第13話・準備をまた始める

 魔鉱石ことミスリルや魔導人形と言う存在に驚きながら、動画配信設定をして、ゲームを始めた。


「こんにちは~」


【レフト】「こんにちは」

【ライト】「こんにちは」

【一服野郎】「祝え!新たな動画配信者の誕生を!」

【疾風】「いやーーーふーーーーっ」


 いつもの人から新しい人が反応する。これからは動画配信モードになり、動画が公式のページから時計兎として配信する事になる。


「とりあえず、新しくよろしくお願いします」


【ビビンバ】「はーい」

【カツ丼】「それでなにするんだい兄弟」

【テッキ】「開拓するんだろ?言わせんな」


「そうだね、開拓しないとね」


 ワールドクエストはおそらく、プレイヤーが未開拓を開拓した数だけ解放される。すでにギルドがチームを組み、協力して事に当たっている。


 おそらくここもその内の一つ。


「まずは魔鉱石についてだけど、ミスリル加工はしばらくしません。鍛治レベルとか上げてから手を出します」


【ミスタースミス】「確かに勿体ないからな」

【カツ丼】「交易して欲しいっす」


「となると、鉱山の中、森に出現するビックストライクボア退治。そして鉱山の外の探索ですね。この島がどういう形か分からないけど、まずはスタート地点から調べますね」


【レフト】「島なんですね」

【ライト】「海か………」


「来られたら来て良いよ。そう簡単に見つからないけどね」


【レフト】「言質取りました」

【ライト】「だね」


 手の者は怖いが、さすがにない、よな?


 後は『紅蓮の獅子戦記』と言うギルドだが、彼奴らは動画を見て、魔鉱石とかを自分達の物だと主張しているらしい。だが初心者プレイヤーにも噂は流れていて、まともに聞く者はいないらしい。


 俺の動画にもコメントしようとして、他の人がブロックなどしている。コメントも削除している。後で確認したが、結構多かった。暇なのか彼奴ら。


「とりあえず白薔薇の戦闘スペックの確認後、コボルトと協力して開拓ですね」


 そう言って、俺は行動を開始する。まずはビックストライクボアだな。


 ◇◆◇◆◇


 ただストライクボアをでかくしただけの巨体が動く。ただの【石壁】などでは止まらず、粉々に砕きながら突き進む。


 だが遅くなり、少しでも自分の身を守れるのなら、俺はマジシャンコボルトを持ちながら、石の壁を作り、防ぎながらビックストライクを誘導する。


 コボルト達はゴブリン戦の後、各々新しい種族に進化した。バンダナはコボルトブレイブ、他の者はソルジャー、マジシャン、プリースト、アサシンになった。


 勇者になったバンダナは革の鎧を着こみ、一生懸命に走る。


「そろそろだ」


 俺達の目の前に木に吊るしたロープが現れ、それに飛び移り、大きく飛び上がる。


 ビックストライクボアはそのまま地面を走り、地面の落とし穴へと落ちた。


「よし、意外とうまくいったな」


「凄いです兎さんっ!こんな事を思いつくなんて」


 地面の床は木の槍で串刺しだが、まだ生きているらしい。まあボスが落とし穴にはまり、終わるなんてことはないらしい。


「それじゃ、弓兵用意」


 解放されたエリアを探索すると変化があり、綿を作る為の素材も手に入り、糸を作り弓を作る。


 大量の鉄の矢を持ったコボルトによる遠距離攻撃が叩きこまれ、トドメに俺とバンダナでカブト割りを叩きこむ。


『ボスを退治しました』


『森林エリアを制圧しました。セーフエリアが拡張します』


「よし、これでこの森は俺達の物だ」


「わおーーんーー」


 雄たけびが響き渡り、勝利宣言をする。なんだろう、やってる事は昔と変わらないのに、苛立つ事は無い。こいつらはYESマンでは無いが、ちゃんと話は聞くし、ちゃんと事前の打ち合わせ通りに動く。


