第39話・再会する親子

 鉱山の中を進む。発掘をしながら奥へ奥へと降りていく。


「光苔のおかげで明かりは問題ないね」


「ああ、この先、そろそろだな」


 そう言った時、あっ、やべえっと感じ取った。


「後退」


 そう呟いた瞬間、コボルト達とウルフ達、白薔薇と時計兎はその場から離脱。それを見て即座に動いたマーリン達の下から、得体の知れない蛇のようなものが現れた。


「出たッ!?」


「こいつは………レイドモンスターじゃんか!?」


「気づかなかったなあの時」


 レイドモンスターはフィールドにいる全てのプレイヤーが戦闘参加して、プレイヤー数によって強さが変わる。


 鑑定結果、ジュエルイーターと言うワームであり、皮膚は鉱石のように固く、地中を潜って進む。宝石を好んで食べていると出ていた。


「それじゃ、行こうか」


 バンダナが剣を掲げると共に、精霊魔法火、風、樹を発動するコボルト達。クロが作った火の精霊石を装備して使用。攻撃力を上げた。


 ウルフにまたがるコボルト達が殺到する。ヘルム、あの時にボロボロの兜をかぶっていたコボルトは、いまでは立派な兜を被る戦士だ。託された魔狂熊の爪で作った短剣を使い、その皮膚に傷をつける。


「僕らの武器以外、傷をつけられません」


「武器を打撃に変更、魔法攻撃用意」


 地中を潜る中、広い場所に出て対峙する。マーリンを筆頭に魔法攻撃の準備をして、現れた瞬間に集中攻撃。


 だが火の中を突き進むジュエルイーター。攻撃は地鳴りを起こして落石を起こしたり、突撃して来たり攻撃を避ける。


 皮膚を傷つけるのは純度百%の日本刀や魔狂熊の爪で作った短剣。それ以外は打撃武器で攻撃して削るしかない。


 クロが炎を吐くが効かず、オーブはその様子を見て叫び出す。


「キューキューキュ」


「―――!?」


「キュ」


 話し合う者達が居る中で、地上から現れるたびに攻撃するプレイヤー。時計兎の刀が深々と斬り込む中で、シルフがその肩に止また。


 シルフは何かを訴えて来た。魔法の風をオーブに放ち、オーブは魔法の構えをする。


「………魔法をオーブに放てと言うのか?」


 そう呟くと、回りはえっ?と振り返る。


「えっ、それはまずくない?」


「無理です、オーブちゃん攻撃したくないですッ!?」


「………いややるぞ。魔法部隊対象をオーブに、ジュエルイーターが地上に出た瞬間に当たるようにタイミングを計れ」


「わ、わんッ!?」


 時計兎はなぜかしないといけない。した方が良いと思い、そう指示を出す。マーリン達も時計兎が何か考えがあるのを察するが、気が進まなかった。


「えーやるのかい?」


「これで間違えてたら恨みますよッ」


「オーブでかいのを放つ、行けるか?」


「キュッ!!」


 勇ましい顔で頷くオーブ。マーリン、レフト、マジシャン、クロとシルフが魔法を構え、ジュエルイーターが地上に出た瞬間に放つ。


「キューーーーーッ!?」


 宝石魔法の【反射】を使うオーブ。全ての魔法を纏めて、ジュエルイーターに反射した。


 威力が上がったのか、炎は勢いを増してジュエルイーターに激突。悲鳴を放ち、そこに向かって白薔薇が鉄槌、ライトもメイスを片手にぶつける。


 地面に激突して、ジュエルイーターはそのまま消滅した。


『レベルが上がりました 6>7』

『短剣術が上がりました 8>9』

『自然魔法が上がりまた 8>9』

『精霊魔法が上がりました 5>6』

『鑑定が上がりました 7>8』

『解体が上がりました 6>7』

『調教が上がりました 7>8』


『島の一部エリア制圧に成功しました。セーフエリアの解放に成功しました』


 鳴り響くアナウンスを聞いてる中、オーブは静かに顔を上げて目を閉じた。


 ◇◆◇◆◇


 だいぶ強くなった。レイドボスのおかげか経験値を多く持っていたらしい。


【テッキ】「おめ~」

【ウサギン】「だいぶ強くなりましたね」

【侍ハート】「勝利じゃー」


「お疲れ~オーブも頑張ったな」


「………」


「……オーブ?」


 そうして奥の方に向かうオーブ。後を付けていくと、クリスタルの結晶が生えた地下洞窟にたどり着く。


 地底湖なのか泉があり、魚が跳ねた。


 そして魔法の結界があり、それを解除して奥へと進むと………


【ユニ】「カーバンクルの里、キターーーー」

【ユウ】「いえーーーいーーー」

【ウサギン】「ウェルカムユー」


 手の者が喜ぶ中、宝石のようなカーバンクルが現れるが、ほとんどはベイビーカーバンクル。


 オーブがその中で大きいカーバンクル。カーバンクルの長と話し合っていた。


「どうしたオーブ?」


「キュ」


 ここがセーフエリアらしく、ここに家建てないと言う人もいる中で奥に進むと、


「「なにこれ」」


 嫌そうな顔をする双子ちゃん。それはまるで墓所のように宝石が積まれていて、一部の人は宝の山だと喜ぶがなにかがおかしい。


「………」


 大事そうに宝石を抱きしめるオーブ。ルビーのようであり涙を流す。


「オーブ、それはなんだ?」


「キュ」


 こちらに差しだして来たので鑑定する。


【カーバンクルの輝石】


 カーバンクルが死んだ後に残る宝石。加工:装飾に加工できる


 子を思い、夫を思いながら死んだ母の想いが結晶になっていま再会した。


 その言葉に………がコメントで流れる。ここにあるのは全て輝石であり、カーバンクルがジュエルイーターによって倒された数なんだろう。


 これはオーブの母親の物だろう。っていうかテキストが若干他のと違っていた。


「キュ」


「………それはお前の物だ」


「キュウ~」


 首を振り渡して来る。俺に持っていて欲しいのだろう。


 仕方なくそれを受け取り、カーバンクル達がオーブを称えだす。


【ミスタースミス】「仇を取ったと言うことか」

【侍ハート】「侍魂を感じる」

【ユニ】「おおーーーーーいーおいおーーいーーーー」


「………ここは立ち入り禁止区域に指定する。元々プレイヤーもここに入らないようにする予定だしね」


「「異議なし」」


「そうだね。ここにあるのは彼らの物だ」


 マーリンも双子ちゃんも同意して、白薔薇は頷く。


 コメントの中には勿体ないと言う言葉よりも、賛成する者達が多い。カーバンクル達も住人になり、長は土の精霊石を作れるらしい。


 こうしてカーバンクルを助けて、地上に戻るのであった。

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