6話 発見者の夢見
「……」
兄たちはまだリビングの方にいるようで、暗い部屋におれと
「ねえ、カズちゃん。寒くない?」
「べつに」
「そっか……」
別に寒い訳じゃないのだ。ただ喋り相手がほしかっただけ。カズヤは僕と常に一緒だから。年齢も一番近いおれの一個下だし、施設に来たタイミングも一緒だった。ママの次に顔を見たのがカズヤだった。
「マオは寒いの?」
「……ちょっと」
「いいよ、かけ布団入ってきても」
「……別に、そんなんじゃ」
「……お母さんが死んだこと、マオすごくショック受けてるでしょ」
「うん。カズちゃんはさ、冷静だね」
ショックを受けてる、というかなにかのドッキリだとまだ思っている。明日の朝になったら、きっとママは普通におはようって言ってくれるとまだどこかで信じている。
「……トランプがね、言ってたの」
「……?」
昔から彼は変なことをいう。占いだといってトランプを広げたり、ママにたろっと?をねだっていたこともあった。もうちょっと大人になったらね、なんて言われて買ってもらえなかったけれど。彼が言うことはやけに当たるのだ。将来占い師にでもなったら良いのではないかと思う。
「バチが当たったんだよ」
「ママ、なんか悪いことしてたの?」
自分の記憶をたどる限り、ママとケンカをしたことはあるけれど別に嫌なことをされた記憶はない。おれたちのママになる前に何かあったのだろうか。
「あの人はね、僕たちを閉じ込めてた」
「……?」
「腐ったものにいくらコーティングをしたところで腐ってるのにね」
「……どういうこと?」
「マオは知らなくていいよ」
知らなくていいなんて言われたらがぜん気になってしまう。昔からこうやってよくわからないことを言われ、はぐらかされる。
「……無理だよ」
「マオはさぁ、僕とお兄ちゃんたち、どっちをとる?」
「……なにいってるんだよ」
「……キミは素直だからいいね」
「……いじわるだ」
なんだか背筋が凍った。青くて綺麗な彼の瞳がなんだか今日は怖かった。
「僕たちを箱庭に閉じ込めたやつらを後悔させてあげよう?」
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