 ホント助かるなこいつら。


 ………

 ……

 …


「主お帰りなさい」


「お帰りなさい」


「ただいま」


 いま絶賛復興並び、防衛強化しているコボルトの集落。鉱山で見つかった本により、地面を一定に整える魔法【掘削】を覚え、他の所でもしている【石壁】で壁を作り、床を作り、竈を作りと、家として住む場所を整えるコボルト。


 彼らもまた、ウッドカッターなどのコボルトになり、貢献していた。


【ナイト】「ウチの集落に欲しいこの職人たち」

【ミスタースミス】「鍛冶師コボルトは時計兎さんより、少し得意なくらいか」


「ですね。レベル6くらいで、そこから上がっていない感じです」


 特化だからだろうか、それくらいのレベル帯に来るのは早い。特化プレイヤーはいま7か8くらいで、両方取るのは5か6くらい。レベルは6か7が多いとのこと。


「ロザリオ、君も建築に手を貸してるのか?」


「うん、ボクも魔法は得意だからね」


 俺が本を読んだ時、スキルとして上級土魔法スキルが現れた。コボルトのようになるにはポイント4P払い、覚えなければいけない。


 白薔薇はいま4レベルぐらいで、接近戦ができるらしい。大きな武器を持って戦えるらしいので、鍛冶師コボルトが大きな戦斧と槌を作っている。


 メイスを作ったところ、鉱山のモンスターを叩き砕いてくれた。今度は未発見の鉱山付近の解放だろう。


「モンスターを倒しながら探すか、ボスモンスターを探す事に集中するかだな」


 森林の探索をしたおかげで、大根やリンゴ、イチゴのような食材を集めることができて、サトウキビが手に入った。ちなみに本土で出回っているのはてん菜から取れる砂糖のみ。これには驚かれた。


 こういう風に鉱山付近のモンスターの素材も欲しいし、ネームドやエリアボスだった場合、即座に戦う事はできないだろう。


【レックス】「白薔薇ちゃんの活躍希望」

【テッキ】「右に同じく」

【侍ハート】「コボルトのレベル上げが必要かと」


「となると、モンスターを倒しながらの探索だな」


 だがと付け加えておく。


「さすがに初見でボスと戦うのは勘弁。白薔薇はリスポーンの可能性はありそうだが、コボルトやロザリオは無いからな」


【ナイト】「ですね」

【カツ丼】「その方が良いっす」


「ならコボルト達の成果を見よう。その後はログアウトして休憩後。探索を開始で」


【ビビンバ】「OK」

【三郎】「分かりました」


 コボルト達が四苦八苦しながら作り出した巨大な鉄槌。鉄のハンマーで【鉄の鉄槌】となっている。鍛冶師コボルトが汗水流して作り、全員で持ち上げて引きずり、持って来てくれた。


 攻撃力は高く、それを軽々と片腕で持ち上げて振るう白薔薇。


「うん、これなら主の役に立てる」


「次に革職人コボルト。ビックストライクボアの皮を加工してくれ。これで人数分の革鎧を作り込む」


「時計兎さんは?」


「俺のはこの皮の鎧に鉄板を仕込むから、余ったら手袋を作る。細工を頼むぞ」


「分かりました~」


 装備を外して、鎧を渡して強化に入る。


「ロザリオ、今後遠出を視野に入れるけど、装備は平気かい?」


「うん。念のために出かけた時の衣類は全部、戦闘にも使えるものだから、魔法使いとして活動できるよ」


「ならロザリオも含めて探索するか」


 その話にコメントが騒ぎ出し、こうして準備をする。


 可愛い女の子を連れていく為に、その嫉妬が湧くが、これはブロックなりしてくれないのね貴方達。まあいいけど。しゃれで言ってるのは分かるから。


「俺と犬ばかり映る動画と、可愛い女の子が映る動画どっちがいい」


【ライト】「犬で」

【ユウ】「オーブちゃんもください」

【ミント】「わんこ可愛い」


 手の者が大半だこの動画。そう思いながら、俺は準備し始めた。

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