第70話・魔王城周辺の開拓

 コボルト部隊と白薔薇とバンダナを連れて、近くの山の探索へと向かう。プレイヤーも増えてきたし、有力そうな場所は早めに開拓しないと主導権が握れない。


 新規プレイヤーの中には戦記のようなプレイヤーもちらほらいるから、そんな奴が周りの土地を管理すると、こちらにもダメージが来るから積極的に動かないといけないのだ。


 山を探索していると運が良いのか隠し通路を見つけた。空間魔法のレベルが高くないの見つけられない類だな。


「驚愕、凄いです主」


「浮遊基地でこう言ったことがあったからな。空間魔法の書物で手に入るから、白薔薇も手に入れられるぞ」


「白薔薇は戦闘で役に立つ子なので、そちらの方を頑張ります」


「うん、そうか」


 頭を撫でてやると嬉しそうに微笑む。白薔薇がアタッカーとして育つのは助かるからね。


 こうして奥へと来ると、洞窟を発見して中に入る。


「にゃー!?」


 悲鳴が響き渡る。奥に進んだら猫の家族を見つけて、一部の視聴者がお祭り状態と化した。早いからね、まだ捕獲してないからね。


 ◇◆◇◆◇


「にゃー、初めまして。我々は『ケットシー』の一族ですにゃ」


「こんにちは、開拓者の時計兎です」


 結構な数が居て、猫好きが喜びそう。ただ若者が子供や赤ん坊が多い。お腹が減っているらしく食事を振る舞った。赤ん坊には水晶と同じミルクを飲ませる。双子ちゃん達ステイステイ。コメントからこちらに来る気である。


 愛好家と農園のプレイヤーは猫にやられてる。コメントオフっとこ。


「俺達は魔王城を開拓する者。ここも領土にする気だけど、ウチに来る?」


「にゃんと、住める場所があるにゃ?」


 それを聞いたケットシー達は住処を移す話をする。引っ越しして魔王城の住人になるらしい。仲間にも報告するとのこと。


 住人を手に入れたのは良いがこの鉱脈の確認もしたい。コボルト達にも言って、引っ越しに手伝いをさせる中で鉱脈を確認する。ポイント見つけた。掘ってみようか。


 しばらくしたら卵が手に入る。兎の卵らしい。鉱脈は?


 もう少し調べたら魔石なる鉱石を発掘。魔石ってなんだろう? とりあえず手に入れるように発掘隊を置いておく。ここを開拓地にするには山の頂に居るボスモンスターを退治するしかないとのこと。倒しに行こうか。


 ◇◆◇◆◇


 山頂で出会ったのはゴーレム型のボスエネミーである。槌を装備する白薔薇とバンダナだけで戦わせてみた。


「ブレイブソードッ」


 闘気によって刃先が伸びて幅を広げて切り裂くバンダナ。白薔薇は両手で持つ槌を片腕で振り回してダメージを稼ぐ。


 崩れるゴーレムを見ながら、この山一帯、どこかがセーフエリアになったのを確認して後は探すだけだ。まあケットシーのところだったけどね。


「そう言えば、複数ある場合があるらしいなセーフエリア。もう少し探すか」


 魔石を発掘しつつ、ケットシーを魔王城へ移動する。城に着くとテイム持ちの愛好家と農園がウェルカムと言う看板を掲げて待ってた。


 ケットシーは歓迎されて嬉しそうで猫が来てはしゃぐプレイヤー。子猫を早速抱っこする双子ちゃんやユニ達。このまま連れ去りそう。


 住人を増やして、セーフエリアがまだないか戻る。こうして自分が探したのが功を成し、空間魔法でまた見つけづらい道を見つけ、そこを通ると………


「おおっ、大当たり」


「これは凄いです」


「ついに我々は、宝石鉱山を見つけた」


 ダイヤモンドの鉱脈を発見して急いで施設を整える。竜の里と魔王城と平行する為、これ以上の探索はキツイと言う話になるが、リターンはある。


 ダイヤモンドは品質も高く、かなりの数が発掘できている。これは良い。


 こうしてしばらくはケットシーの面倒を見つつ、ダイヤ鉱山の安定化を目指すのであった。


 ◇◆◇◆◇


「うーん……素材が無いな」


 ムラサメはいま転送装置の開発をして、素材が無いと言うところまで来た。錬金、鍛治スキル以外にも、空間魔法のスキルが無いと分からないところで、空間魔法の勉強をしてようやく分かったところだ。


「宝石魔法と純魔法も勉強してよかった。色々応用が効くぞ」


 だがそれはいまでは無い。いま必要なのは転送装置だ。


「魔力を維持するコアと、鉱石が必要だ」


 魔鉱石があるから鉱石は良いけど、コアをどうするか分からない。そう悩んでいると、ロザリオが入ってきた。


「こんにちは、うまくいってる?」


「ロザリオさん!!それが、材料が足りないと言うのが分かったぐらいで」


「そうなの、頑張ったね。ボクは分からないから凄いよ~」


 わしわしして上げながら褒めるロザリオ。嬉しそうに頭を撫でられるムラサメ。


「そうだ。これ、兎さんから。新しい素材と宝石だって」


「わん?」


 渡された木箱には魔石とダイヤモンドが入っていて、それを受け取って電流が流れる。


「こ、これだあーーーーーっ!!」


「えっ?」


 こうして魔鉱石であるミスリルと、魔法の威力を高める鉱石である魔石と、最も品質の良いダイヤモンドが手元に揃い、機械を作り出すムラサメ。


 後日、わんわん王国と魔王城が行き来可能になり、プレイヤーに衝撃を放つのだが、それはまだ先の話である。

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