第2章・島の未確認と白の薔薇

第12話・戦利品と手に入れたお宝

 コボルト達が勝利して、ゴブリンから戦利品を巻き上げて集める中で、洞窟の方を見る。


「この中は?」


「あっはい。爺さんが言うには結界が張られていて、奥に行けないんですけど、雨水が酷い時は全員で避難してました」


「結界魔法?」


 そう言えば、プレイヤーじゃないと解けない結界があって、プレイヤーはそれを解いて行動範囲を広げるんだが、奥に進んでいるとまさにそれであった。


『結界を解除しますか?』


「はい」


 そう言うと結界が解かれ、中は鉱山のようなセーフエリアが広がっていた。


「おおっ、これは良いな」


「うわあ……中ってこうなってたんだ」


 コボルト達が中に入り辺りを見渡す。光苔があり、その周りに光り輝く鉱石があり、発掘ポイントがたくさんある。


 高炉は三つしかないが、先に続く道はトロッコのレールがある。ここと鉱山は繋がっている可能性があるな。


 試しにピッケルを取り出して、発掘する。


『魔鉱石』


 ミスリルの原石。加工:インゴットにできる。


「待て待て待て待て」


 ミスリル?ミスリル!? レアアイテムに少し魔鉱石ミスリルが使用されていただけで高性能のミスリルさん!?こんなところで出て良いんですか?


