第76話・大聖樹の決戦1

 カリバー達、神技などがドラゴンへ攻め込む中、俺達は大聖樹を上り出した。大量発生するエネミーに対して、マーリン達魔法職が薙ぎ払い、どうにか先に進む。


 いくつかの場所を同時に浄化すれば可能性はある。ミコト達はそう言って、五つの個所を治す事になる。


 ロザリオを援護しつつ、先に進みながら考えていた。


 このまま秘術を発動させて良いのか、攻め込む場所を守りながら、先へと進むが………


「弱い」


「問?なんですか主」


「弱いんだ」


 一週間の期間しか機能しないイベントだからって、敵が弱すぎる。いや、無限湧きは辛いし、浄化する場所に留まって防衛戦するのも辛いんだが、弱いんだ。


「大丈夫か兎?」


 リーフベアも不安そうに見る中、浄化する場所は着々と確保している。


「………親衛隊」


「はい?なんでしょう兎さん」


 なぜか控えている親衛隊のギルマスに対して、空間魔法持ちで隠し通路などないか、調べてもらおうと言う話になる。


 もしかしたら浄化場所が隠されている可能性がある。すぐに動いてもらう中で、コボルト達も動かす。


「もうすぐ浄化場所に来るよ兎さんッ!」


 ロザリオがやる気に満ちて喋る。うん、やっぱりなんかやばい気がする。


「上手くいきすぎている。亡骸の方はどうだ」


「えっ? ………苦戦してますね、なんとか戦えてますが」


「動きは?」


「はい?」


 ユニは首を傾げる中、動きはどんな感じか聞く。


「目の前にいるプレイヤーに襲い掛かってますよ?」


「………やっぱり怪しい」


 俺ならば浄化ポイントを滑空襲撃して攻撃する。大聖樹から少し離れた位置で戦闘行為するのはおかしすぎる。そう言われてユニとマーリンは確かにそうだけど難しくないそれと言う顔をする。


「あの、浄化ポイントに滑空襲撃を繰り返されたら瓦解しますよ? アタッカーも各ポイントにいないと当たりそうにありませんし」


「カリバー達がすぐに襲撃したから大聖樹から離れた場所で戦闘してるんじゃないのかな?」


 ユニとマーリンは首を傾げるが甘い。それは甘いぞ二人とも。


「カバの時は何人も戦わせる気満々だったんだ。それくらいの鬼畜さは無いとおかしい。きっとなにかあるはずだ」


「格場所や、魔王城。島ですら大樹の騎士が現れて暴れてるよ?」


「そんなの運営からしたらお遊びだ」


「己ウンエーめっ!」


 リーフベアが悔しがる中、この謎を解かないと取り返しがつかない。


「もうすぐこの場所を占拠できるよ? そろそろ五つのポイント確保できる」


「早くない? 五つのポイント浄化したら大聖樹が回復するんだろ? 速過ぎない?」


「それは」


「確かに」


「だけどどうするよ」


「回復してからでいいんじゃねえ?」


「けど、兎さんの言いたいことも分かるぞ」


 プレイヤー達が言い合いを始める。このまま浄化を始めるか、始めないか。


「リーフベア、大聖樹はどこも怪我をしてないし、穢れていないんだよな」


「うむ!むしろバリアを張っているぞ。問題ない」


「大聖樹から出て来る大樹の騎士が人を襲うのはなぜだ?」


「分からないのだ。大聖樹から生まれる騎士は、大聖樹を守る為の物なのだ。憑依されている物以外は正常に動いているのになぜなのか分からないのだ」


「正常……待て、本体は正常で異常?」


 何か引っかかる。ついに大聖樹の浄化ポイントを制圧して守る体制に入るプレイヤー。


 戸惑う者もいる中で、ミコト達NPCは迷わず、秘術を使う準備をする。


『この術を使えば、おそらく大聖樹は正常に戻り、騎士達は動かなくなります』


『そうすれば残るは穢された亡骸のみ。そうなれば事態は打開するはずです』


 映像の中で、ミコトとモミジが大聖樹を救うと言う確固たる意思で進んでいる。この術を使えば事態は解決に向かうと信じて疑わない。


「………」


 まず事態を冷静に見よう。大聖樹に穢れ、病魔が攻撃する。その結果、大聖樹から騎士が大量発生して、騎士が周りの存在を破壊する。これが古代に起きた厄災。


 大聖樹は穢れていないし憑依されていない。だから大聖樹は大丈夫?つまり侵攻されている最中。


 騎士は大聖樹を守る存在。穢れから本体を救う為に生まれた、戦う機関。ん?


「あー秘術待って、中止中止」


「えっ?」


 プレイヤー達にストップをかけて、どうするのと言う目線の中、やっぱりなんかおかしいと思う。


「やっぱり俺は大聖樹をこのまま治すのは反対だ。運営のやり方にしても妨害が少ないし、浄化すれば治るのなら、最初の厄災で解決してる案件だ。浄化は必要だがいまじゃねえ」


「それは」


「ちなみに回数とか無いよね?」


「………えっと」


 ロザリオが急に黙る。回数あるの?秘術に?


「大魔法だから、使用者が三回以上使うのは危険だって話だよ」


「やっぱ罠じゃんッ!!中止だ中止!」


 詳しく聞くと、この魔法は浄化を強化した物であり、同時に五つの場所で使う事で効果が発動する。


 対象を治し、浄化する能力を持ち、治す事に特化しているとのこと。病気も免疫力を高め、病気になりにくくするらしいとのこと。


「あー俺もそう思う!」


「なんだよ回数付きかよッ。そりゃ罠だよッ!」


「回数付きなら罠だね。間違いない」


 回数付きと知ったプレイヤーから大多数の中止意見が出始め、ユニが戸惑いだす。


「泣きそうな顔でミコトさんがどうしてですかと言ってますが」


「大聖樹に初めから浄化かけて治るんなら最初の厄災で解決してるって言っておけ、隠し部屋があるはずだからそこを攻撃する。動ける奴は準備しろ。防衛戦の準備だここを守れ」


 指示を飛ばすが、俺以外ここを指揮している人はいない? 別勢力とかいない?


「従者同盟です~ゲーマーだから回数付きで、兎さんの話にも納得できる節があるので、隠し通路が無いか調べてます。場所が少ないとかで不発動の確率高いですから」


 こうして五つの浄化ポイントの防衛戦を初め出すプレイヤー。ぞこからか舌打ちをする声が聞こえる気がしながら、隠し通路が無いか報告を待つ。

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