糧秣の代金は8人の処女


「エマさん、つかぬことを聞くけど、これいくらぐらいなの?」

「そうですね……仕入れ値は72セントですね……」

「1ランドもしないのね……値段を考えたら、文句のない味ね……」


「大体1ランドまでの物はいくらでも仕入れできます、意味はお判りですね」

「凄いわね……」

「メイドを抱いた様ね、約束通りバロネテスとして叙爵されたわ、陛下の許可の証書よ」


 メイドさんたちに、渡し終わると、

「悪いのだけど、込み入った話があるので、私たちが連れてきた娘たちの相手を別室などでしてくれない」

 王妃様、ここで突然に真顔になると、 チラッと他のメンバーを見て、云ったのです。


 エマさんが、

「喫茶室でスウィーツなどを食べながら、相手してあげてください」

 とか、メイドさんたちに言っていますね。


 王妃様が、

「国境がね、近頃きな臭いのよ……」

「ベネットの北は交通事情が悪くてね、軍の輸送部隊が苦労しているの」

「エマさん、女は好きなのでしょう?」

「ネレーアをあげるけど、どうかしら」


 つまり女をやるから、軍の食料を何とかしろというのでしょうかね……


「兵糧輸送ですか?」

「調達もだけど、どうかしら、国の浮沈がかかっているのよ、連れてきた娘たち、妻とか側室にどうかしらね」

「断って欲しくはないのだけど」


「パンを指定場所に、差し入れすればよろしいですか?」

「それなら文句はないわよ」


「全軍は勘弁してほしいのですが」

「北方軍、3万人ぐらいの兵糧、交換に8人の処女ね」


「皆さん、ご承知なのですか?みれば10歳ぐらいの方もおられますが?」

「ああ、ネレーアね、つい先ごろ、生理がはじまったから、女よね、まぁ12歳にはなっていないので、厳密に言えば妻にはできないけど、抱いても問題はないわ」


「交換の人身御供は不要ですよ、私はベネットの聖女、この国、好きですから出来るだけの事は致します、ただ、今回のようなことは好きではありません」

「王妃様も皆さまもご安心ください、私は力の限り、ベネットを守って見せましょう、だから無理に娘さんたちを差し出されることはありません」

「8人のメイドさんをいただきました、十分です」


「北方軍の糧秣倉庫は、把握しております、また指揮下の3個兵団の兵糧保管庫も把握しております」


 ここでエマさん、例の大型カンパンを持ち出し、

「これは3年保存が出来るラスクです、これ1袋で1食分、兵士一人の1年分は1,095食、1万名分で1,095万袋を兵団の兵糧保管庫、3ケ所に取り寄せいたしましょう」


「あとの物はこの後、また相談いたしましょう、緊急にその旨、北方軍の司令部、及び3ケ所の兵糧保管庫管理人に通知をお願いします」

「また、このことを知る必要がある方々への、通知もお願いします」


「ちょっと、フレイヤさんを借りていいかしら」

「フレイヤさん、王妃様の御用を聞いてください」


「フレイヤさん、いま、この二通の書簡を書いたから、これを私についてきた護衛の騎士に渡してくれないかしら、それだけでいいわ」

「分かりました、お任せください」


 すぐに帰ってきたフレイヤさん。


「お渡ししてきました、これが渡した者の受け取り証と、その本人の身分の証です」

 近衛騎士の階級章を渡したフレイヤさんでした。


「ねぇフレイヤさん、むしり取ったの?」  

「少しごねましたので、肩章をむしり取ってきました」


 王妃様、かなりお笑いで、

「さすが、『元スコーネ公国戦士、楯の乙女と呼ばれたフレイディース』、あの者ではかなわないでしょうね、後で私から頭を撫でておきましょう」


 エマさんも、笑っていましたが、こんなことを考えていました。

 ……ここにきて、『フリーズドライ防災食品枠』が役に立つわけだけど……怖くなってきたわ……神様の思い通りではないの……


「エマさん、取り寄せは待ってね、返事が来てからにしてくれない?」

 

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