第21話・舞い戻る蛇は歓迎される

 翌日もまたログインして各々好きにする。テイムモンスターを増やすなら食べさせる食料を増やさないといけない。それは双子ちゃんの仕事。


 子供コボルトに洋服を着せて動画とスクショを撮るのに忙しいがそれはそれ。ちゃんと仕事を与えられて働こうとする。子供達も楽しそうでなによりだ。


「うさぎしゃん、洋服着せてもらったのー」


「おひめしゃまみたいー」


「ぼくスーツマンー」


 子供コボルト達がそう言って服を見せている。嬉しそうでなによりだ。


「小麦粉とトマト、その他の調味料とモンスターのお肉ですね」


「牛さんと鶏さんも増やすんですか?」


 双子ちゃんは集める物のリストを見て訪ねて来る。トマトはわんこやコボルトが好きなので増やすし、小麦粉はパンや麺類に使えるからね。


 肉は次に欲しい物、そして牛と鶏は小屋を増やして増やすつもりだ。


「本土に戻ったら羊と山羊も仕入れるよ。小屋作りは愛好家の人と相談して作ってくれ。コボルトの邪魔しちゃだめだよ」


「「はーい♪」」


 嬉しそうに返事をする双子ちゃん。マーリンは魔物の素材を使って魔法道具作り。


 マーリンは錬金術と調合、加工スキルを持ち主でスクロールや紙を作る。


 俺は再度現れたビックストライクボアを退治に向かう。強くなったコボルト達と俺の敵では無かったな。大きな落とし穴にはめずに退治できた。


「へえ、みんな強くなったんだね」


「ああ、あとすることは三日月の形の島だとしたら、クリムゾンコンドルは退治しておこう。一応発掘取ろうとしてる子達もいるし」


「ライトちゃんとレフトちゃんだね」


 ボアを退治し終えて自由時間を獲得。ロザリオとホームで話し合っていた。モンスターの卵発掘はいまプレイヤーの間で話題。クロの人気も比例して上がっていた。


 彼女とは話はできる時にしておこうと思う。彼女はNPC側だから、情報はプレイヤーから話さないとつまらないだろう。


「樹海エリアの先は?」


「コボルト達も最近ウルフ達に乗って行動するからスキル上げ。樹海エリアで川を見つけて研ぎ石が手に入ったし、ゆっくりペースかな?」


 後はイベント用に鋼のインゴット作りをして、砂糖と胡椒を用意するくらい。


「胡椒はエルフさんの国の物だからねえ、高いから仕方ないよ」


「そうそうエルフって……なんの話?」


「あっ!?あー………あー」


 なんかやってしまったと言う顔をしているが急に目が何かを読み始めて、なにか安心するロザリオ。運営用にコミュニケーションを取るウインドウが開いているのだろうか?


「エルフさんの国だよ。三大国以外にだって国はあるもん。ハーフリングさんは連邦みたいに移動しながら独自の場所にいたり、ドワーフは荒れ地の洞窟の地下で武器作ってる」


 どうやら情報解禁されているらしく色々と話してくれた。開拓が進んでいるのなら今頃開拓者の人も関わり出しているはずだよと言っている。


【カツ丼】「確かにそんな話がワークエ後に出て来た」

【テッキ】「他にも狐の獣人の国とかあるとかないとか」

【ミスタースミス】「そう言えば狐とか選べないはずなのに見かけるのう」


 色々と変化はあるらしい。やはり買い物をする為に一度本土に戻った方が良いな。


「買い物するんで、物々交換用に牛とか山羊とか用意してくださいね」


【ミスタースミス】「待ってる」

【ハカセ】「待ってます」

【ナイト】「樹海大蛇復活して欲しい」

【ユニ】「集めておきますね」


 ユニが買い物を全て賄う気らしい。まあ好き勝手にするんだから、貢献してもらわないといけないからいいが。


 樹海大蛇はいまなら倒せるだろうな。俺も復活して欲しい。


「時計さーん、樹海エリアで巨大大蛇の影が」


「全員集めろ、いまから蛇狩りをする」


 良いところに出たな。買い物用の軍資金。


 全員で叩きに出向き、本土に戻ったときアイテムになっていただこう。


 ◇◆◇◆◇


 樹海エリアで機動力重視で狼に乗るコボルトとプレイヤーで探している。シルフまで付いてきているがレイド戦なのか分からないが………


「おそらく樹海大蛇は参加人数で強化されるモンスターだ」


「それを一人でやるのはなかなかだね」


「レベルもまた上がりそうで、良い経験値になってくれそうで助かるけど、実際マーリン達の方が上だろ?」


「私達は同じですよ~」


「生産にも手を出してますから~」


「私だって錬金と調合に手を出して、最近は精霊魔法にも手を出したからね~……君より二つ上くらい?」


 いまの俺はLv5だからLv7か。こいつは長くゲーム世界にいるようだ。


 勉強のことを聞くと日本史が分からないと泣きつくし、その辺はこいつも学生ってことか。


 そうして辺りを見渡していると、


「彼奴は何か追わなきゃいけないのか?」


 緑の子熊が三匹食われかかっている。


 火の玉と影が先走り、先制奇襲できないのはさすがにどこも同じかと俺はやれやれと首を振る。


 双子ちゃんの先制攻撃を許してまずは目を寄こせ、話はそれからだ樹海大蛇くん。


 魔法の【火球】が当たり、顔を上げた樹海大蛇。そのまま熊まで一直線で進むライトちゃん。俺はそのまま頭部に向かっていく。


「【石礫】」


 攻撃が放たれ、タゲが俺に向いて噛みついてくる。目玉いただきます。


『シャアァァァ!?』


 切れ味が良いから、刺して引き抜くことができた。良いねこれ、少しは無茶ができるし、発動している精霊魔法のおかげで素早く動ける。


「遠距離攻撃ッ、白薔薇ライト以外は距離を取れ」


 水魔法と弓矢が放たれ、蛇がとぐろを巻いて防いだりしている。


「それじゃ、はい【火球】」


 業火が舞い上がり、激流が放たれた。初撃で放たれた火と比べ物にならない威力が激突して悲鳴を上げた。


「戦斧」


「了」


 ズバンと尾を切り捨てて、血が舞い上がる事が無いがダメージで暴れまくる。


 ライトはすでに子熊達を連れて距離を取り、口を開いた瞬間、中に向かって剣を差し込む。


 悲鳴を上げ即座に離れると牙が落ちた。そう言えば倒し方を気を付けると牙とか手に入るって話だ。鉄槌の時も落ちてたけど剣でもいいのか助かります。


「お前素材うまいから、ランダムじゃなく週一復活してくれ」


 抗議するように威嚇する蛇は毒のブレスを吐いた。あっ、シルフが風で吹き飛ばしてくれた。


 あかん、このパーティーで苦労すること無さそう。この後はじわじわ削って退治しました♪

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