運営側1
いまボクの目の前で会議が行われている。ここは仮想空間、GМルームと言う、キャラクターをデザインしたり、プレイヤーが始めに行う時の空間であり、何かあった時、プレイヤーをここに呼び、説明したり、罰を与える空間だ。
「ゲーム実況中で話して、本当に問題なかったのか?」
「それは仕方ないと判断が出ました。さすがにいきなりすぎますって」
「だから亡命計画を止めるべきだって話になりましたよね。ワールドクエストに使えそうだからって放置したから」
「ロザリオは絵になるから、キャンペーンで使いたかったんだッ! まさか台風イベと重なって、彼奴と出くわすとか思わなかった! 海クエはまだ先だから、ネームドを放置し過ぎたからこうなったんだろッ」
ボクが怒られている訳では無いけど、どうしても気にしてしまう。
「ああ、石動さんは気にしないでくださいね。もともとどうなるか分からない中で行動させていただいたので」
「あっ、はい、大丈夫です」
そうGМのお姉さん、このゲームのプログラム兼受付を担当している人に言われて頷いておく。
ボクがその立場を借りていたロザリオは、帝国のお姫様の一人で、少し不思議な力があるって設定の女の子だ。性別と外見(髪の色と瞳は変えて)以外はゲームシナリオの人が作ったものだ。
ボクは病院で入院している患者だ。病名をできれば思い出したくもない。この病気の所為でボクは学校に通えなくなって、人から拒絶されたから。そう簡単に移らないけど、嫌なものだからね。
現代の医学だと治せるんだけど、感染ルートが出産時の母かららしく、家族揃ってかかり、全員分のお金が必要なのだ。
自分も病院に入る際、病気の治療に貢献する事で少しでも医療費を稼いでいるが、まだまだ足りない。
そんな時に、VRゲームの試作の話を先生から聞かされて、ボクがゲーム好きもあり、参加する事になった。
「とりあえず、世界観が壊れると言うクレームは仕方ないでしょう。亡命ルートもそもそも海のネームドモンスターの領域を通るので襲われる可能性があると分かっていたはずです」
「むしろキャンペーンの花形にしたいロザリオをロストせずに済んでよかったと考えるべきか。帝国でも彼女の話はβ版から流してましたし、亡命してネームドモンスターに襲われて死んだとなると、あっけなさすぎる」
「となると、運よく例の島に住み着いたプレイヤーの元に流れ着いたのも、ゲームの命題である可能性としてありですね」
元々ボクが表に出る際は、交代も視野に入ってたし、ボクもお芝居するのは無理と思っていたから仕方ないなと思っていた。
けどこのままどうなるか分からない。そう思っていたら………
「いいじゃないか、こういうのもゲーム作りってもんだろう皆の衆?」
「主任………」
主任さんはこの流れもまた、自分達の手を離れて、人の手で作られた作り物の世界から離れていくというFFOと言う世界の可能性の一つ。そう主任さんは嬉しそうに言った。
「僕としてはこのままプレイヤー君、この場合時計兎君に任せて良いと思うんだ。コメント欄も見て居るが、かなり好意的な意見が多い」
「確かに………」
時計兎さんはあのままゲームを続行していて、いまはゲーム外であるこの話題で持ち切り。他の所の掲示板も注目している。
「むしろこのままロスト扱いした方がつまらない意見が多いですね」
「だろう?石動さん、あなたの意見も聞きたい」
「ボクの意見ですか?」
ボクはゲーム作りの邪魔にならなければいいです。そう言うがそういうのでは無いらしい。
「このままロザリオとして、時計兎さんの保護下に入るか。できればあなたとして、ロザリオと言うキャラとして決断して欲しいところです」
ロザリオとして………
元々ロザリオは命を狙われていた。帝国の一派に命を狙われて、窮屈な生活をしていた。
もしもボクがロザリオなら………
「島の生活をしてみたいです。ボク自身、ロザリオ自身もそう思うと思います」
「ではこのように進めましょう。まあこうなれば他のゲームスタッフも正体がバレた時のことは考えずに済んだと思えば良いでしょう」
「ですね。中には役者さんと交代も難しい人もいますし、ウチのスタッフもノリノリで演技している人もいますから」
こうしてボク、ロザリオの無人島生活が始まるのでありました。
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