番外編:空の封印編2

 第一感想はふざけるな!と言うものであり、じゃあイベント頑張るかだった。男って単純だね。


 俺こと時計兎は現在、帝国攻略の支援をしている。なるべく資金、アイテムやリソースを吐き出し、イベント進めていないけど関係者になるべく暗躍していた。


 できれば俺自体が参戦できればいいんだが、NPCから見た俺の立場は、魔王国の領主。帝国はかなり警戒する立場になり、下手すればいらぬ関係が生まれる。


 貴族NPCからのやっかみや、国乗っ取りする気かと言う不信感を抱かれる立場になり、関わりたくても難しい。こんなん少し制限緩くして欲しい。


 そして星樹のこともある。ロザリオが居れば良いんだけど、俺もいないと落ち着かない。普段は二人そろってベビーシッターコボルトが押し倒される様を見て、こらこらと𠮟りながら抱き抱きさせる程度にとどめる。そんな感じの日々を過ごしている。


 正直いまの俺はオフモード。前々からのプレイヤースキルによるゴリ押しなどできない状況だ。父親とはこういうものかと思う。


 そんな日々の中、誰にも不審がられないように、イベントに口出すよう準備するのだが、マーリンが半笑いでこちらを見ているのが気になる。バレてないよね?


 ◇◆◇◆◇


 多くの思惑が交差する中、ついにイベントが起きた。


 大地が揺れ動き、帝国にする帝国国民が驚く中、帝国の城が浮き上がり、四つの塔が怪しく輝く。


 四つの塔を中心に結界が張られ、中心を守った状態で浮き上がり、少しずつ移動を開始して停止した。


 イベント開始時、移動を開始するらしい。その前に帝国国民の退避と保護、戦争の準備に入るプレイヤー。


 帝国現在の国王、帝王アザムはなにかしらの儀式を行い、世界を手に入れる準備をしていた。


 残るは女神に生まれ変わり足る少女を手に入れれば、儀式は完成する。アザムはそう言い残していま浮遊城の中心で儀式を進めていた。


 プレイヤーはロザリオを守らなければいけない事態に、兎は動きやすくなった。


 もちろん、全プレイヤー参加のため、兎が支援する組織以外にも動くところもあるが、深く関わったプレイヤーを抱き込むことに成功した。兎と運営はその時は共に良しッ!!と安堵。


 次は図書館による調査の元、どこをどう攻略するかの話し合いの中、兎は落としどころを調べていた。


 兎的にもうゲームは良いやと思うくらい充実していた。トッププレイヤーなんていいからロザリオと平穏の日々を過ごしたいと思う。イタズラするマーリンには退去して欲しいほどに。


 だがマーリンは半笑いの顔でこちらを見ながら好き勝手に動き、なにかと邪魔をする。双子ちゃんのマンマと呼んだ星樹に対して、ジャンヌは何か言いたげに兎を見つめていたのが危険だった。


 とりあえず兎は南の塔を攻略、白薔薇は北の塔、カリバーは西の塔、マーリンが東の塔を攻略する話をして、残りプレイヤーは真ん中の攻略をする話をする。


 ここで真ん中、攻略組が瓦解したら塔攻略隊も突撃する流れで話を終えて、兎は可愛い我が子を可愛がる。


「よしよし」


「パーパー」


「あっはは、パパだよー。ママだよー」


「きゃきゃ♪」


 ロザリオとそんなことをしている辺り、もう満足している兎。


 ユニは何も言わずに卵を背負っていた。


 返してほしそうにバンダナが見ていたので、ジャンヌと共に叱っておく。


 ◇◆◇◆◇


「とりあえず竜王、魔王がいることを想定してイベントを進められるぞ!」


「モミジ達も派遣されるらしいので、出すモンスターのレベル調整急いで」


「オウマに地上戦任せてもらおう。アンデットの準備は」


 忙しく調整する中、モニターの中で夫婦のようなことしている我が娘を見る母親がいた。この子、指摘すれば顔を真っ赤にして狼狽える癖に、指摘しなきゃし続けるんだから。


 娘がゲームをすると聞き、この仕事に就こうといろいろ勉強して入ることができた。元々治療費を稼がなきゃいけなかったし、ちょうどよかった。


 まさか彼氏を作ることになるなんて。呆れながら嬉しそうに微笑む。


「とりあえずお父さんには内緒にしないと」


 あの人、初めからフルスロットルで敵意を見せていた。あの人には悪いけどこのこととか全部秘密にしないとうるさい。


 そう決めてからボスデータを確認した。


「ボスはGMプレイヤーで戦うんですね」


「あっ、ああうん。アザムはとりあえず、魔導剣士としてプレイヤーと戦うよ。ランダムで好きに動かす気。一応」


「ええはい、一応ランダムです」


 なにか歯切れが悪い言い方をされたが、気にせず調整を続ける。


「………ここまで運営が個人を巻き込んでイベント作りって」


「やはりちゃんとしたチームで運営しないといけないのは確かですね。バレなきゃいいですけど」


「会長と娘さんが面白がってやらせるから………あの人らいま痛い目みてるはずなのにね」


 そんな話をひそひそしながら、マーリンを見る。


 マーリンは今度のイベントが楽しみと言う顔で笑顔のまま仕事をしていた。


『………なにかイタズラ仕込んでいませんか?』


『ユニ、私はいつも誠実だよ? そんなこと言わないで欲しいな~』


『あなたがその顔の時は、妙なイタズラしてる時です。しかも令嬢の立場使ってるから質が悪い』


『………♪』


 そんなことがありながら時が流れ、イベント当日を迎えるのであった。

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