第11話・コボルト集落の激戦

 夜の時間帯、洞窟がある広間の前、そこに多くのゴブリン達がいた。


 コボルトの家は半ば半壊していて、ゴブリン達は修理も碌にせずに使用。ボロボロの集落で肉を奪い合いながら生活していた。


 弓を持つゴブリンがあくびをする。夜の暗闇の中、たき火すらせずに、ゴブリン達は目を慣れさせて警戒しているようだ。


 3匹のコボルトが革で作った袋を使い、スリングを使い投擲した。


「ギャッ!?」


 岩が命中してゴブリンはすぐにコボルト達を発見。コボルトはすぐに後退して行き、ゴブリン達は20匹ほど追ってくる。


 森の中、追ってくるゴブリン。矢が放たれたりするが、風の守りのおかげで刺さる事は無く、ゴブリンが追いかけて来る。


 その中で草木で作られたロープが頭上から落とされ、5~3匹が網の中に捕まる。


「ギャ!?」


 網にかからなかったゴブリンは、その時に振り子のようにコボルトが横から迫ってきた。手には鋭く尖った木の槍。それに突き刺さり、悲鳴を上げるゴブリン。それを皮切りに無数のコボルトが尖った木の槍を構えて、頭上から降り注ぐ。


 網に捕まったゴブリンの上には陶器の失敗作や鉄のインゴットが落とされ、石に当たり、動かなくなったところを木の槍を持つコボルトがトドメを刺す。


 別の広々としたところでは、松ぼっくりから油を取り出して、それを投げつけた。


 陶器が割れて油が付いたところで【火球】をぶつけて【石壁】で閉じ込める。弱ったところを鉄の短剣などを持つコボルトが襲い掛かる。


 こうして巣からおびき出したゴブリンを退治して、それに時計兎は頷き、巣へと向かう。


 ◇◆◇◆◇


 巣の前に本を持つゴブリンがいる。鑑定した結果、ゴブリンマジシャンだ。前にいる大柄のゴブリンリーダーと剣を持つゴブリンソルジャーが一匹ずつ。


「リーダーは俺がやる。ソルジャーはお前だバンダナ」


「はい」


 大きな折れた剣を持つリーダーに対して、鉄の直剣を構える時計兎。


 すぐに動いたのは彼だ。


 リーダーの動きは遅く、足元を斬られ悲鳴を上げ、ぶんぶんと折れた剣を振るうがかいくぐる。


「喜べ、肉から取った油だ」


 そう言って盾を持つ手から陶器を取り出して、顔面にぶつける。


「【火球】」


 火の玉が激突して、悲鳴を上げるリーダー。それに剣を落としたところ、その横っ腹に剣を突き刺す。


「【火球】」


 その中に火の玉を叩きこんで、手を離し、腰に下げた斧を取り出して、


「トドメ」


 リーダーをカブト割りの要領で叩き割った。


 ◇◆◇◆◇


 ソルジャーと敵対するバンダナと呼ばれたコボルトは、鉄の剣に皮の鎧を着こみ、小さな木の盾を構えて、激突していた。


「ギャッギャー」


 雄たけびを上げながら飛びかかるソルジャーに対して、剣を向けて身体を反らして、胸元に盾を構えるような体制で対応していた。


 剣と錆びた剣が激突して、火花が散る中、ロザリオや神聖魔法が使えるコボルトによって上がった身体能力で的確に対処する。


 巻いているバンダナには鉄を仕込んでいる。身体を大きく、威嚇するソルジャーに対して、身体を低く、なるべく相手に面積を向けず、剣と盾で攻撃を防ぐ。


 マジシャンからの攻撃は、回りのコボルトがけん制する。


 魔法が飛び交い、それでもバンダナは集中していた。


「ギャ!?」


 意識を外したのはソルジャーだ。リーダーが地に倒れた時と【火球】同士がぶつかった時、バンダナから視界を外した。


(勝機ッ)


 バンダナは剣を向けて飛びかかる。


 片手で錆びた剣を持つ腕に剣を差し込み、木の盾で片腕を外に叩きだした。


 そしてその首筋に向かって、牙を向ける。


「ギャ!?」


 コボルトにあって時計兎に無い攻撃方法とは、牙だ。牙による致命傷へと噛み付き攻撃。全体重を掛けて、ひねり切るように後ろへと飛んだ。


 悲鳴を上げて喉元を切られたソルジャーは倒れ、マジシャンだけになった頃、全てのコボルトが攻撃を無視して流れ込み、マジシャンは木の槍でズタズタにされた。


「わおーーーんーーーーーッ!?」


「「「わおーーんーーーーーッ!?」」」


 雄たけびが上がる。彼らは勝った。知恵と勇気を持って、集落を取り戻したのであった。


【レフト】「これFFO?」

【ライト】「別ゲーですね」

【侍ハート】「コボルトに侍魂を感じたッ!」

【カツ丼】「よくやったぜバンダナ!」


 コメント欄を見ながら、時計兎は一言言った。


「勝てばいいんだ勝てば。チート使わずに勝てればなにしてもいいんだよ」


【ハカセ】「あれ?そう言っていた軍師がいたような?」

【ビビンバ】「あんたまさか、あの人か」

【オウル】「勝手に動くバカ達をうまく使ってイベント3位内に必ず食い込む人」

【三郎】「使える者はなんでも使えを地で行く戦闘狂か」


 えっ、俺ってそんな評価なの?


 そう思いながらあえてなにも言わず、彼奴ら来たらブロックしようと決めて、まずは一息つくことにした。


 いまこの島で、狼となった者達の遠吠えは響き渡る………


『レベルが上がりました 4>5』

『短剣術が上がりました 4>5』

『投擲術が上がりました 4>5』

『自然魔法が上がりまた 4>5』

『斧術が上がりました 2>3』


『島の一部エリア制圧に成功しました。セーフエリアの解放に成功しました』


『島の住人を得ました SP6 現在101人』


 鳴り響くアナウンスに驚きながら俺にも実りがあったなによりだよ。


 後は後片付けを指示して、次は何をするか考えることにした。

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