第8話

 お昼を食べたし、帰ろうと思ってたら、また白崎さんは、声をかけられた。でも、今回は、女性だし、ナンパでは、なさそう。話を聞くと、芸能事務所のスカウトの女のひとだった。


 すごいな、こうやってスカウトしてるんだ。

白崎さんは、どうするんだろ。


「彼氏がいるので、芸能活動とかムリです。」


「彼氏と別れなくてもいいから、少しだけでいいから、有名な芸能人の人とも知り合いなれたりするし、一度やってみてから、判断して。ぜったい売れるから。」


「で、でも。お母さんと相談しないと、、」


「ぼく、べつに彼氏じゃないんで、ぼくはまったく関係ないですよ。」


「ちょ、いま、それ言わないでよ。彼氏じゃないって、もう彼氏みたいなもんでしょ。2人きりでデートしてるわけだし。」


「え、、そうなのか。じゃあ、彼女です。

会う時間少なくなって、会えなくなるなら、ダメです。やってほしくないです。それに、付き合ってるのが、スキャンダルとかそういうネタになるなら、いやです。」



「まぁ、とりあえず2人が付き合ってるっていう話しで、スカウトしてるから、悪いようにはしないから。ぜひおねがいね。これ、わたしの名刺だから、連絡ちょうだい。でも、連絡くれないと困っちゃうし、あなたの連絡先を教えてほしいな。」



 スカウトの女のひととは、また他のひとを探してどっかに行ってしまった。


 やっぱ、白崎さんは、綺麗だもんなぁ。白崎さんが、ぼくの彼女って、まったく信じられないな。


「さっきのって、ホントなの?スカウトを断るために、言っただけだよね。」



「ホントだよ。友達にはなったけど、それ以上の返事待ってても、全然もらえないから。ちょっと強引にしなきゃなぁと。わたしは、孝くんだけ、ずっと好き。これからも彼氏なのは、あなただけなの。」


「気持ちは、すごく嬉しいけど。ぼくなんかより相応しいひといるし、釣り合いがとれないよ。このまえ、入院した病気だって、治ったわけじゃない。また入院して、留年するかもしれない。両親もいないし、死んだ父親のことも、覚えていたいのに、忘れていって、思い出せない。母親のことは、まったく思い出せない。思い出そうとしたら、頭が割れるように痛いし、思い出す必要ないって、、こんなガラクタの不良品なんかより、もっといい男がいるから。」


なんか、いろんな思いをぶちまけてしまった。


「そんなの関係ない、大丈夫だから。」


「とりあえず、もう帰るよ。また、よく考えて、冷静になったほうがいいよ。」


白崎さんと別れて、家に帰った。







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