第46話・終わる悲劇と始まる章
病魔の魔神はHPもMPも高く、攻撃を始めると怒涛の勢いで攻められる。だがそれ以上にプレイヤー側の決意が強い。
「バンダナ後退、白薔薇は前へ。マジシャン魔法準備。各属性を順番ずつ放ち威力確認してくれ」
動く軍勢を指揮する。相手はレイドボスらしくすぐには倒せない。
「白薔薇このまま押すぞ。突撃」
「了」
「水属性魔法重視、攻撃を続けろ」
コボルト達の攻撃、巧みに躱すコボルト達はウルフに乗り、魔神へと斬りかかる。
そして火力を発揮するのは白薔薇と時計兎の持つ神刀である。これらのダメージが蓄積していく中で勝負を仕掛ける。
誘導した位置に来た瞬間、白薔薇に指示を飛ばす時計兎。ノックバックする魔法を放つコボルトマジシャン達。
『ガア!?』
驚き悲鳴を上げる魔神は谷底に落ちる。その真上から巨木を取り出して叩き付けるように乗りながらバンダナ、ヘルム、時計兎が巨木に乗りながら攻撃を続けた。
叩き付けるように激突させて、トドメにカブト割りのように刃を振り下ろす。
魔神が悲鳴を上げて倒れ、時計兎は静かに真っ白な刀を見て呟く。
「助かった」
そう言って鞘へと納め、上にはどう戻ろうか思案した。
『レイドボスを討伐しました』
『エリアの解放に成功しました』
『ワールドクエスト発生、ワールドクエスト発生』
『ワールドクエスト『古の病魔』が発生。各地に黒い霧を纏うモンスターが現れた。凶悪な彼らはどうやら操られ、気が狂っているだけらしい。原因を解決するため、開拓者達は直ちに行動に移すのであった 達成率1%』
◇◆◇◆◇
キングケルベロスと共に帰ってきた。村で待つ者の中に、母子であるケルベロス達が父親を出迎える。マザーケルベロスは近づき、涙しながらすり寄る。
「むっはー山の主が時計兎に頭を下げたぞ~」
「むっはー島の主の誕生だ」
「むっはー宴だ宴だ~」
『時計兎様は住人523名所持、並びエリアボスに認められました。称号島の主が送られます』
わんこ達も喜びはしゃぐ中、わんわん王国としてまた一歩先に進み、さらなる活動が始まろうとする。
「今日のMVPはカツ丼さんだ~」
「彼がムラサメ達を連れて行かなかったらどうなっていたか」
「カツ丼ナイス~」
「過去の俺ナイスッ!よくやったぞ俺~」
とりあえずはしゃぐプレイヤー達を後にして俺達は引っ越した日本屋敷に戻り、そこで休憩することにした。
「いつの間にか多くの住人がいるな」
「これからも増えると良いね」
嬉しそうなロザリオ。それに微笑む時計兎。
しかしと刀を見る。神の刀と名乗るこれはいったいどうやってできただろうか?
「あれ?ロザリオおねーしゃん」
コボルトの子供が屋敷の中から現れて首を傾げる。なんでも女神像が無いらしい。俺がイベントで手に入れた女神象は大きいが、ロザリオの女神像も持ち運べるがそれなりに大きい。
無くした訳では無い様子でロザリオはイタズラがバレた子のように言う。
「女神像を材料にすれば良い武器ができるからって渡しちゃった」
「なっ、大事な物じゃないのか?」
「ん~大事だけど………兎さんの手伝いができればいいやって思って、てへ♪」
そう言って卵達を撫でながら言う。
【神風零式】「可愛い」
【エタる】「可愛い」
【レックス】「可愛い」
そんな調子である為にお礼を言って刀を手に持つ。
「これが無かったらキングは倒さなければいけなかったよ。ありがとうなロザリオ」
「うんっ♪ホントよかった………」
嬉しそうに微笑むロザリオ。本当に安心しているようだ。
そうこうしているとライトとレフトが居間に来る。
「「卵が孵りました」」
「にゃー♪」
「ぴー♪」
虎の卵から子猫のような大きい虎の子供が現れる。幼き白虎と言う種族で雷を操るようだ。
鳥は炎の鳥、不死鳥だ。まだ幼い幼体であるが可愛らしい。双子は交代交代で可愛がる。
そしてユニとマーリンも現れたところで俺の卵達にも変化が起きた。
「おっ、もうすぐ孵るぞ」
「本当だ」
ミケが得意げに温める中で光が辺りを包み込む。
コボルト達が困惑する。卵から二体のモンスターが出現する。
「んにゃ眠い……」
「………きゅ~」
一人は目をこすりながらゴスロリ服で、ショートのヘアーでコウモリの羽根を持つ女の子。幼女と言える年齢で八重歯が少し見え、ミケを頭に乗せているところを見ると???の卵から孵ったらしい。
もう一匹はドラゴンの幼体。青白い鱗であり、氷の角を持ち小さな姿で飛ぶ。
飛びながらロザリオの腕の中に納まり、もう一人の子はミケをぎゅーして眠る。
こうして視聴者達も困惑する中で生まれた子供達。どちらともプレイヤーが関わった瞬間、ワールドクエストの進行が進んだことをまだ知らず、賑やかな日々はより一層賑やかになるのであった。
「………ドラゴン、まあありですね」
「モフが無くてもいいんだ」
「これだからゲームはやめられないッ」
ユニはそう叫び声を上げてスクショを取り、ミケは満足したようにほっぺをなめてあやし続けた。
流れ込むリトルケルベロス。なんか急に増えた気がする中で俺はとりあえずログアウトしようと決めて、その場を去るのであった。
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