第9話
ヘンリー8世と夜の重要業務を遂行後の朝
いつもの通り、アン・プーリン王妃は侍女達に時禱書を朗読させる
言語はフランス語だ
カトリック教徒は神父の言葉を聞くのみだった
しかし
「グリニッジ宮殿」では、言葉に出して読まねばならない
当時の侍女達、
どこまで仏語ができたのか怪しい
読めない侍女達は陰口だ
「前キャサリン王妃の時はこんな事はなかったわ」
そして読める侍女達は、厳かに朗読する
こうして侍女達からカトリック教徒をあぶりだす
これがアン王妃の戦いだ
時禱書を読まない、いや、読めない侍女達を
処刑・粛正するのだ
「文盲(馬鹿)な彼女らは敵国スペイン王家のカトリック一派です。
時禱書を声を出して読まないのは福音を穢す者です」
そして
「王子を産んだ後です。
王子を産んだ後に、この英国の為、全員抹殺する事を誓います。
我が英国に神の御加護を!」
この時禱書朗読の案には強力な支援者がいた。
プロテスタントに傾注しているトマス・クロムウェル
彼は卑しい羊毛職人の家の出で、
太りすぎでほっぺも垂れた50手前の醜い男。
プーリン一族の抬頭と共に出世した切れ者だ
クロムウェルは、囁いた
「プーリン妃様、良い考えがあります。時禱書の朗読は侍女達への良い踏み絵になりますよ」
・・
侍女達の朗読中
ヘンリー8世は次の手をうつ為に散策する。
アン・プーリンもヘンリーの目線を意識して時禱書を厳かに読み上げる
うまく読めない侍女達の中で、泣きそうになりながら下を向いている女性を
ヘンリーは見逃さなかった
「この子の下半身はしっかりしている」
朗読が終了し、アンが居なくなったところで、ヘンリーが彼女に声をかけ
名前を聞いた
「ジェン・シーモアと申します」
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