第64話・君に会いたいな
ログインしたらゲームはゲームでも、運営が管理するゲーム空間だった。
運営側の話を聞くことになった。ロザリオも居てかみ砕いて言えばわんわん王国と魔王城を次のアップデート時にスタート地点に追加する了承をいただくためらしい。
正直わんわん王国は良いけど、魔王城は周りの適性レベルも分からないからやめてほしい。生産で経験値を稼いだりすれば良いが、難しいのなら先輩プレイヤーに護衛してもらい、おこぼれをもらわないといけないからね。
その辺りも注意事項に上げたりして対処するらしい。そんな話をしたところ色々承諾、竜の里って言うのも見つけておきますか?と聞くが、候補に上げるのなら早い内に聞きたい。さすがに見つけても追加する時に施設の整備が間に合わないだろうと断られた。
それはそれでやりたくなりますね。
そんなことを考えていると、ロザリオが話しかける。
「えっと、兎さん。今回のお話ありがとう。それとね、別にお話があるんだ」
「ん?なんの話?」
「ボクもこれから、外に出てレベル上げとかしておかないといけないんだ。本当だったら島が海の災いに襲われた時に、色々する予定が崩れて、もうプレイヤーみたいに過ごしてもらわないと間に合わないって判断されて」
はあ、それはやったね。人の思惑を潰すのは楽しいね。
「それでも、プレイヤー扱いになるならなーって聞いた話が通って。もしも魔王城ととわんわん王国の件が片付いたらいいよって言われたんだ」
「どんなのが?」
「………リアルのお話していいかどうか」
少しだけ暗く呟くが、だけど話しておきたいと付け加えるロザリオ。
確か公式ページとかで、身体に麻痺が残る人、無菌室などで治療を受ける人、病室から出られない人がGМスタッフプレイヤーとして手伝っている話だと公式に記載された。
つまりロザリオは病人であり、病室から出られない病気を抱えた人と言うこと。
「正直、病名とか聞かれたくは無いけどね」
それだけで病名は分かりそうだが、言いたくないらしい。それほど忌避しているのだろうからなにも聞かない。
「俺から言えるのは、怖い病気なのは分かったけどお前のことは嫌いにはなれないな。それは覚えてくれ」
たぶんマーリン達もそうだろう。それくらいみんながみんな、ロザリオの事を大好きになっている。
それに嬉しそうにうんと頷く。最近の医療では治せる病気らしいので、しっかりこのゲームでもらえるお給金で治療しているらしい。ゲームも治療の一環でできているとのこと。
それから少し言いにくそうに呟く。
「だからさ、そのね。もしも嫌じゃなかったらね、その」
「うん?」
「現実で会いたいなって思って、兎さんと」
………いいの?
そう聞くとこくこくと頷くロザリオ。
………いいの!?
正直ロザリオとは友達になりたいとは思っていた。正直に言うぞ、好みのドストライクですッ!
容姿とかはゲーム世界だから分からないけど好みだし、話し方とか性格とか良いなと思ってました。病気は怖いものですが差し引いても会いたいです!
とはさすがにぶっ飛びすぎてるから言わず、冷静に聞きながら会いに行っても良いかと聞く。
「逆に聞くけど、いいの?」
首を傾げて上目遣いのロザリオに頷く。
それに少し後ろを向き、そう? ありがとうと言う。
「照れてますねロザリオさん」
「ッ!?」
顔を真っ赤にしてGМをポカポカと叩く様子。そうか、照れてくれるのか、嬉しいのか。
今日この日、βの時に投げ出さなくて良かったと思う。やっててよかったと思う。
ゲーム初期時に考えていたのとは違った状態、いつの間にか配信者になっていたり、一国の主になっていたり、わんわん王国創立者に名前を連ねていたりしているけど、全部どうでもよくなった!! やっててよかった!! 彼奴ら見捨ててよかった!!
そのおかげ俺の運は最高潮に達している気がする。マジで上がってる。
「そうか、じゃあ、がんばる」
「うん……頑張ってね兎さん」
「微笑ましいですね」
GМはそう微笑ましく見て居て、俺も少し照れる。
とりあえず方向は決まった。
竜の里、魔王城、わんわん王国をスタート地点にするぞ。VRが完成する前に。
えっ、そこまでしなくていい? いや、人の予想って潰したいやん。
ということで俺は、やる気を持ってゲーム世界、FFOへとログインした。
まずは図書館に竜の里らしい地図を見つけ出しを依頼して、魔王城周辺の探索と生産可能か確認。
そしてロザリオと自分のレベリングに加え、探索もやらないといけない。時間が足りないな。
そう決めた瞬間、バンダナ達を呼んで作戦を立てる。カリバー達も手伝ってくれるだろう。浮遊基地優先だろうが。
だがこの時の俺は舞い上がっていた。俺にだけ話してると思っていたけど、後でマーリン達にも同じお願いしてた事を知る。
少しテンション上げてたなと思いながら、作戦を進めるのであった。
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