第22話・緊急依頼
緑の熊を助けたあと、いまは樹海エリアのセーフエリアに移動。
「むっはー助かりましたのだ~」
アイコンは青、NPCだ。見た目は綺麗な色の緑の毛並み、可愛らしい熊さんと言う感じであり蝶ネクタイやネクタイを付けている。
シルクハットを被る子が三人のリーダーらしく双子ちゃんを落ち着かせていた。
「吾輩達は『リーフベア』。木の精霊なのだ」
「助けていただき、ありがとなのだ♪」
「できればこのまま助けてくれると嬉しいぞ」
「何かお困りごとかい?」
それに悲しそうにするリーフベア。なんでも自分達は聖樹の子供であり、聖樹の側で生まれて旅立つかその場に居続けるかするのだが、凶悪なモンスターが近くに住み着いた。
「その名も『マッドアサルトベア』。アサルトベアの進化種なのだ」
「マッドアサルトベアとアサルトベアは吾輩達を食べて、強くなっているのだ」
「このままでは聖樹の元にも来るかもしれないので助けて欲しいのだ」
「はいはい、どの辺か教えてくれ」
「助けてくれるのか?」
「すぐは無理だけど、助けない選択肢は無い」
君達はわんわん王国の住人なのだからね。そう心の中で付け加えた。
双子ちゃんがにっこりと微笑むのだが可愛いと言うより圧が強い。
「ホント、可愛い女の子には甘いね君」
「そう見えてますか?」
【カツ丼】「圧が強いね」
【レックス】「けど裏山」
【一服野郎】「選択肢は無いねえ」
にっこりに混ざるマーリン。とりあえず使える手は全て使い、今度はアサルトベアの殲滅戦をするべきか? そう話し合いながら行動に移る。
◇◆◇◆◇
アサルトベアはテイム不可のモンスターで愛好家も本土に居るから島からは追い出していいんじゃないかと言う意見が出ている。アサルトベアとマッドアサルトベアは複数いるとのこと。
聖樹があるのは三日月の形をした島からしたら真ん中であり、火山の麓にある。樹海エリアから出るとすぐにアサルトベアと言う種族が現れて敵対する。
「可愛くないです」
「問題ないよお兄さん」
「はーい」
アサルトベアは赤い毛並みに牙が目立つ大きな熊だ。凶暴性が高く、常に飢餓状態だという話。
レイド時代、帝国では良く出て来て良く倒した。皮や牙など素材として高く狩りがいがあり、常によだれを垂らしている熊と認識されている。
バンダナ達でも対処可能な赤い熊。アサルトベアとマッドの違いは赤か黒かくらい。少し巨体だが怯むコボルト達では無い。いまではウルフ達もいる。
戦う中でリーフベアを助けたりして護衛をしながら戦うことになる。
「さすがにリーフベアが一か所にいないのはまずい」
「むはー他の者は聖樹の部屋で隠れて住んでます」
「外に居るのは?」
「さあ?」
首を傾げるシルクハットの子。ここまでで三匹から五匹くらい助け出したりしている。これ以上増えるのはきついんだがね。
「このクエストがクリアするには、アサルトベアを倒し尽くすか、セーフエリアにこの子達を連れていくしか思いつかないな」
「それではどうします主?」
「まずは道中見つけた子を助けつつ、エリア解放を目指す。となるとボスキャラはどこにいるかだが」
「マッドアサルトベアを全員倒せばいいんじゃないかな?」
「マッドアサルトベアは三体いるのだ」
そう言われてリーフベア救出隊は三つにする。マーリンをリーダーにしたウルフ部隊、白薔薇、ライト、レフトとバンダナのコボルト部隊。俺はシルフと数人のマジシャン部隊でやることになる。
「やれやれ、用意した手を試してみるか」
「じゃあ頑張ります」
「まずは探索ですね」
「吾輩達が居そうな場所に案内するのだ」
三体のリーフベア達と共に別れて移動を開始する。
そして俺の方はとある建物。洋館のような廃墟へと入りこみ、中に居るアサルトベアを退治する。
「はわ~アサルトベアがここまで入りこんでいるのだ」
「なにかまずいのか?」
「聖樹の部屋はこの建物の奥なのだ」
念のために見に行こう。肩に乗るリーフベアと共に奥へと進むと一匹のモンスターがいた。
「いた」
「むはー、あれ?色が紫なのだ」
紫の上に薄紫、紫紺の宝石みたいな肩をした巨体であり、目は赤く血走った様子で爪はナイフのように切れ味が良さそうだ。
【グルアアァァァァァ!!】
突進してくるモンスターに【石壁】を設置しながら避ける。鑑定を使うとマジックマッドベアと成っていた。
内容は栄養のある物を食べ続けたマッドアサルトベアの変異種。飢餓の余り気が狂い、その身は獲物を求めて彷徨うと出てこいつがボスかと内心焦る。
「マジシャン達はリーフベアと共に離れた位置へ、俺がタンクする」
「わんッ」
「気を付けるのだ」
「シルフは風で援護可能の時はいつでもしてくれ。念のためにまずはこいつを外に出す」
突っ込んで来るマジックマッドベアに【火球】をぶつけて、タゲを取りながら外へと誘導。
【侍ハート】「建物の外に出られたけど」
【カツ丼】「強いし早いぞ。樹海大蛇並みの強キャラだッ!?」
【ウサギン】「可愛く無いので倒していいですよ~」
【ビビンバ】「まず倒せるか心配してあげて愛好家の人」
ホントだよ、とりあえずなんとかできそうな場所に誘導しよう。っと爪ッ!?
