第6話・流れつくものたち

 採取以外の事はほぼ無視して森を突っ切り、鉱山の入り口へと向かう。さすがに肉は欲しいからホーンラピットと言う角のある兎は狩る程度かな。


 それ以外の敵は無視する。料理スキルを取ってただ焼くだけなので、いまだに上がっていないが、そろそろ上がるだろうとコメントで言われた。塩を確かめないといけないかもな。


 鉱山に来た俺は、セーフエリアの発掘ポイントに来て、取れるだけ取るつもりだ。


 五つある高炉を使い、フル活動。セーフエリアから発掘できなくなると、あの蛇に気を付けて、発掘ポイントを浅い場所で探す。


 インゴットは5本も手に入り、発掘スキルは3まで上がった。


「あとは鍛治スキルと細工スキルか」


【レフト】「細工スキル?」

【テッキ】「いりますそれ?」


「生産するんならあって困るものではないですよ。料理だと飴細工や飾り包丁。鍛治なら銘を刻んだりとか、細かいところで関わるスキルですね」


 どちらも1Pだし、問題ない。


「そろそろ10Pくらい、ステータスに振るか」


 LUK以外に2Pずつ振り分け、5PをSTRに振る。これで鍛治はできる。作業台も五つあり、空気の方はガストっぽいのがあるため、熱気で死ぬ事は無いだろう。


 ただ炎熱耐性が無いと、少しきついとの話もある。とりあえず短剣を作ろうか。


 そう思い、俺はトンカチを持って、鉄を叩く。


 ………

 ……

 …


『鍛治スキルが上がりました 1>2』


「あっつちぃ」


 そう言いながら、刃の付いた鉄の棒が綺麗なできた。後はグリップ作るのか、皮をこのまま巻けばいいのか?


【ミスタースミス】「皮はそのまま使うより、加工した方が良いぜ」

【テッキ】「その辺にミロの実ない? ミロバランなんだけど、材料に使うの」


「そうですか、ならいまから探しに出向きます」


 できたのはストレージに入れて保存。残りのインゴットも保存して、雑談しながら森の中を探索する。


 薬草と魔力草を手に入れつつ、大量のミロの実と苗樹をゲット。


 作業台へと戻り、ミロの実を使う。


【ミスタースミス】「果汁を搾り取り、それに付けること5分くらいでできるぞい」


「どうせ売り払いできないから、持ってるホーンラビット、ビックマウスの皮を使いますね」


 結構な数のミロの実はある為、全て使う事にする。しばらくすると【ホーンラビットの革】などになり、それを加工してグリップにする。


『鍛治スキルが上がりました 2>3』

『細工スキルが上がりました 1>2』


「鉄の短剣ができました」


 コメントがおめでとうで流れる中で、これで鉄の直剣が壊れたりしても問題ないし、俺で耐久値を回復させる事ができる。


【ミスタースミス】「うむ、耐久値を回復させるなどは川などで砥石を探すとええぞ。節約になるんじゃなこれが」


「川か、森の中には無さそうだけど探して見ます」


 やる事を決めて、そろそろ一回ホームに戻り、動物達を小屋に入れないと。急いで戻る事にした。


「ん?」


 その時、空模様が暗く、なんだか雨が来そうな気がする。


「雨か。β版だと降る時は降るから、これはホームで作業だな」


 拾った薬草でポーションを作るか。そう話をしながら、ホームへと急いで戻った。


 ◇◆◇◆◇


 ログアウトしてパソコンを開いて、掲示板などを見る。パンを食べながら、いまの話題を確認しているが………


「やっぱベイビーカーバンクルがあるな」


 可愛いなどなら良いが、宝石ドロップすると言う話にもなっている。過激なところだとやはり狩りの対象として見られているが、テイマー達から睨まれているためか、その話題は少ない。


 なによりどこにあるか分からない事もある。レアモンスターだから出会っていないのか、大陸には本当にもういないのか。


 このままどこにいるか秘密にしておくか、一応デスペナを気にせず、ボートの支払いを無視できるなら、来れる可能性があるからな。


 考察ギルドなどで作れるアイテムを見ておこう。


「ロープ、フライパン、包丁。ロープは木工スキルがいるのか。ここまで来ると石工スキルも取って、少しずつ稼ぐか」


 良く考えればただ焼いただけだったから、鍋も欲しい。鉄鉱石から鉄のインゴットは手に入るから、それらを作っておこう。


「後は宝石作成(幼)のスキル確認か」


 宝石、あるのかな? そう首を傾げてログイン準備をする。いまからログインすれば夜か。


「長めにログインできないが、こまめに入って、進めるのがいいか」


 そう決めてから、この事を伝えておこうと決めてログインをした。


 ◇◆◇◆◇


「色々しようとしたら嵐でした」


 風が吹き荒れ、雨が降る。意外にもガチ目の嵐だ。


【ライト】「嵐ってあるんですね~」

【レフト】「もう動画見るしかないけど」

【カツ丼】「どこもなにすればいいか分からずに戸惑ってますねえ」


「そうですか………あっ、動画配信者では無いので、夜はやれる時、時間まちまちです。学生なので夜はすぐに終わりますよ。その辺のご理解よろしく」


 はーいと言うコメントを見ながら、外をチラっと見る。雨が入ってこないように雨戸を閉じて、小屋の様子を見たりする。中にいれば問題ないか。卵回収。


「オーブはミケの下か」


 怯えているオーブはミケの下に。ミケがオーブに乗っているようだが、ミケはペロペロ舐めてあやしている。


 そのミケの側にキラキラ輝く石がある。


「これは……」


『サファイアの宝石(小)』


 サファイアの宝石 加工:装飾品に加工できる。


「マジか」


 コメント欄も大騒ぎになっている。後はこれを加工できるようにすれば、ベイビーカーバンクルの希少性が上がる。


 装飾スキルを取るべきか。その様子を見ながら、俺は薬草をポーションに変える事にした。


 なにも無ければ良いが………


 そう思ったとき、ガクン!?と言う音が鳴り響いた。


「なに!?」


【三郎】「外だ!?」

【ミスタースミス】「モンスターでも出たか!?」

【ユウ】「セーフエリアですよ?!」


「と、とりあえず見てきます。ミケはオーブを頼む」


 そして玄関から出て行く。なにかあるか確認しに出て行って驚いた。


「船だーーーっ!?」


 豪華な船がその腹を粉々にされた状態で漂流していた。荷物は散らばり、船体は乗り上げて、残りは海に砕かれて流れていく。


【レフト】「海近っ!?危なくない!?」

【ライト】「あれ?人がいるよっ、青マーカーっ」

【三郎】「これって帝国の船に似てねえ?」


「人!? あっいた」


 金髪の少女。年齢は15歳くらいだろうか、びくりとも動かないが、息はってゲームの中じゃわからない。


 鑑定してみると『少女? 漂流者 五体無事』としか出ない。とりあえず保護。


「後はこの子の物っぽい荷物回収」


 ロープとかも役に立つから回収。火事場泥棒っぽいが、このままでは海に流れるだけだ。色々回収しよう。


 少女を回収した後は、せっせと荷物をストレージに入れて、全部回収した。

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