだとすぐに分かった。


有希子と母親は誰かに突き飛ばされ、草むらに転がり落ちる。

有希子は脳震盪を起こしていたが、何とか頭を持ち上げると、見知らぬ男が母親に馬乗りになって首を絞めていた。


有希子は助けを呼ぼうと思ったものの、恐怖で声が出ない。


「おい! そこのやつ!」


有希子の後ろから声が聞こえてくる。

有希子が振り向く時間もなく、声の主は有希子を飛び越えて、母親に馬乗りになっていた男を取り押さえた。


助けに入ったのは、茶髪で野球のユニフォームを着たヤンキーだ。

有希子は助かったという安ど感で、気を失う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る