第41話・上位の力を手に入れる

 デコボコした岩場の中、オーシャンウルフにまたがり、コボルト達は獲物を見つけた。彼らは戦闘準備をしてから立ち向かう。


「はあぁぁぁぁッ!!」


 鎖を巻きつける為に白薔薇がいくつもの鎖を投げ込み、不意を衝かれたクリムゾンコンドルに絡み付き、白薔薇はそれを握りしめ、無理矢理地面へと降ろす。


 その翼に向かって、マジシャンの土魔法で草木の鎖が巻き付き、飛べなくした。


「燃える燃える」


「けど少しでも効果がある。いまだ」


 オーシャンウルフの水魔法が放たれ、悲鳴を上げるクリムゾンコンドル。炎が消え、地面へと降りている。


 そこに俺が日本刀を持って翼部分に斬り込む。翼にダメージを負い、バンダナとヘルムがその背に乗り、短剣を突き刺す。


 悲鳴を上げて、ドスンドスン地鳴りを起こして、それでも飛べなくなった翼に鎖を絡ましたら白薔薇は戦斧を取り出して斬りかかる。


 ここからは特に何も無く、装備の強さもあり苦戦する事は無かった。


「勝利だ」


「わおーーーんーーー」


 遠吠えを上げて勝利をこだまする。コメント欄もドキドキは無いが、着実に勝利を収めて喜ぶ。


 クリムゾンコンドルの素材を手に入れて、これでマントを作ろうとする時計兎達。素材が完成したら火山エリアの探索を開始する予定だ。


 ◇◆◇◆◇


「皆さんこんにちは」


【侍ハート】「こんにちは~」

【一服野郎】「だいぶ進んでるねえ」

【鋼丸】「これからどうするの?」


「今日はロザリオのところに卵の様子を見てから、頼んでいた装備品を回収して火山エリアですね」


 24人もプレイヤーとNPCで探索に出向くつもりだ。


【レックス】「代表を何窓するか」

【ハカセ】「ついに色々見に行くのですね」

【オウル】「なにがあるか楽しみです」


 ロザリオに挨拶して卵はまだ孵らないのを確認。アクセサリーができたので取りに出向く。


 マーリンもオーブから宝石を作ってもらい腕の上がった今、ムラサメの品物に驚くことになる。


 ………

 ……

 …


「どうも遅くなりました」


 装飾コボルトのピアス、鍛冶師のムラサメが居る中、マーリンと共に受け取る。


「自然魔法スキル+2だあ」


「マーリンはいまは9だっけ? MAX値超えるじゃんか」


「ああ、どうなるか楽しみだ。君のところは」


「俺は短剣術スキルが+1で、抜刀術と魔法剣スキルが2になる。その他はМP自然回復量が5になる」


 これで10秒で13ほど回復する。そう思っていたが真紅鷹のマントが強い。


 最近ソロで活動してないから気配遮断が出番無く上がっていないが、これを装備すると遮断と感知が2レベ上がり、МP自然回復量が5上がり18ほど回復。


 残りは未知のスキルが上がるようだが、これで短剣術はスキルMAXになるな。


「これで服も作れればいいのですが、すいません。担当のコボルトがまだそこまで技量がありません」


「布系アイテムか。蜘蛛とか甲虫系を倒さないと無理だな」


 そんな話をしながら、早速装備すると………


『ワールド初、戦闘スキル限界者が出現しました。SP3P』


『ワールド初、魔法スキル限界者、限界突破者が出現しました。SP6P』


 そんなアナウンスが流れ、マーリンと共にお互いを見る。とりあえずこれでより強化されるだろう。スキル欄を見て見る。


「ん?」


「これは」


【ハカセ】「なにがありました?」

【鉄人】「なにかありましたか?」


「抜刀術、魔法剣、闘気術が手に入る」


「こっちは宝石魔法、純魔法、空間魔法だ」


 それに悩み出すマーリン。空間魔法は空間に関する物なら移動が楽になるし、魔導書もあるからある程度あげられる。純魔法が欲しいがいまは楽にしたいから空間魔法を取り、レベルを上げる事にした。


「ちなみに魔導書の使い心地はどうなんだ?」


「読むとそれ系統の魔法スキルを習得、宝石は宝石発掘って魔法が使える。稀に発掘できるらしいけど効率は悪いし、ここほど壊れ性能が引きだせていない」


 空間魔法スキルは【空間把握】と言う、隠し部屋などを見つけるスキル。純魔は魔法威力を上げる【倍加】を覚えるから人気があるらしい。


「ただ全部9Pも掛かる。それ以上の魔法はおそらく、自然魔法レベMAX者のみだろうね」


「となると、俺のも全部9Pで、習得に条件があると」


 よし、全部取ろうか。


「大盤振る舞いだね」


「ああ」


 これで習得して、できることを確認。抜刀術は居合と言うアーツが使えて、武器を大きく振り抜く動作で攻撃力を上げる。


 魔法剣は武器に純エネルギーの魔力を走らせ、攻撃力を上げる能力。


 闘気術は闘気を纏い、攻撃力を上げる。全体的に攻撃力が上がったようだ。威力とМP消費率は抜刀術、魔法剣、闘気術の順で低くなる。


「マーリンは?」


「ふっふーん。空間魔法【転移移動】を覚えた。行ったところに出向けるようだし、パーティも運べる。これで転移のスクロールを消費する必要はない」


 もう少し早く欲しかったと嘆くマーリンだが視聴者達は大騒ぎ。


 スキルアップのアクセサリーは実はピアスがたくさん作っていた。全部1レベだけなので9でMAXに、どうも交換リストにもあったらしい。


 運営的にも第三陣が来る頃で、ここで第一陣には新たなスキルを使ってほしいようだな。


 準備を初めて火山エリア探索は誰がどう行くか話し合う。


 そして俺は気配感知と遮断を上げる為に、久しぶりにソロ探索をすることを決意した。


「………」


 白薔薇がずっと抱き着いて、ロザリオも一人はいいんじゃないかな?と言ってくる。こうして白薔薇と共に火山探索に出向くのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る