 コボルト達は早速俺に習って発掘を始めている。もう大量に発掘してインゴット作りを始めている。


 コメント欄を見ると、コメントが削除された人とブロックされた人が現れ出す。


【レフト】「追い出しました」

【ライト】「俺らのミスリルだ寄こせって言う人達でした」

【テッキ】「彼奴ら噂を聞いて来たよ」

【カツ丼】「正直に言えば交易してください」


 行動力が早いが、マナーの良い人達によって、彼奴らと会話せずに済みそうだ。


 その事を頼みながら、とりあえず奥を見る。奥にも発掘ポイントがあるし、交互に使えばいいか。


「高炉の隣に、部屋の扉か? とりあえず後で良いか」


 作業部屋かな? 鉱山内の地図があれば良いし、なにかしらのヒントが隠されていればありがたいな。


「とりあえずロザリオ達がいる家に戻るぞ。朝になったら復興作業だ」


「はいッ」


 こうして一度家に帰り、ログアウトするのであった。


 ◇◆◇◆◇


「ここがコボルト達の集落なんだね」


 ロザリオを連れて、集落エリアへと来る。木工を鍛えたコボルト達が対処して、ここからどうするか話し合いが始まっていた。


「ああ、ボロボロだが、いまの彼奴らならなんとかなるだろう」


 釘やトンカチなどを持って、コボルト達の復興作業が始まる。


 ほとんどのコボルトが【石壁】を作れて、それを壁や床にして、木工で家を建てる。簡単な指示を出して、コボルトが使う分には問題ない家が出来上がっていく。


「苗樹を植えろ。鶏小屋を作って、鶏を飼えるようにしておけ」


「マシロちゃんとミルクちゃんの赤ちゃんを育てて良いんですか?」


「いいぞ、大切にしろよ」


「はいッ!」


【ビビンバ】「復興作業入りました」

【三郎】「俺んとこのギルドでも、NPCに技量持たせる試み始めました」

【ミスタースミス】「他の所も同じじゃわい」


 他の所も同じことをし出すか、ここと同じことしても成功しないと言う事を言っておこう。


【ハカセ】「確かに、もうコボルトがこちらと協力する理由は無いですね」

【オウル】「あったとしてもほどほどでしょうし」


 そうだな。話を聞く限り、集落の偉い人はもういないらしいから、実質リーダーはバンダナになるだろう。


 そしてバンダナの反応を見る限り、俺の開拓を手伝う気まんまんだ。明日からなにをしますかと聞いて来たほどだ。


「あっそうだ、配信数から考えて、動画配信に変わると思います。投げ銭はできませんが、このゲームを盛り上げる動画として今後ともよろしくお願いします」


【レフト】「はーい」

【ライト】「はーい」

【ユウ】「やった、モフモフ王国の続きが見られる」

【三郎】「新しい人も来るだろうな」


 結構な人が来るが、目に付く視聴者さんは増えるだろうな。


 とりあえずコボルトの集落、鉱山の部屋を見る事にした。


「鍵は開いてるな。なにがあるだろうか?」


 中に入って見ると、ホコリが舞って、バンダナとロザリオがせき込む。中に入って見ると、本がある。


「えっと………【上級土魔法。建築、再生の書】と【いにしえの精霊魔法の歴史】」


【ライト】「あっ、片方知ってる。精霊魔法」

【レフト】「次のコンテンツに追加されるかも、書物とか高値で売買してる」

【ミスタースミス】「上級土魔法ってなんだ?」

【ビビンバ】「っていうか奥にカプセルがあるぞい?」


「建築だから集落復興に助かればいいな。んで、カプセル?」


 カプセルと言われて見たのは確かにカプセルであり、無数のコードが刺さるなにかの機械的なもの。


「え~俺、最前線の遺跡とか見たけど、それっぽいのはオブジェクトくらいしか見てないぞ」


【レックス】「中身はなんなんでしょう」

【カツ丼】「見てみておくれ」

【テッキ】「頼んます」


「はいはい」


 カプセルを開けるために色々と触ってみると、ボタンがあり、それを押す。煙が噴き出し、機械が動いて蓋が開いた。


 中からコードと銀色の髪を生やした、機械人形っぽい少女がいて、スーツのような物を着こんでいる。


 コメント欄がざわめく中で、俺は手狭な部屋の中では、斧かと。襲ってきたときの為の準備をした。


「………」


 身体を半身起こして、目を開く。レンズのようなそれがこちらを確認したとき、


『再起動を確認、マスター登録抹消されております。マスター登録を再度行ってください。あなたのお名前は?』


「………時計兎」


 機械的な音声が響き渡り、俺は反射的に名乗った。


『時計兎、マスター名登録を開始します』


 そしてしばらく機械の部分が点滅した後、ピコーンと言う音が鳴り響く。


「主、これからよろしくお願いします」


『ワールド初、魔導人形を獲得しました SP2』

『魔導人形と契約しましした SP3』

『名前を登録してください』


【オウル】「ワールドアナウンスですね」

【レックス】「俺、古代の遺跡系ダンジョン潜って来ます」

【テッキ】「いや待て、技能とか見てからの方がいいんじゃない?」

【レフト】「そういうの可愛いは良いですよ~」


 そんなことを俺に言われても困る。


 とりあえず名前決めないと、カプセルから降りた彼女は14か3くらいであり、白いと言う印象を受ける機械人形の少女だ。僅かに胸があるから分かる。


「どうしましたか?」


「いや、君の名前を考えている」


「よろしくお願いしますね」


 にこっと微笑む様子にコメントが湧くが、俺はんーと頭を悩まして、白い花っぽい感じもあるし………


「『白薔薇』、白薔薇がお前の名前だ」


「白薔薇、認識しました。これから主と共に荒廃し、自然に戻った世界を開拓をしたいと思います」


「ん?」


 待て、なんかおかしな言い回しを


『ワールドクエストが発生しました。ワールドクエストが発生しました』


『開拓者の皆さんのおかげで、魔物に侵略された土地に多くの交易が生まれるようになった。今後の事を考え、人の生存圏を広げよう』


『達成率24%』


『開拓の先に、この世界に何が起きたか明らかになる………』


 とんでもないね。明らかにこれがトリガーだよな?


 ミスリルやこの子のことがある。俺はしばらく、人のいないここで開拓を進めるしかないようだ。まあいいか。

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