第12話

 高校を卒業して、はや10年、28歳か。


卒業して10年ってことで、高校の同窓会の連絡がきた。


とくに行く意味あるとも思えないけど、行ってみようかな。今や人気女優となった麻衣がくるとは思えないし、麻衣以外に、仲良かったひともいないけど。前よりはコミュ障じゃないし、行ったら楽しいかもしれないか。


出席にチェックをつけて、返信した。


 やっぱり、欠席にしておけばよかったかなって後悔しつつも、地元に帰る新幹線に乗った。


 スーツとか、普段、着ないし、いまいち似合ってないような気がする。同窓会の会場のレストランに行った。さすがに人数が多いんで、貸切みたいだ。


 うーん、顔はなんとなく分かるんだ、、でも、名前が思い出せない。誰だったっけ。


 なんか騒がしい感じになってた。誰か来たみたいだ。


「うわ、やっぱ綺麗だな。芸能人のオーラでてる。サインくれないかな。」


 麻衣も同窓会に出席してきたのは、意外だった。仕事が忙しいのを、調整して、わざわざ来るなんて、なんでなんだろ。


仲の良い女の友達と話し始めた。

「今日は、参加してきたのは、あいつに会うため??」


「ええ、もちろん。いつまでも逃げてちゃいけないし、キリをつけないと。前に進まなきゃ。それに、自分だけが悩んで苦しんで、彼は、なにも知らずに生きて幸せになるの、やっぱりイヤだって、思っちゃってさ。」


「そっか、あいつは、どうするんだろうね。」


「うーん、わかんない。でも、どっちみち言わないとヤバそうなんだよね。マスコミが嗅ぎ回ってて、、」


「そうなんだ、そりゃいままでなにもスキャンダルなかったのに、あんなの暴露されたら、大炎上だよね。」



 遠くの会話で、さすがに何言ってるのか、全然聞こえなかった。


同窓会の帰り間際に、〇〇ホテルの2501号室に19時に来てって、コソッと耳打ちされた。



え、おれ、今日は日帰りで、新幹線乗って帰る予定だったんだけど。


 明日の勤務、代われるか、同僚に無理を言って代わってもらった。


19時にホテルの部屋に行った。緊張して、ドアの呼び鈴を鳴らした。


 ドア開けて、入ってって、麻衣の声がした。


 10年ぶりにみても、あの頃よりも、綺麗になっていると思った。


「孝、今日は、来てくれてありがとう。

あのときは、ごめんなさい。」


「いや、もういいよ。今さらなんとも思ってないし。」


全然、未練たらたらですけどね。そんなこと、言えるわけない。


「孝は、なにも聞いてないのよね?」


「聞いてないって、なんのこと?」


「孝は、私の血の繋がった兄なの。

私のお父さんは、一条トオル、孝のお父さんと同じ。お母さんは、もちろん違うよ。私のお母さんと孝のお父さんは、不倫してたの。」


「は??どういうこと。麻衣は、俺の妹なの?

妹としちゃってたの?」


 急に気持ち悪くなって、吐き気がした。

トイレに駆け込んで、お昼に食べたの、すべて、嘔吐した。


 戻ったら、さらに話しを続けてきたんで、聞いた。


「ユウマは、孝と私の子どもよ。」


「え、、」

絶句。

頭の中が、真っ白になって、何も考えられなかった。


「これが、あのとき孝と別れた理由よ。」


「なんで、教えてくれなかったんだ。」


「貴方のことが好きだから、愛してるから、

兄とは結婚できない。兄の子どもが、できたなんて、そんなこと言えるわけない。元々、私のお母さんと付き合ってた、貴方の伯父さんと、ヨリを戻して、結婚まで、すすんでいって、ユウマを2人がユウマの親となって、引き取って育てたいって、言ってくれたの、だから、まだ独り立ちできてない、貴方や私だけでは、育てられないと思って、頼ってしまったの。」


涙を溢しながら、話していた。





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