陸の戦い
第71話・昔の話を聞いた
だいぶ開拓が進み、情報収集の為に住人などの好感度を上げる時計兎。竜の里はだいぶ設備が整っているが、詳しい話など聞いていない。
だからようやく詳しい話を聞けるようになり、少し安堵する。
「すいません、色々お忙しいところを」
「いや、俺も封印の件とか教えてくれるから助かるよ」
竜の姫であるミコトと鬼族の巫女モミジから詳しく話を聞く。もちろん動画配信で話す手間を減らしている。
彼女達から詳しい話を聞くと、この山の山頂から見える大きな大樹。大聖樹と呼ばれる樹があり、陸の封印はそこにされているらしい。
「大聖樹って、聖樹と関係が?」
「はい。封印を守る聖樹のほとんどは、大聖樹から生まれたものです」
「ん? 陸の封印は封印の大本で封印しているのか?」
詳しく聞くと病魔らしいものが流行り出した時、大聖樹が暴走を起こしたそうだ。
大聖樹から無数の木でできた兵士などが生み出され、数々の物を破壊した。それこそ、己自身すら壊す勢いだったらしい。
大聖樹になにかあったのか、リーフベアなどに話を聞くが大聖樹には問題は無く、回復させる術などを使用しても回復する事は無かった、むしろ酷くなったそうだ。
「なので当時の人達は大聖樹の時間を停止させる特殊な結界で封印、これで陸の災いを封印したようです」
「なるほど」
大聖樹に何かあったとしか思えない状態であったのに、関係者などが調べても原因が分からず、リーフベアに聞いても大聖樹は正常な状態であったとしか分からない。
何かギミックがありそうな話だ。覚えておこう。
「その後、魔王城と竜の里で監視していたってところか?」
「はい」
「元々鬼族は竜の里と魔王城を行き来して成り立っていたようですが、魔王城で作物が実らず、維持できなかったためにここに移り住みました。そこからは分かるように、ここでの生活もできなくなったのです」
「前はできていたのか?」
「昔はまだ少し、作物や獲物が居ました。ですがここ最近は強い魔物が多くなり、相手できるものはオウマのみに」
「食料もまた、実りが少なくなり、育てることできずに」
「オウマはここの要だから、動くに動けない。だから食糧難になっていたと」
「お恥ずかしいですが、オウマに封印に何かあった時に見に行ってもらいますから、動けず、最終的には本当に動け無くなるほど衰弱する始末でした」
不甲斐ないと言う顔で話す二人。少しフォローして上げていると、そこにオウマが戻ってくる。
「姫様、ただいま戻りました。お話の方は」
「だいたいのところをお話しました」
「封印の方を見に行っていたな?」
「ああ。やはり時の封印が外れつつあるようです」
次のワールドクエストは陸の封印か。
オウマの話を聞くに、いつ解けるか分からないらしいが、こっちはある程度予測は立てられる。
いまの開拓するワールドクエストも終わりそうだし、少し長い休みに入る。イベントに人を集める準備はできているからな。
「そうなると、俺は闘気術のレベルを上げて、太刀術って言うの習得するか」
「鍛錬なら手伝うぞ」
「頼む。他の奴も加えさせてもらうぞ」
「……あまりに酷い奴はやめてくれ。勢いで殺してしまう」
「お父様」
娘であるモミジに怒られるが、レベル差があり過ぎるとオウマによるクエストは発生しないらしい。この辺はゲーム設定だろう。
怒られている様子を止めながら、俺は何人か呼んでレベルやスキル上げに勤しむことにする。
しかし………
「正常で異常な状態ってどういうことだ?」
リーフベアが異常に気づかなかったか、関係者が何か見落としているか分からない。陸の封印は完全に起きないと行動に移せそうにない。後手で動くことになるなこれは。
「とりあえずリーフベアを何人か連れて来ておいて、チーム分けとか考えないと」
もっと詳しく昔の現状を知りたい。ミコトはある程度融通が利くのか、信頼度が高い人の紹介も受けてくれる。これで図書館のプレイヤーを呼んで、昔の本や資料を調べてもらうことになった。
「バンダナはなにしてる?」
「あっ、あの子ならコボルト族の、白いコボルトとお話しているようですよ」
色々話を聞き終えて、鬼族の娘さんに聞いたらそう答えられた。
………彼奴も男か。邪魔しないで上げよう。
【レフト】「卵ができたら教えてください」
【ライト】「子犬が欲しいです」
双子ちゃんには後でジャンヌの説教を受けてもらおう。
俺はそう思いながら、少し時間を潰しておくのであった。
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