第2話・先駆者家を建てる

 このゲームは平和を愛する王国と、戦いと実力主義の帝国、商人達の集まりでできた連邦の三つがあり、どこにスタートするか決められる。


 種族は人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリング、獣人(様々)となっている。人間はバランスが良いし、全てのプレイヤーが使える鑑定スキルの他に解体も付いてる。


 確かエルフは自然魔法、ドワーフは炎熱耐性(微)、ハーフリングは気配遮断に獣人は夜目が付くんだったな。


 スタートは王国の港町だとか、細かく設定できる。俺は前は帝国スタートしていたが、ギルド仲が悪くなり、王国で活動する事が多かった。


 そして良い感じに色々未開拓エリアを探索して、良いところを見つけたのだ。


「よし」


 冒険者ギルドで受けるチュートリアルでβ版との違いが無いか確認する。その際に冒険の始まりと言うクエスト報酬でSP1もらえた。これは大きい。


 まずはSPを使い、自然魔法と農業と調合と採取スキルを取る。どれも1Pを払えば習得できる。


 自然魔法は魔導書を読めば習得できる魔法の種類が増える。いまでは【水流】と【着火】と【風壁】と【石礫】くらいしか使えない。


「まあ【水流】があれば良いや」


 すぐに道具屋に行き、できる限り品物を買い込む。


 調合セット(初心者)に農業セット(初心者)と発掘セット(初心者)と、後は空き瓶にジャガイモと薬草と魔力草を買えるだけ。


 一番多くいるのはマナポーション。それらを買い俺はすぐに人気を避けて移動した。


 ◇◆◇◆◇


「到着」


 未開拓エリアで海を見つけた俺は、手漕ぎボートを使って海を探索できないか試した。そしたら島を見つけたんだ。


 МPを消費するし、自然回復込みで進むには厳しいかと冷や冷やしたが、長時間海を進んでいてついた。現実世界の時間で三日は費やしたぜ。


 そう三日だ、ゲーム内では六日も移動につぎ込んだ。現在プレイヤー達はスタート地点から好きに活動して、未開拓エリアにホームを置いたり、拠点を作り出したりしている。初心者は近場のダンジョンやエリアでレベル上げだろうか?


 一応このボート、波にさらわれないと言う魅力的な効果もあり、壊れないから楽だけど、β版の時は壊れたり、ログアウト中に波にさらわれて戻っていたりと苦労した。


 帰りはマップを見ながら四苦八苦したな。進むのも慣れていないとすぐに迷うし、魔法で加速しないと海のモンスターっぽいのに殺される。


 それでも、彼奴らに出会う可能性を無くしたい俺にとって、やらなきゃいけない努力だ。


 これでも早い方だ。普通の手漕ぎボートでは壊れるし、波にさらわれる。だが何度も行き来して俺はルートを熟知しているし、МP回復用に下級マナポーションを買っていた。ちなみに畑で育てるように種も買った。自然魔法が1レベから3になったのは嬉しい誤算だ。


「次に本土に行くときは、自然魔法が5か4くらいか、キャラレベ5くらいだな」


 それまでは自給自足しないといけない。β最終日近くだと転移スクロールとかいう、移動に便利なアイテムができてたし、それまでは時間を掛けて移動する。


「ここまですれば彼奴らに見つかることも無いし、平和に過ごせるか」


 そして俺はセーフエリアへと足を向ける。β版にもあったが、製品版にもあればいいが………


「あったあった」


 砂浜の先に、緑の草原が広がっている。そこそこ広めのそこは、海風が吹き抜けて気持ちいい風が吹いていた。


 これでモンスターにホームを破壊される事は無い。未開拓エリアにもセーフエリアがあり、そこを中心に町を作ると言う作業があった。あの時はワールドクエストと言うイベントでやっていたが、製品版でもそれで町を広げたり、開拓するんだろうと話題になっていた。


 俺は早速、海岸近くにある、広々とした草原に向かってアイテムである【日本屋敷二階建て】を使用。ホームをセットする。


『住居の獲得しました:SP1』


『確かな住居を手に入れました:SP3』


「マジ?」


 やった。まさか住居を手に入れるだけで1、しっかりしたもので3ポイントも手に入った。


 広げられるくらいに広げてから、庭を設置。海岸から草原、その奥に森と言う岬である為か、庭の広さなど設置に気にしないで済むのは助かる。


 牛小屋と鶏小屋も設置して、牛なども設置する。牛などは動物好きなギルドが色々調べたが、薬草などの葉物を好んで食べる。鶏もだ。


 ジャガイモがある為、草は問題ない。猫を設置してから畑を作るつもりだ。


「三毛猫セット完了っ。これで理想のホームは完成か」


 三毛猫はシンプルにミケ、鶏に名前は必要無いが、牛には求められたので、乳牛はミルク、マシロ。雄牛はタケシと付けた。


『調教のレベルが上がりました 1>2』


「安直だが仕方ないな」


 別にいいかと思い、次に色々設定を見る。


 ゲーム画面から自分でプレイするか、他人のプレイ動画を見るか、色々選べるようだ。とはいえ、プレイヤーは現在5万人いるため、知り会いかなにかでないと、よく分からないプレイヤーの様子を見る事になる。俺とかね。


「海渡ってるとこ見られたくないからオフにしてたけど、もういいか。見られたら見られたで良いし、動画残るから見直したいところとかあったら助かるし」


 スクショ取る人は外付けのハードを付けたりして、動画や写真を残す。俺のは容量があるため、こまめに整理していれば問題ないだろう。


 オフからオンに変えて、いまは0人、誰も俺の様子を見ていないが設定をしっかりしておく。見られても良いが、分かるようにしておこう。


 その後は畑を耕し、薬草と魔力草を植える。この後は農業のアーツで株分けを繰り返して、安定させつつ、調合で下級ポーションとマナポーションを作れるようにする。でないと帰れないからな。


 装備は鉄の直剣。初心者の短剣と皮鎧、木の盾しか装備していない。


「そう言えば、β版は弱いモンスターしか出ていないが、製品になって上がってれば森の探索もできないな。見ておこう」


 マイホーム設定をしてリスポーン地にしてから、俺は森へと足を踏み込むことにした。

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