第63話・新たなステージ
緊急会議が開かれ、このままどうするか話し合う。
「話してもいいんじゃない? 開拓許可もらわないといけないし」
そうお菓子を食べながらマーリンが答え、命姫を膝に乗せて話し合う時計兎。
やっぱりその方が良いだろう。ユニもプレイヤーの仕事を確認して、良いじゃないかと告げる。
「少なくても島の開拓も一段落着きますし、陸の封印が解けた際、次のフィールドは魔王城としたらいまのうち行動しないと間に合いません。すぐに行動しないと」
「だね、浮遊基地やレベリングも起き始めたし、そろそろ本格的に動かないと」
そう言えば、海の魔物を退治してからレベルMAXを突破して、キャラレベルが20になりかかっているプレイヤーが多く居る。カリバーとジャンヌ、マーリンがすでに20だ。三日間走り回っている間に差が広がったな。
スキルも上げておかないといけないが、キャラレベルも上げないときついか。
「んじゃ、命姫を連れていくかまず」
「なあにお父さん?」
「いまから少し遠いところにお出かけだぞ」
「お母さんは?」
「まずは向こうの家を建て直ししてからだから後でね。大きな家だから楽しみに」
「うん♪」
そうして俺は命姫を、水晶達テイム動物達を連れて、魔王城へと飛んだ。
◇◆◇◆◇
その日、変わったお客様をお迎えしていた彼女は、新しく図書室を利用するお客をどうするか考えていた。
海の災いが解き放たれた以上、陸もいつ解けるか分からない。空もまた同じだ。
だがこの魔王城は魔王様の物。人の手で開拓などあってはならない。
「私はどうすればいいですか魔王様?」
そう呟くと、転移の術でお客様がやってきた。
「………えっ」
その気配は、弱々しいが間違える事は無かった。
急いでお客様の、否、その気配がする方へと急ぐ。
「ここがそうなのお父さん」
「そうだよ」
お客様、いえ旦那様を父と呼ぶ彼の存在を視認した瞬間、彼女に電流が流れた。
「……魔王様」
「?」
その姿はまさしく彼の王の生まれ変わりであり、いまだ力は弱々しいが間違いない。魔族の王にして闇の王。闇王種と言う種族の少女に、私は膝を折り、深々と頭を下げた。
「お帰りなさい魔王様。そして新たな当主様」
私のするべき事は決まり、仕える先を見つけるのであった。
『ワールドクエスト・古の大地開拓が発生しました』
『いくつかの開拓地がスタート地点に選べるようになりました』
『NPCに吸血鬼の始祖とNPCテイムモンスター:闇王種・命姫が追加されました』
『時計兎は一国の主の称号を手に入れました 10SP』
『時計兎とロザリオは魔王の親の称号を手に入れました』
『時計兎は大国の主の称号を手に入れました 10SP』
◇◆◇◆◇
王様になりました。時計兎です。
「旦那様、これからよろしくです」
「おー、とりあえず城下町の開拓をするぞ」
「YESマイロード」
「わーい♪」
命姫と手を繋ぎながら、色々と処理をする。ロザリオもその後に転移でやってきて、早速図書館が図書室へ向かい、情報を集める。
三郎達、大工ギルドも街並みを見て開拓に入る中、ロザリオがお話があるそうだ。
「GМさんから頼まれたんだけど、わんわん王国で島の方をスタート地点に入れたいって。いいかな?」
「GМの中でもあそこわんわん王国で通るのね。了解了解」
わんわん王国とここを繋げたいな。カリバー達に浮遊基地で転送装置的な物を見つけられないか連絡しておこう。とりあえず詳しいお話は後日するらしい。
って言うか急にNPCに俺の名前が浸透し出してびっくり。もう少しSPくれよ。レベルまだ中堅プレイヤーくらいだからレベル上げないと。下剋上されちゃう。
魔王城は丸ごと俺のホームになり、図書室の閲覧とか俺の権限になってる。持ち出し不可にして、閲覧可能にしておこう。
「いまから島ではなく一国開拓がスタートするぞ」
「頑張ろう、ボクも手伝うからさ」
「ああ、一緒に楽しもうなロザリオ」
「うん♪」
「お父さんお母さん♪」
抱き着いてくる娘を二人して抱きしめて、手を繋ぎながらスタートする。
新しいゲーム。魔王国復興イベントが始まるのであった。
「ところで旦那様、竜王も従えて居て、竜の里にご連絡しなくて大丈夫ですか?」
「待って、キャパオーバー。これはどういうこと運営?」
「それならくじ引きで両方引いた兎さんが悪いって会議で決まったよ」
苦笑するロザリオ。運営もサジを投げたらしい。待って竜の里ってどこ? 一緒に開拓しないとまずいんか?
俺だけに色々集まり過ぎじゃねえ? 運が良いって言うより悪運が凄いの間違いじゃねえ?
ちくしょう、やってやろうじゃねえか。とりあえずまずは魔王国の開拓が先だ。
レベル上げもしないとまずい、ロザリオもしないとまずいか? やる事が一気に増えたぞ。まずは情報を集めよう。
こうして古の大地開拓期がプレイヤー達の中で始まるのであった。
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