第20話・少しずつ分かる島

 翌日ログイン。バンダナが双子ちゃんに警戒するが、クロを初めとした子供達は無邪気に突撃する。双子ちゃんも嬉しそうに遊んであげてる。子供コボルト達は可愛いお洋服着せられて喜んで見せに来る。たぶんいまスクショ撮る方にシフト変えて好感度上げに変えたんだろうなあの子達。


 ジャンヌには悪いが華やかになった。いやまあロザリオと白薔薇がいる時点でもういいんだが、やっぱり華があるのはいいことだ。そんな雑念を考えつつこれからすることを考える。


 とりあえず島でしたいことは限られるから、いずれ本土に戻る気だったからこれで帰りやすくなったな。帰っても彼奴らがなにかしてくるだろうと思っているから、助けてくれるところが増えるのは良い事だ。島取られたけど。


 だが逆に相手の目的が分かるのは楽で良い、あのギルマス無計画に一位になりたいと言うが無計画の癖に文句言うから。


 愛好家の人達なら言わなくても島の整備、開拓は手伝ってくれるだろう。人も集めてくれるだろうから助かる。その辺は一度行ってから話し合いだな。あとは………


「マーリン、小麦とか無い?集落で増やすから粉では無いの」


「おや?いいのかい、島にあるものだけで開拓するかと思った?」


「スポンサーはここをわんわん王国にすることだろ?王国にする為の土台作りに手を抜けるところは抜くぞ俺は」


 そう言ってストレージから小麦の束を取り出して渡される。これで小麦作りがはかどる。


 すぐにバンダナ達に指示を出して、オーブを抱っこする双子の………よく似ているから装備でしか区別がつかないな。ライトちゃんが高い高いしてた。


「このメンバーと白薔薇でフォレストウルフの住処に行って、スペックを確認します。途中マトマの実を回収してテイムできる限りしますし、開拓するので護衛任務です。よろしいですか?」


「「はーい」」


「早速働かされるのか、道具作りしたいんだけど」


「お前はまず土上級魔法書を読んでくれ」


「君はこれからどうするんだい?」


「サプライズが用意できるか、コボルトに聞いてくる」


「サプライズ?」


「サプライズ」


 後はシルフに人数分の精霊石が作れないか頼む。シルフはOKと返事したのか、ロザリオの分も含めて作業に入る。小麦粉が手に入ればスイーツ作ろうか。


 職人コボルトを数名確保してフォレストウルフ達がいる場所へ。数匹こちらにいたので案内は大丈夫。お土産を確保しないといけない。


 ◇◆◇◆◇


 土産を確保してやってきたのは樹海エリアの西エリア。海側であり岩場が広がる。


 洞窟らしいのを見つけて港町Aくらい作れそうな場所に出て来た。


「おっ、他のわんこも来たぞ」


 クロは嬉しそうにはしゃいでいる。双子ちゃんのお願いで幼体だがこの子も連れて来た。


 フォレストウルフ以外にも水の中、海から狼が走って出て来た。なんだこれ?


「ふむふむ、鑑定したけどオーシャンウルフって名前らしい。水陸に住む狼で水中行動ができる水属性のモンスター。ハーフもいるのかクロスウルフと言う子もいる」


「「テイムしましょうか」」


「あ、うんそうだね」


 小さなモコモコしたものにコメントも癒される中、島の住人が250人になった。狼全てテイムはマジだこの人達。


 海の側にある洞窟もあり中を確認する。機械っぽいオブジェクトがある、なにに使うのは不明、ただの置き物だ。この入り江、体育館並みに広々としているが人工物がある。


「おっと、看板だ」


「なにが書かれているか分かるか」


「了、プールエリアと書かれています」


 プールエリア?古代語らしいが、この辺りプール?


「了、ここは細かい生き物を飼うスペースとのこと、あとは触れあいコーナーです」


「触れあいコーナー?」


 なんかここ動物ランドの宿命が定められた島かも。元々ここはオーシャンウルフとフォレストウルフ達がいて、長い時間が過ぎてその子供達の他にハーフのクロスウルフ達がいるらしい。


 フォレストウルフは木に関するスキル持ちであり農業がはかどる。オーシャンウルフは水泳持ちであり水魔法が使える。水流を操り氷の氷柱を放つ。


 後は双子ちゃんがテイムしてもこの島のリーダーは俺らしく、俺のところの住人が増えたことになる。


「おそらく君が島の開拓者だし、リスポーン地も君のところだから君の成果になってるんだろうね」


「ここの管理人はお兄さんで良いと思います」


「クロちゃんのお父さんですからね~」


【カツ丼】「母親はロザリオちゃんね」

【レックス】「ハーレムですね」


 ハーレムと言う割に浮かれたくても浮かれていられない。スポンサーである黄昏と愛好家がいるし、下手な事を言ってロリコンと言われたくない。


「今度はクリムゾンコンドルだが、マーリンがいるから問題ないな」


「はーい、私も君と同じ中間管理職だから怒られたくないので働きます」


 世知辛い世の中になった。


 わんこまみれになって嬉しそうな双子ちゃんにここの開拓指示して俺とマーリン、白薔薇は樹海エリアをくまなく探索する。


 あとここ南国エリアらしい。看板があってそう書かれていた。


「胡椒の実があった」


「こっちはコーヒーの実だね。コーコの実とパイスの実っと」


 良く知らべると大昔は整備されていたが、長い年月放置されて種とか草木が混ざって生えている。


「つまりだ」


 海岸エリアはそのままで鉱山エリアで発掘作業があって、その奥の樹海エリアは南国の物があるエリアだった。


 火山エリアは火山帯そのままで火山の前やこの先を見ると、この島は三日月の形をしている。真ん中が火山であり、そこから島のエリアが広がっている。


「海岸エリア辺りは自然豊かって感じで、昔の人の施設とかは真ん中付近か。先端部分にあるかもね」


「なら火山は無視して真ん中を調べるか。足がかりとしてここを村として機能するように開拓する。人も呼ぶのもいいかもしれん」


「人を呼ぶってあの子達だからエンジンになってたけど、他の人の為にずっと海に魔法放つ気は無いよ?」


「転移のスクロールを作る目処があるだろ? それが無いとここまで来ないはずだお前」


 店を持っているんだから、別の店舗確認に出向かなきゃいけないはずだ。それにテヘペロをするマーリン。こういうのをあざと可愛いと言うだな。


「前から思ったけど、鼻の下は伸びないねえ」


「別に嫌いじゃないぞ。可愛いとか分かるが浮かれて良い時と悪い時くらい分かるよ」


「私の事を可愛いと思ったならいいけどね」


「それを俺が言うんじゃなく自分で言うなよ……君たちはああなるなよ」


「「はーい」」


 そんなやり取りの中、ここはトマト畑、小麦と漁獲場所として機能するように動く気だ。


 もっと奥に行けば整った設備があるかもしれない。そう思いまずは広がる樹海エリアの探索をしておく。

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