『レベルアップ』

やましん(テンパー)

『レベルアップ』

『このおはなしは、フィクションです。』





 かつて、COVID-19によるパンデミック対策として、マスクの着用が推進されたが、社会的な慣習もあり、なかなか抵抗感が抜けない地域もあった。


 しかし、10年以上にわたる、人類と、ころなウイルスの闘いは、ようやく、終息しようとしていた。


 人類側に、それなりの抗体ができ、ワクチンも進化し、やっとこさ、安定した生活が戻ってきた。


 はずだった。



 ある、異様に桜が狂い咲きした秋のこと。


 とある大国が、やっかいな生物化学兵器や、核弾頭なんかを使ったのだ。


 一種のウイルスでありながら、強力な有害物質を大気中に散布し続けた。


 一定期間後、消滅するはずだったが、なぜか、自ら変化して、半永久的に生き続ける悪魔になった。



 やましんは、病院に行くことになっていたが、外出用防毒マスクの所在がわからない。


 それがないと、外には出られない。


 屋内用の防毒マスクは、軽くて楽にできているが、屋外では危険大だ。


 やれやれ、仕方ないから、新品を下ろさなくっては。


 お安くはないのである。




 〽️『あ、はまのまさごはつきるとも〰️〰️〰️〰️』


  『世に防毒マスクの尽きる日はありませぬ。ね、御奉行!』


  『らんらん、らん、軽い、扱いやすい、効果満点長続き、最高天使の防毒マスク。』



 というような、コマーシャルが連発している。


 そこに、さらに、ふたたび超新型インフルエンザが現れたのだ。


 従来のワクチンが危ない!


 と、いわれだした。



 ならば、ウイルス対応型新型防毒マスクの登場だ。


 また、核戦争のなごりで、土中や、湖水。食品、さらに、大気中には、放射性物質がたくさん残留している。

 

 食べるには、それなりの処理が必要だ。


 そのための調理器具も、絶賛発売中だ。


 

 〽️『残留放射線を除去して、美味しい御飯が炊けます。はい、この、つや、あじ。』


  『うわあ。おいしいですう。』


  『すごい。すごい。あたし的に最高。』



 やましんは、杖をつきながら、外に出た。


 鉛色のお空に、地みどろ色の太陽さん。


 放射線を放つ、怪しい灰みたいなものをかき分けながら、病院に出掛ける。


 乗り合い空中タクシーがやってきた。


 『や、やましんさん。まだ生きてるか。』


 むかしの、生意気な後輩が、映画みたいなマスク姿で乗っていた。


 胸に表示される顔で、判別可能だ。


 有害な大気を、たっぷり、す〰️〰️〰️〰️、すぱ〰️〰️、と、吹き掛けてやった。


 『まあね。その、マスク、すてきじゃん。レベルアップしてるぜ。inべーだー. だね。』


  

      ・・・・・・・・・・・


 


 


 

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『レベルアップ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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