第52話・大海の戦闘前編
ログインしてついに大海の獣討伐隊が出航する。メンバーは神技のブリテン号と黄昏のホーリー号、愛好家のロザリオ号。
各ギルド以外でだと猛獣系武具で形成された『武狼の牙』、非公認ロザリオファンクラブ『ロザリオ様親衛隊』。メイド服や執事達が集う謎のギルド『従者同盟』。
全八隻で特定エリア内にいる全プレイヤーを巻き込んだ特殊レイド戦に備え、プレイヤーは多く乗り込み、戦いに挑む。
「むっはー前進だ、風をうまく使うのだー」
「魔力は取っておけ、大海の獣と戦う時に使うのだー」
ロザリオ号他の船にコボルト、リーフベアが乗る。クロスウルフやオーシャン、ペガサスも居る中、船員として働くコボルト達。おかげでプレイヤーは戦闘に集中できるがリスクもある。
NPCはリスポーンしない。この戦いは決して負けられ無い戦いであるため、俺は手段をいつものように選ばず用意した。
「いまのまま前進して武狼と親衛隊、従者達と合流。大海の獣のテリトリーに入りこみます」
「入りこんでもすぐに戦闘にはならない、気を付けよう」
そうして準備していると、クロスウルフ達が吠える。
「なんだ?」
そちらに行くと樽が置かれている食料庫であり、そこから命姫と水晶が現れた。
「あーあ見つかっちゃった」
「お前ら」
「ごめんなさい、だけどお船に乗ってみたかったんだもんっ」
「キュウー」
この二人はテイムモンスターだ。コボルトとリーフベアと違い、リスポーンするからいいかと言う話になり、なるべく俺の側から離れないようにする。
【一服野郎】「おっ、他の船も来たぞ」
【レックス】「ついに船上戦か」
【エタる】「動画配信助かります」
そんなコメントを見ながらついに海域に入り、警戒しながら海を漂う。
「とはいえ、すぐに襲い掛からないのは辛いな。コメントもつまらないだろうし」
【カリバー】「だからそういうところが配信者だよ君」
【ミスタースミス】「そちらの様子見に来たらなんの話じゃ」
【三郎】「よかった、まだ始まってない」
コメント会話で命姫達がここにいる事を伝えたりしていると、命姫が抱き着いてきて、水晶が唸る。
「全員警戒ッ!!」
その瞬間、後方より大型の影を見つけたコボルトが通信して、魔力エンジンを使い加速。突如海から大型のクジラが姿を表す。
「戦闘フィールド確認!!大型レイド戦が始まったよ!!」
「あれが大海の獣か」
巨大な一本角を持つ、黒いクジラ。様々な傷跡を持ち、紫の瞳でこちらを睨みつけて、海中に潜る。
「海中に潜って、角での攻撃で船を攻撃するパターンか。情報通りだ」
そう言って狼に乗り、海の上を走るコボルト部隊と、ペガサスに乗るプレイヤーが現れた後、俺の判断でそれをばらまく準備をする。
「命姫」
「?」
「いまのモンスターがこっちに来るのは分かるか?」
「んーと、分かるよっ」
「なら近づいて来たら教えてくれ」
元々タイミングを読んで使う予定だが、こちらの方が成功率が高そうだ。
元気に頷く二人に微笑み、白薔薇が戦斧を背負い、巨大なモリを構えているのを確認。チャンスを待つ。
「来るよ」
「機雷放て!!」
大量の樽を海に投げ捨てる船。その後………
【ナイト】「うおっ、海中で爆発したぞ!?」
【ビビンバ】「兎特製水中爆弾。威力は高くて、普通に使うと自爆する」
【ナイト】「こーゆーの用意するの好きですよね」
【疾風丸】「レイドさん楽しそう」
悲鳴を上げて海面に出て来た大海の獣。すぐに旋回して白薔薇や他のプレイヤーがモリを突き刺す。
「返し刃があるからこれで食いこんだはず」
「水中に逃がすな!!海面に留めて攻撃開始!!」
各船から魔法や矢なでの遠距離攻撃が放たれ、水面を泳ぐ。かなり速く、船同士が激突しないように操作しながら引っ張られる。
「むっはー任せるのだッ!!」
【カリバー】「えっ?そっちリーフベアが操作してるの?」
【ジャンヌ】「ユニィィィィィ船同士が激突するのやばいからすぐに交代しろ!」
「? なにを焦ってるのでしょうか?」
「会長、やはり狂気のレベルですよ。リーフベア舵に届かないから、団員が抱っこしてますし」
俺は諦めた。
だがリーフベアの舵捌きは良く、船同士は激突することもなく、大砲を用意する白薔薇。
【アイギス】「えっ待って、この状態で大砲は誤射するんじゃない?」
【レックス】「大丈夫だ白薔薇ちゃんだぞー」
【マリリン】「さすがメイドの鏡。我々も見習わないと」
コボルトが火を付けて白薔薇が狙いを付けて攻撃。そうこうして攻撃していると、変化が起きる。
「なんだ?」
【神風零式】「なんだ!?」
【ナアリ】「海面が、浮かんでいる!?」
そう海が浮かび上がり、それに引っ張られるように大海の獣はイルカのようにすいすい空中に浮かび上がった海を泳ぐ。
まずいと判断にして縄を斬り離し、空に浮かぶ海を泳ぎ、こちらを見る大海の獣。雨が降り始めて雷鳴が轟く。
「嵐を呼んだか」
可愛らしいボイスで決め顔するリーフベア(海賊衣装)。そんな演出の中、水中に姿を隠さないのならやりようはあるかと納得して、すぐに大砲の準備をする。
「第二ラウンドだ、まあ派手に行こうか」
ミスリル製の弾丸は大量にある。ロザリオの船を襲った罪、ここで償ってもらおうか?
吠える大海の獣に臆さず、プレイヤーは戦闘を続けた。
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