第35話・イベント六日目中編・なんでだよ!?
王国のプレイヤー達が平和に過ごす頃、それは突然向かってきた。
「大変だッ」
「どうした?白薔薇ちゃんがミニスカになったり、客引きにご主人様とか言い出したか?」
「こいつカーテシーを勘違いしてるなー」
「それならお姉さまがいいな、課金に行く」
「違う、ロザリオちゃんがメイド服を着て来てくれたのかもしれん」
「それはぜひ見たいがそうじゃねえよッ。巨大なモンスターとモンスターの大群が王国に向かって押し寄せてるんだッ!」
「………マジで?」
◇◆◇◆◇
黒い霧を吹きだしながら、巨大な鬼のようなモンスターが森を薙ぎ払いながら前へと進む。
「おらッ、こっちに向かって来いレイドボスッ!」
紅蓮の獅子戦記、そのギルドマスターが大量のモンスターをおびき寄せるお香のアイテムを使いながら、王国に向かって走っている。
その後ろから半泣きになっている美女と泣きだしそうな団員までいて走っていた。
「ギルマスッ」
「連邦の方はどうだ?!」
「ひっ連れて来たぜッ。あのハーレム野郎に一泡吹かせてやる」
「帝国の方もレイドボスを引き連れたらしい。このまま王国になすりつけるぞ」
「ぎ、ギルマス。やっぱやめよう。王国がロストなんてなったら垢バンされるかもしれないだろ」
「るっさいぞッ。もう手遅れなんだよ、言う事聞いて走れッ」
「ッ………」
「ははっ、レイドが悪いんだ。彼奴が生産職に言ってアイテムを売らなかった、運営と組んでハーレム街道なんかしてるから悪いんだ」
そしてまた走り出す中で、
「……ふざけたこと言わないで欲しいな~」
爆炎のような炎が放たれ、レイドボスや周りのモンスターを吹き飛ばした。
「なっ、なんだッ!?」
「いや凄いねこの杖。レフトちゃんに感謝だねえ」
紫炎の魔杖を持つマーリンが微笑みながら、戦意あるプレイヤーを引き連れて現れた。
「テメエは」
「生産職にアイテムを売ってもらえなくて当たり前だろ? また滞納するに決まってるんだから」
そう言いながら炎の竜を作り出して、火の雨を降らす。
それに驚きながら戦記達は避けて、レイドボスが吹き飛んだところでプレイヤーが押し寄せた。
「特にレイド君がいなくなって高笑いしてた君らを見て、アイテム販売するプレイヤーはいないよ。その後はすぐにPKに走るし。関わりたく無くて当たり前だろ?」
「お前、なんだいまの魔法」
「火の上級魔法【炎雨】。そしてこれは【火龍】」
ドラゴンの形をした炎の固まりが放たれ、レイドボスの巨体をノックバックする。その隙に攻撃を叩きこむのは、レイド戦に胸躍るプレイヤー達。
「ちくしょう、レイドの奴そんなズルまで」
「はあ?火の上級魔法は私以外にも使えます~これはレベル8の私が、武器のレベル+1で9になったから使えるだけです~」
頭の悪い言い争いをする中、マーリンは心底嫌いと言う感情を出して微笑み魔法の準備する。
「言っておくけど帝国、連邦面からモンスターを引き連れて居てもカリバーやジャンヌが当たってるからね。レイドボスを引き連れたのには驚いたけど」
「はあ?………はあッ!?」
「ぷぷぷっ、君が王国ロストしてでもモンスターを引き連れて襲わせる事に彼はいち早く気づいててね。逃げられたときからモンスターの大進行に備えていたのさ」
「ふざけっ」
その時、石が飛んで来て顔に命中するギルマス。
「ぐげっ」
「むっはー……戦いの場はここなのか?」
カトラスを持つリーフベアがブレイブコボルトであるバンダナと共に現れ、ウルフ達と共に戦場に現れた。
「むっはー大物だぞ大物だぞ。大昔に出て来た病魔じゃないか」
「むっはー彼奴は嫌いだぞ。彼奴の所為で島から人間がいなくなったんだ」
「なにか新情報。動画配信モードしてよかったよ」
【鋼丸】「配信助かる」
【エリック】「病魔ってどゆことなの?」
【テッキ】「これって下手すると乗り遅れあり?」
【侍ハート】「戦じゃあーーー」
「さすがに王国ロストは痛い。王国の騎士団にポイント取れるのも嫌だし、プレイヤーがやるしかないね」
前もって帝国、連邦側にも噂を話していた為、どうにかなりそうだが………
【カリバー】「こちら帝国方面、レイド戦を始める」
【ジャンヌ】「こちら連邦。モンスターの数が多い為に援軍求む。レイドボスの所為でレイド戦だからサポートする」
そんなコメントを見て、了解と二つの配信にコメントするマーリン。そしてマーリンは叫ぶ。
「ボスはスタン状態させたりするから、気兼ねなく突撃すると良いよ。回復は自己判断でよろしく~」
「おーッ!」
「聞いたときはマジで思ったけど、サポートおいしいです」
「ラストアタックいただいていいですか?」
「いいよ~この子に勝てるならね」
「了、委細問題なし」
戦斧を振り回しながらモンスターを薙ぎ払い、狼達と共に突撃する白薔薇。それにプレイヤーは大盛り上がり。
「白薔薇ちゃんと戦闘、新戦闘衣装キターーーッ!!」
「お、おれサポートに回ろう。コボルト君、俺と組んでくれー」
「コボルト君二人の持つ短剣性能良くねえ?」
「おおっ、サプライズか。いいな~」
「バンダナ君は分かるけど、もう一人は何君だろうか?」
盛り上がる中、歯ぎしりするギルマスに対して静かにあざ笑うように微笑む。
「君さあ、全部レイド君の所為にしているけど、そんな訳ないだろう? 彼は君達の事は嫌いだけど垢バンは嫌だし、不正はしないよ君と違って」
その言葉にびくりと身体を震わせる。それにギルドメンバーはえっと驚く。
「ふ、不正って」
「いっや~やっぱりしてたんだね~」
「て、テメエッ。カマかけたのか!?」
「いくらなんでも君らがレイドボスを引き連れるのは速過ぎるしタイミングも良すぎる。なにかしら不正をしているのなら、ログを辿って運営が止める。それが無いとなると、ログを誤魔化すツールかな? 実はねえ、そういう噂があるんだわ最近」
女子にセクハラしたり、いじめのように個人に集中攻撃する話し合いを隠すウイルス。不正ツールがあるらしいとマーリンは言う。
それに全員が戦慄する中、一人だけ怒りにわなわな震えている人がいる。
「くっ、そがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
向かってくるギルマス。腐ってもトップギルドのステータスだが、そこに割って入る男がいた。
「テメ」
「おい元ギルマス。詳しい話を聞かせろこの野郎」
そう言って不敵に笑う男は、ミスリルの輝きを宿す日本刀を構えていた。
「このッ」
「遅い」
そう言ってすぐその場から離脱して、マーリンがにんまりした顔で魔法を構える。
「はあッ!?テメエが相手すんだろ!?」
「「誰がそう言ったバカ」」
そう揃って行って【草鎖】と言う言葉を呟くと共に緑の蔦が紅蓮の獅子戦記達を縛り上げる。
今度は土の上級魔法。相手の動きを阻害する魔法を使い、問題児達を捕まえた。
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