第45話・奇跡の大逆転
この世界、呪われた道具はあり、それを解呪する術はある。
ただ神聖魔法しか存在せず、神聖魔法も道具の呪いは解けても生物の呪いは存在しなかった。いま初めて生物やキャラで呪われたものが現れたのだ。
解ける術は現状は無い。もう倒すしかない。
攻撃する手はコボルト達が戸惑う。お前達はそれでいい、これは俺達プレイヤーの領分だろう。
白薔薇も控えさせてタンクに回ってもらう。
ただ無心に敵を倒す事だけを考えろ。
攻撃を防ぎ、避けながら移動すると崖まで追い詰められた。だからどうした? 俺はここでお前を殺す。決定した事だと思いただ無心に戦う。
視界に入るコメントは阿鼻叫喚だが仕方ないだろう。ここで逃がしても苦しむだけだ。ここで終わらせるしかないだろう? 誰も正解が分からない。そう思っている時計兎はミスをしているとユニが指摘する。
【神風零式】「ミスってなに!?兎さんは必死じゃない!?」
【ウサギン】「いやまずいですよ!?あの人パーティリーダーで白薔薇ちゃんは道具扱いだから、死に戻りしたら白薔薇ちゃんも戻ります」
【エタる】「そうだよ、攻撃は白薔薇ちゃんの方も高いし、メインでダメ与えるのは」
【ユニ】「白薔薇に任せてあなたはHP管理とヘイトを集めるだけにしなさい」
うるさいうるさいうるさい。
しゃーねえだろう?白薔薇はなにげにリトルケルベロスの面倒見たりするの好きなんだよ。親殺しさせる訳にはいかないんだ。
「主ッ」
これはゲームなんだ。プレイヤーは手を抜いたっていいのは分かってるけど、けどな。白薔薇はこの世界で生きてるんだ。親殺しさせることはできない。
だから………
「ちくしょうがッ」
刀を振り下ろすと、真ん中の首が噛み付き刀を離さない。
近距離で左右の首が火を口に集めて、吹きだそうとした。
まずい………
このままじゃバンダナが、ヘルム達が死んでしまう。
ああくそ………なにが正解なんだよ運営のクソッタレッ。
そう思い、火が近距離から放たれる瞬間、風の膜ができて防いでくれた。
「シルフの風魔法!?」
すぐに刀を手放してその場から離脱。すると、
「【大聖陣】ッ!!」
神聖魔法の広範囲回復が飛ぶ。これはいったい?
「兎さんッ」
ロザリオとカツ丼達、島のプレイヤー達が飛び出す中、各々武器を構えて現れた。
【神風零式】「援軍キターーー」
【ナアリ】「けど援軍が来ても………」
【レックス】「ロザリオ様、どうにかできませんか?」
「ロザリオ」
「兎さん………」
「ロザリオ、どうにかできないか? あれはリトルケルベロスの父親だ。このまま何かの所為で気がおかしくなってるが、どうにかする方法は」
「………ごめん、無いんだ」
泣きそうなほど悔しそうな顔に視聴者達も絶句する。聞いていないだけかもしれないし、それでもこの場で無いと言われればどうにかする手は無い。
「あれはよくないものとしか分からないんだ。ごめん、ごめんね………」
「ロザリオ………」
「せっかく駆けつけたのに、苦しいこと押し付けるしかできない。ごめんね、兎さん………」
それに俺は頭を撫でて静かに立ち上がる。この間にコボルト達がけん制するが、それでも広範囲に暴れるキングケルベロスは止まらない。
「兎さん」
「ムラサメ、お前はどうして」
「これを、僕が使った最高傑作です。これがあればどんなこともどうにかできる、そう願って作ったんですが」
落ち込むムラサメ。だが別に構わない。
「悪いな、最初がこんなことで」
「………いえ」
「これ以上苦しまずに、止めて来る」
「………うん」
戦いの中で一歩一歩歩きながら、包まれている布を外して鞘から刀を抜く。
刀の名は『神刀
『ガア……!?』
キングケルベロス凶はその刀身を見て一瞬硬直した。それに驚きながら刃先を向けた瞬間に光り輝く剣。
眩しいほどの青白い光が世界を包み、キングケルベロス凶は叫び声を上げてその場に倒れる。
「………なに?」
何が起きているか分からず刀を鑑定する。
『神刀
気高き王者の角と聖女が祈りを捧げた女神像より作られた神の武器。
邪悪を絶ち、世界を浄化する力を秘めている。
対悪魔能力を持ち、呪いを消す【浄化】を装備している者に与えているらしい。
神聖魔法に【浄化】は無い、あるのは【解呪】だけだ。
そしていま俺は無意識にというか、勝手に【浄化】が発動したらしい。その力はキングケルベロスから禍々しい煙を追い出して本体を表す。
『病魔の魔神』
病気をまき散らし自我を狂わせ、凶暴化させる霧の魔神。
この世の不浄を纏い、生き物に憑りつくが女神の力で実体化した姿。
「………ははっ」
ロザリオはポカーンと口を開いて驚き、全員が驚く中で一気に頭が回転する。
「白薔薇それを吹き飛ばせッ」
「りょ、了ッ!!」
まだ苦しむ魔神を吹き飛ばしてすぐに指示を飛ばす。
「ロザリオ、神官能力者は直ちにキングケルベロスの治療に入れ。いますぐハリーハリー」
それに全員が動く中、どうすれという話になるがカツ丼が例の薬を取り出してそれを使う。彼奴も持ってたのか、VIPはカツ丼で決まりだな。
そう思いながら視聴者達に宣言する。
「いまムラサメを連れて来たプレイヤーのおかげで、キングケルベロスを操る奴が表に出て来たッ。もう容赦なく倒せるぞッ」
【神風零式】「有能」
【ナイト】「ナイスです」
【ユニ】「ということは」
【マーリン】「もう容赦しなくていいってことッ」
それに全員が活気付き、魔神は咆哮を上げて威嚇。
猿のような風貌で鬼のような姿。だがいまはそれでいい。
レベル差も何もかも翻して………
「ここであれを倒すぞ」
全員が返答する中、彼らは走り出した。
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