【カツ丼】「鋼の円盾に亀裂が!?」
【ミスタースミス】「少量とは言え魔鉱石入りだぞ!?」
となると肉質は固いと見る、突くのは筋肉が無い部分。それも胸元とかじゃなく関節部分ッ!!
【ナイト】「関節部分に剣捻じ込んだけど浅い」
【レックス】「まずい、こいつは斬撃系に強くて、打撃系攻撃が正攻法のタイプッ!?」
【ユウ】「白薔薇ちゃんがいないのはきつい」
ならまずは肉質を砕こうか?
「やれッ」
「「「【石壁】」」」
外に出て地図を見ながら後方と左右を囲む壁がせり立つ。
「シルフ」
ストレージから小麦粉が入った袋を取り出して相手にぶつける。これで密閉されたところに細かい粉ができた。
「【火球】」
爆炎が吹き荒れ獣の悲鳴が響く。
【ハカセ】「粉じん爆発!?」
【オウル】「いつの間に小麦粉を」
【カツ丼】「マーリンさんから小麦もらった時だな」
黒煙が立ち上るのだが岩の壁が崩れ、中から五体無事なマジックマッドベアが姿を表し、俺へと凶悪な爪を向けて突っ込む。
「危ないッ!?」
リーフベアが叫ぶがあっ、この位置は助かります。
「目ッ」
相手の突進力を利用して懐から取り出した鋼の短剣で目を刺して、勢いよく持ち上げられた。
目を刺され振りほどくように上半身を上げてたとき、踏み台のようにマジックマッドベアを蹴り頭上を取る。
「精霊魔法解除」
体制を整え魔法を解除してカブト割りの如く、喉に剣を叩きこむ。
差し込みに手ごたえを感じて、そのまま全身の体重を乗せて斬り込む。悲鳴を上げ血を流すマジックマッドベア。
致命傷への一点集中攻撃。
「傷ができた時点で俺は勝てる」
そう呟き鋼の短剣を捨ててとある物を取り出す。話を聞いたとき、視聴者にはサプライズにしたかったがここで出す。
取り出した物を見て視聴者はざわつく。
【ミスタースミス】「………刀?」
口から血を拭きだしながら迫る凶悪に対して、精霊魔法を再度使用して居合斬りの体制で放つ。
両手戦斧並び鋼の鉄槌を除く場合、俺の知る武器攻撃力最大+224値。話を聞いたコボルト鍛冶師が作った最高品。
「純度百%の魔鉱石の太刀」
素早く振るわれた刃は綺麗な音を立てて首を跳ねる。
巨体をかいくぐり、刃こぼれの無い日本刀を見ながらうんと頷く。
「これも売りにできるな」
【ミスタースミス】「ジャパニーズ・ブレード!?」
沸き立つコメントを見ながら俺はうんうんと頷いた。
『レベルが上がりました 5>6』
『短剣術が上がりました 6>7』
『盾術が上がりました 4>5』
『自然魔法が上がりました 6>7』
『精霊魔法が上がりました 2>4』
『鑑定が上がりました 5>6』
『調教が上がりました 6>7』
『解体が上がりました 4>5』
『ワールド初、エリアモンスターソロ討伐されました SP3P獲得』
『島の一部エリア制圧に成功しました。セーフエリアの解放に成功しました』
鳴り響く音を聞きながらここからは純度の高い奴を使うかと決めて、後はみんなと合流するのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます