3

その日私は普通に授業を受けていた。

「じゃあこの問題を猫宮 解いてみろ。」

「は はーい。」

ど どうしよう。

返事をしたのはいいが 全く問題の答えがわからない。

と とにかくそれっぽいこと書いとこう。

そう思い立ち上がった時、先生の目を盗むように丸まった紙が一枚私の机に飛んできた。

紙を広げると須美寿の字で

お前 分かんなかったんだと思うから一応答えを渡しとく。入らなかったら捨てといてくれ。

この一文と共に問題の答えが書いてあった。

ありがとう!

私は須美寿に口パクで感謝しながら黒板に答えをかく。

「出来ました!」

私は堂々としてる

「えーと この問題の答えは違ってこれが答えだぞ。」

「えっ。」

須美寿に渡された通りに書いた問題は間違っていた。

クスクスと笑いが聞こえる。

須美寿!

私は声には出さないが 驚きの顔をしながら須美寿の方を向く。

引っ掛かったな。

須美寿がいたずらを成功させた子供のような顔をしてこっちをみていた。

くっそー 騙されたぁー!

授業終わり

私は須美寿の下へ向かった。

「須美寿!よくも私を騙したね。」

「しっかり勉強してなかった久礼子が悪い。」

確かに須美寿の答えをそのまま書いた私にも原因はある。

「でも、間違った答え渡すなんてひどい!」

「悪かったよ。まぁ焦った顔がみられて俺は満足したわ。」

「うー。」

唸ることしか出来ない私だか、ふと疑問が出てきた。

「ねぇ須美寿 一つ聞いてもいい?」

「なんだ?」

「よく私が困ってるって分かったね。」

須美寿は私の言葉を聞いた瞬間に体をピクリと震えた。

「そ そんなの見たら分かる。」

「へぇー。」

私は声色から一つの仮説を思い付いていた。

「もしかして 授業中 ずっと私のことみてたのかなぁー?」

「…!」

須美寿の顔が赤くなるのが分かる。

図星のようだった。

「そうかそうか 須美寿は私のことずっとみてたのかぁー。」

「違う!」

慌てて須美寿は否定してくる。

「ホントかな。」

煽るように私は言う。

「違うったら違うの!」

そういうと須美寿はそっぽを向いた。

さすがにやり過ぎちゃったかな。

「まぁ、そういうことにしておくよ。」

私は自分の席に戻った。

「本当にあいつは。」

わたしは須美寿の方を向く。

かわいいやつとでも思うためだったと思う。

「「…!」」

向いた先では須美寿も同じようにこちらをみており完全に目があった。

バッとお互いが顔を背ける。

「三田 お前顔赤いけどどうしたんだ?」

反対側にいた須美寿の友達に言われてる。

照れてるんだ。

なんだか嬉しくなった。

「ねぇ久礼子ちゃん なんで顔赤いの?」

どうやら私の顔も赤いようだった。

「「夕日のせいだ!」だから!」

二人の声がそれぞれの友人へと響いていく。

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