第7話・ゲームのキャッチコピーは本当だった

 学園から帰る前にスマホを使い、NPCやログアウト中のキャラクターがどうなるか確認する。セーフエリアならその場から消えて、ログイン時にその場に現れるようで、それ以外だとキャラクターが残る。セーフエリアなどで以外のログアウトはスリなどに現れたり、ログアウト中にHPを0にされたりする可能性があるとのこと。


 ゲームで気を失うと強制ログアウト、状態によっては登録された住所に救急車が呼ばれる為、プレイヤーなら大丈夫だろう。


 船の中、海の上でのログアウトは、野外ログアウトと一緒なので、キャラクターは残る。だけど船と言う、ちゃんとした物の場合、部屋がセーフエリアになるから、あのようにキャラクターが投げ出される事は無いはずだ。


 よく分からないが、とりあえずログインしないと分からないのが分かり、家へと急ぐことにした。


 ◇◆◇◆◇


 ログインすると人の気配がして庭を見る。


「あっ、えっ、開拓者さん?」


 そこには畑の様子を見て居た少女がいて、NPCからしたら家の中に突然俺が現れた的になるらしい。


 首を傾げ、プレイヤーの事を開拓者と呼ぶのは、NPCのはずだが、NPCにNPCと呼ぶと好感度が下がるので、プレイヤーかどうか聞こう。


「君はプレイヤーかい?」


「はい、あっ、いえ、違いますっ」


 ?


【レフト】「丁度なの助かる」

【ライト】「あれ?反応おかしくない?」

【ビビンバ】「いま素で言い間違えた的な顔しましたぜ」

【レックス】「美少女が流れついた配信はここですか?」


 うんおかしいな。いまのはいは正しいはずなのに、なんか慌てて違う事に気づいたように見えたぞ。


「えっと、あっと、ボクは『ロザリオ』。ロザリオ・I・シールドですっ」


 ん?んん?


「ちょっとタイム」


「あっ、はい」


 そして奥へと引っ込み、コメントと会話することにた。


「皆さんどう思いますか?」


【ハカセ】「中身ありますねあれ」

【レックス】「可愛いから良し」

【テッキ】「シールド家って聞いた事ある」


「俺も」


 確か、帝国の王族分家だな。王位継承権を持っていて、イグニスのIを名乗る資格ある家。設定は確か、おじいちゃんが一人いて、孫娘がいて、その子が王位継承権を持っている。だっけか? あの子が?


【レフト】「プレイヤーが?」

【ライト】「プレイヤーは開拓者以外の地位ってありでしたっけ?」

【ハカセ】「ギルドマスターは国の機関の一人として数えられますね。副ギルドマスターや団員もそう言われます。ですが国の関係者などは無かったはず」


 どういうことだってばよ?


【GМ】「すいません」

【三郎】「へっ?」

【ハカセ】「GМ?GМッ!?」

【ミント】「GМってゲームマスターさん?」


 なんだ急に、どんどん混乱してきたぞ。


【GМ】「えっと、公になったので、少しばかり裏事情をご説明させていただきます。配信もそのままで結構ですので。できれば話し終えるまで書きこみをお控えください」


「はっ、はい?」


【GМ】「この度、時計兎さんが困惑する事になりまして、大変ご迷惑をおかけしました。彼女はプレイヤーではありません、ゲームスタッフとして扱われるGМの一人です」


「あっ、そうか。ゲームスタッフも専用キャラクターを持って、ゲームログインして様子見たりしますもんね」


【GМ】「ですです。その子はβテスターよりもはるか前、ゲームとして活動できるか試運転をしていただいたゲームスタッフの一人です。まだ設定もAIも何も無い頃からこの世界にログインして、ゲーム作りに協力した人ですね」


「そんな話は聞いたことない」


 コメント欄はGМ以外書きこんでいないが、視聴者率を見るとどんどん増えている。たぶんネットはお祭り騒ぎ。


 話では、その何も無い状態で仮想世界を疑似生活をしていた人達の一人で、製品版販売やβ版からはゲーム的に働かずにただ居るか、イベント時に何かしらの役割を担って参加する予定であり、実はここでプレイヤーと関わるのは運営側からしても想定外らしい。


【GМ】「運営としても、彼女は素人さん、というか学生年齢を対象としていたテスターですので、見た目年齢と同じなんです。そんな子に突然NPCとして活動しろと言うのは無理があると判断を下して、こうしてお話させていただいてます」


「運営も何が起こるか分からないって、あれマジなんですね」


【GМ】「ですです。彼女のようなゲームスタッフはいますが、誰なのかは控えさせていただきます」


 とりあえず、いま彼女の意見を聞いてどうするか検証するとのこと。とりあえずロール的には色々あり過ぎて、どう話すか整頓していると言う事にしていただきたいとのこと。


 このまま衰弱死してロストしても良いし、このまま保護されても良いと彼女に選択肢を渡すようだ。


【GМ】「彼女的には体験版の続きの状態ですので、こちらとしてもまずは第一にまず彼女の意思を尊重してから、プレイヤーに託すと言う感じにしたいのです。突然の申し込み、誠に申し訳ございません」


「分かりました。つまり俺はプレイヤーではなく、ロザリオと言うキャラクターと接するようにすればいいんですね?」


【GМ】「こちらとしてもそうしていただくと助かります。彼女がどうしてこうなったのか、ご説明もしない方向でよろしくお願いします」


「分かりました。じゃ、こっちは勝手にゲームをプレイするんで」


【GМ】「お時間をいただき、誠に申し訳ございません。話が決まり次第、彼女がそうロールをするので、後はゲームを楽しんでいただければ幸いです」


「分かりました。あっ、そうだ」


【GМ】「はい?」


「俺的にはどちらでもいいと、伝えておいてください。このままロザリオと言う少女を保護してゲーム続行でも良いし、墓を立てても良いので。彼女もゲームスタッフですけど、このゲームを楽しむ仲間ですからね。世界観を壊すからと言う意味で辞めるのは悲しいですから」


【GМ】「お心使い、ありがとうございます。ではそう彼女に伝えます。他の皆さまにもお時間いただき、ありがとうございます。では、良きゲームライフを」


 こうして俺は訳あり少女、ロザリオを保護してしまったのであった。

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