第25話・進む会議前編

 椅子に座り机を囲む俺、マーリン、ジャンヌ、ユニ、カリバーの各場所責任者。ジャンヌとユニ、カリバーの後ろに副隊長的な人が控え、俺は白薔薇を控えさせて紅茶を飲む。


「それじゃ、今日集まったのは第二陣を含めたプレイヤーイベント。ポイント祭りについての話し合いだ」


 運営からイベントで特殊なモンスターがフィールド中に発生、特定モンスターを倒して獲得したポイント分、賞金がもらえると言う内容。


 生産職の人も参加できるようにその期間の間、ポイントで売買可能になる。


 ポイントはその期間のみの限定的なもので終了時に獲得ポイントを交換リストから交換してもらう内容だ。


「報酬ポイントとは別に貢献ポイントと言うものであり、それに順位がある。僕としてもこのイベントは上位に食い込みたいと思ってるんだ」


「『幻獣愛好家クラブ』はおそらくあるだろう報酬。モンスターの卵が欲しいですね。時計兎さんでモンスターの卵を手に入る事が分かりましたから、確実に高い物から低い物まであるでしょう」


「『黄昏の乙女』は神聖アイテムが欲しい。この旗のような性能の物があると期待している」


 そう言って見せるのは初期のボーナスポイントで交換したアイテム。パーティとチーム、レイド戦ならレイド参加プレイヤーにステータスをアップさせる効果がある。地味に強く、MPとHPを自然治癒もさせてくれるため、レイド戦では必ず一つ欲しい物だ。


「まあ、レイド戦では一つしか機能しないとされてるがね」


「それはそうだよな、リジェネアイテムや装備はそろそろ出回ってきてるだろ?」


「ああ、僕のマントとかジャンヌのアクセサリーとかがそうだね」


 それで全プレイヤーを回復させるアイテムはぶっ壊れ性能過ぎる。それでも欲しいのはそれだけではない。


「ウチは聖女ロールや神官ロールする者が多いからね。目玉になるアイテムが欲しいんだ」


 そう言う意味で報酬はかなり欲しいらしい。


「はいはーい、我々島開拓組は人手が欲しい、物資が欲しいだけだよ」


「そちらは愛好家が全て担当します。出費に関してもこちらが。好きにさせてもらいますしこれくらいは当然なので」


「異議なし」


「君はいいのかい?島が乗っ取られるけど」


「住みやすくなるんだから気にしないし、昔の事だが迷惑かけたからな。これでチャラだ」


「さすがにあれはもうあなたとは関係ないと思いますが、そう言うのならそうさせていただきますね」


「なら神技にポイントを集中した方が良いな。貢献ポイントはどう稼ぐ?」


「まず組織を運営するリーダー組織を決めてそこから協力、連盟者達がお祭りに貢献したポイントが入るから。僕達『神技の騎士団』に協力すると言う形で登録してくれると助かる」


「そこから貢献ポイントは報酬ポイント分入るので、その設定をすれば好きにしても神技にポイントが入ります。協力して各団員プレイヤーに報酬ポイントが回るように動かすのが最適ですね」


「黄昏、愛好家は順位には入らないのか」


「はい、そこには興味ないので後は同じように報酬ポイントを稼ぎたいだけのギルドのリストがここに。目を通してください」


 ユニが人を使い、その辺り仕事はしているらしい。雑務を積極的に担当するつもりのようだ。


 リストを見ると迷惑をかけた生産職ギルドが多い。それにマーリンは気にしすぎだよと苦笑する。


「さすがに君を恨んでいる人はいないよ。適切に対処してくれた人だからねえ」


「そうだね。僕らも君個人は信頼できてたし、言っちゃ悪いけどあれの相手を任せてたと言うのもあるから」


「なんであの人達、いまだに垢バンされないんです? 私的にこのゲームからいなくなって欲しいんですけど」


「ギリギリPKの範囲なことと、まだプレイヤーの問題で済む話だから………」


「……まだ活動してるのか?」


「盗賊ギルドとしてね。帝国で討伐隊が組まれて、連邦と王国を行き来してる。いま被害があるのは連邦かな?」


 まあゲームの楽しみ方は人それぞれだが、他人に迷惑をかけるのはどうだろうか?


「ついでだから、君をエサに前に出て来たら捕まえる気だよ。賞金首は貢献ポイント高いでしょ」


「私達も決して許す気が無いので」


「我々は愛好家と違って直接的な被害は無いがまあ、レイド戦では何度も頭を痛めた相手だから容赦はしない」


 神技、愛好家、黄昏からそう言われ戦記はいつ終わるか分からない状態らしい。どこかのエリアで隠れているらしいが………


 あっ。


「ん?どうした兎君? なにか重要なこと忘れてた的な顔をして」


「俺が見つけた隠しエリアがあるんだが、まさかそこに隠れてないよな?」


 沈黙が流れる。すぐにいやいやと声が上がる。


「あなたが発見した隠しエリアに隠れて、色々やり過ごすって………」


「普通は無いだろう、時計兎が自分達に対して恨み言があって、僕らと仲が良いことはわかるだろうし」


「そうなんだが彼奴らだからな……」


 地図と照らし合わせて場所を伝える。それを聞いた神技と黄昏はイベント中に襲撃を仕掛ける話になった。


 スタンスの話し合いは終わった。次は小休憩を挟み、具体的に何をしてポイントを稼ぐかの話し合いだ。


「クロちゃーーーーんーーーーッ!?」


 いの一にクロの元に向かうユニ。それに微笑みながら肩をすくめるカリバー。念のために団員を走らせて準備に入る。


 俺はジャンヌと妹達についての話し合いをしておく、島では俺が保護者の一人だからね。マーリンは相変わらず楽しそうにしていた。

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