第七章 国境越え

初めての大浴場


 休憩広場を2つ通り過ぎ、国境の町フランにたどり着いたのは、夜の7時前……

 7時半に城門を閉じる決まりだそうで、私たちは滑り込みセーフでした。 


「通行税は1人2ランドだ」

 3人分、6ランド支払いました。


「どこか、お勧めの宿はありますか?」

 門番さんへ5ランド銅貨を1枚……


「おっ、すまんな、馬車を泊められる宿というと、ここをまっすぐ行った処に、『フラン最高の美味しい味の宿』というふざけた名前の宿がある、安くはないが、なにより安全だ」

「あんたらみたいな別嬪さんは、安心できる宿がいいだろう?」


「そうですね、ご配慮、ありがとうございます、その宿にします」


 まっすぐ行くと、すぐにわかりましたね。

 どでかい看板がでています。


 『フラン最高の美味しい味の宿』、看板に偽りなし!とね……


 クロエさんが、降りていき、

「3人、馬車付きで泊まれますか?」

「泊まれますよ、ただ大部屋となると4人部屋になりますが、よろしいですか?」


 ここは一泊二食で1人部屋は150ランド、4人部屋に3人で泊まっても4人分だそうです。

 不要の食事1人分は、他のメニューに替えて呉れるそうです。

 

「夜のメニューにお酒を追加してもらいました♪朝は宿にお任せです」


 馬車は馬がいないので、50ランドでOK、結局650ランド、45,500円……

 

「荷物を置いたら、すぐ夕食にするといっておきました♪それからですね、大風呂があるそうなのです♪」


 今日は旅商人がフランには沢山お泊まりですが、ここはいささか高級なお宿、満室でもありません。

 

 さっそく夕食です♪


 このお店はお肉料理で有名だそうで、ステーキとかシチューとか……ソーセージとマッシュポテトは山のように出てきました♪

 ただね……お肉、いささか固いのです……パンも固いパン……


 まあ、それでもバンバン食べますよ、なんといってもお肉ですから♪


 お酒とは、ビールとワイン……どちらでも1人5杯までOK!


「乾杯しましょう♪」

 

 その後は、とても女とは思えぬ盛り上がり方、といってもお高いお店ですので、それなりに……


「いやあ、お腹がいっぱいです♪」

「それよりフレイヤ、私、いささか酔ったわ……」


「ご主人様は酒に弱いのですね♪」

「フレイヤが強すぎるのよ!ね、クロエ」


「そうです!ウワバミとはフレイヤのことですよ!」

「ところでエマ様、そんなんでお風呂入れるのですか?」


「大丈夫よ、酔い止めのツボ、知っているから♪」

「酔い止めのツボ?」

「手のひらの真ん中を手心(しゅしん)といってね、ここを親指あたりで強く10回ほど押せばいいのよ♪」


 大聖女の私がやると一発で治るようです。


 女の嗜みではありませんが、この間、『大聖女』を検索した時、このような事も書かれてあったのです。


≪エンサイクルペディア所持の大聖女が、治療に関して検索した場合、治療法が身につく、そして完璧に治療できる≫


 治療関係を検索すると、そのまま身についたのですよ。

 そして治癒の力が半端ないのですね……


 『あんま』、『鍼灸』などのほか、薬草などの知識、つまり漢方治療も完璧なのですね……

 これね、性欲のツボなんて私が押すと……


 ただでさえ、私と18禁行為なんてすると、相手は極上オーガズムをね……

 どうやら、私の大事なところはいわゆる『名器』?


 絶対、男とエッチをしてはいけません!寒気がします!


「さて、酔いも醒めましたし、お風呂です♪」

「エマ様、石鹸とかタオルとかは自前ですからね」


 『薬●デオドラントソープ』と『マルセイユソープ(ジャスミン)』

 タオルは前に取り寄せた物があります。


 大浴場は石造り、勿論男女別ですよ。

 どうやら『焼却』魔法を使える者を4人雇っているとかで、毎日交代で水の張られた湯船に、『焼却』魔法をたたき込んでいるとか。

 

 水は一回だけで、湯温が下がると、『焼却』魔法がたたき込まれます。

 かけ湯や身体を洗う湯は、小さい湯船が2つあり、どちらか1つがお湯というわけです。


 マナーとして、身体や頭を先に洗い、それから入浴です。

 暖まると、水をかぶり、また入る……先に洗っておれば、浴室内にいる限り何回でも入れます。

 

 お風呂は宿泊客のみへのサービスとか……良く聞くと普通は一泊二食で50ランドらしいのです。

 フランで毎日風呂があるのはここだけ。


 町には2件の公衆浴場がありますが、一週間に一回……別々ですから、なんとか週に2回、入ろうとすればはいれます。

 入浴料は20ランド、いささか高い……貧困層は入浴なんてとんでもない、この寒いのに行水らしいのですね。

   

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