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こうなったら覚悟を決め、剣で戦うしかない。もちろん、切ったり刺したりといった使い方は僕には出来ないから、振り回して打撃を加えるというやり方だけど。
金属の棒で思いっきり殴られるだけでも小さな体のデビルバットには致命傷になり得るだろうし、そういう剣の使い方なら今の僕でも難しくない。無茶苦茶に振り回していれば、何回かは当たるはず――。
意を決し、僕は剣を抜いて構えた。そして彼らが近付いてくるのを見計らって無作為に剣を振り回す。
「くっ! んっ! くそっ!」
予想に反し、僕の剣は虚しく空を切るだけだった。なぜならデビルバットたちはその動きよりも素速く飛び回り、全ての攻撃を紙一重で回避していったから。剣を当てようと意識しているのに当たらない。
むしろその軌跡を縫って彼らは体当たりをしてきて、僕の方がダメージを受けてしまう。しかも重い剣を振り回していることで僕は腕が疲れてきて、呼吸も激しく乱れる。それがさらに焦りを生むという悪循環……。
やがて僕の動きが鈍り、ふとした瞬間に大きな隙が出来てしまった。彼らはその機を逃さず、鋭いツメと牙で一斉に襲いかかってくる。
「ぐ……ぅ……っ!」
結果、顔や手足の露出した部分の肌が筋状に裂けて血が滲み、全身に激痛が走る。傷口が熱い。目まいがしてくる。
その痛みと熱は徐々に体を蝕んでいき、ついにはとうとう立っていられなくなる。手足から力が抜け、うつ伏せに倒れ込む。もはや動けない。
――そうだ、僕は忘れていた。彼らは毒を持っているということを。
それに気付いた時にはすでに手遅れだった。剣を振り回すなど、激しく動いていたから毒の回りが早かったのかもしれない。
体は一転して寒気を感じるようになり、だんだんと意識が薄れて……。
BAD END 6-4
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