とろみもついていますよ♪


 オムレツを美味しく食べて……

 そのですね、美味しく夜食をですね……


 フレイヤさんの『健康診断』の項目には、

 奉仕愛欲対象者 エマ


 と、ありました……


 翌朝……


「ご主人様♪」

「エマ様♪」


 べたべたと、『ひっつき虫』なんてのに、なったりしている2人……

 

 外は雨がやんで、朝日が眩しいのですが……


「とにかくテントを片付けて、出発しましょう!」


 お風呂テントを収納、朝ご飯の準備をしているエマさん。


 フレイヤさんが、

「ご主人様、昨日からの雨で道がぬかるんでいると思えますので、次の水飲み場へは、夜遅くになるかも知れません」

「構わないわよ、馬車が進めないなら、収納して歩きましょう」


 朝ご飯?

 まずスープはね、『10種具材と生姜あんの和風スープ』♪


 『お取り寄せ能力』のオプションとしての、調理の力、つまり調理家電が使えるわけで、その一つ、『電子レンジ』の便利なこと……


 あとは、『枝豆ごはんおむすび』、こいつもチンです!


「ジンジャーのスープは温まりますね♪とろみもついていましたし、結構な量でした」

 クロエさんには、好評でしたが、フレイヤさんは物足りない顔をしています。


「フレイヤはやはりお肉が欲しそうですね♪」

「いえ、そんな事は……」


「いいのよ♪そこで『鶏の炭火焼』です♪どうぞ♪」

 解凍は調理の力で問題なしです、さらに当然チンです!

 今日の朝食は全部●ブンさんです。


「なんといっても、フレイヤさんには働いてもらわねばね♪」


 『鶏の炭火焼』をパクつきながら、

「いくらでも働きます♪私の身体で暖めてご覧にいれます、それに、ここも『とろみもついていますし、結構な量ですから』♪」


「夜に食べさせていただきます、精がつくでしょうね♪」


「フレイヤさん!抜け駆けは駄目よ!クロエもいつも『とろみもついていますし、結構な量ですから』!」


「はいはい、2人とも可愛がってあげますよ♪」

 2人の大事なところに手をなんていれて、こんなことを言っているスケベがいます。


「もう♪雨がふるではありませんか♪この後……」

 クロエさんが媚びをうってくれますが、フレイアさんが、

「駄目ですよ、私は『結構な量のとろみ』を堪え忍んでのお仕事なのですから、クロエさんも堪え忍んでください!抜け駆け禁止といったのはクロエさんです!」


「そうね……」


 やっと幌馬車は動き始めます。


 道は泥濘みでしたが、なんとか馬車は進みます。


「後続は来ませんね……郵便馬車ぐらい、追い抜いても良さそうなのですが……」

「対向も来ません、なにかあったのですかね?」


 しばらくいくと、休憩広場の手前で、帝国軍が道を封鎖していました。


「止まれ!君たちはどこから来たのか?」

「バンベルクからですが?」


「大雨で、水飲み場は鉄砲水で流された様だが、通り越えたのか?」

 あっ、あの危険予知はこれを知らせていたのですか……


「昨日の午後2時前に通りました、雨が激しく降り始めましたので、とにかくいけるところまでいこうと思い、通り過ぎて、次の休憩場所で一泊しておりました」


「よい判断だったな、今朝、早馬が惨事を知らせてきた、かなり街道も埋もれたようで、バンベルクへ向かう者を止めているのだ」

 一応、身分証の提示を求められました、そこに旅商人とありましたので、

「ほう、旅商人か、商業許可証などはお持ちか?」


 教皇領発行商業許可証を提示、


「すごいものを持っているな、よろしい、行って良し」


 この帝国軍、次の帝国領最後の町、フランに駐留する国境警備隊の皆さんでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る