最終夜 月読の輪廻④
「
「その擬似的な精液っていうのは、男性が作り出すものじゃないのか」
「いいえ、
「つまり、カムナバルの人間は、単性生殖の種族なのか?」
「いいえ、そうではありません。男性と
そういえば、
「というわけで、このお嬢さまが月読さまの遺伝子を継いでおられ、だんなさまと遺伝的なつながり、いわゆる『血縁』関係にないという事実がお分かりいただけたと思います。では、年齢を進めてまいります。次は生後六カ月です」
映写機から新たな子どもの姿が映し出される。そこには十代中頃を思わせる女子の姿があった。
「これは・・」
「地球人女性であれば十五歳くらいではないでしょうか」
映写機の映像がくるりと一回転した。三六〇度、どの角度から見ても、月読の姿と瓜二つである。ただ、最後の月読の姿とは、違って体の発育は未発達のようだ。
「さらに進めます。これが生後一年です」
映写機の中で、映像が徐々に変化する。しかし、見た目はさほど変わらない。
「さらに、三年後の姿です」
今度も見た目はさほど変わらない。ただ、心なしかバストやヒップが大きくなり、全体的に成熟した容姿となっている。
「だんなさまには残念ですが、こちらの映像では丸裸にはできませんので、体のシルエットだけご堪能ください」
「だれが期待するか、そんな機能!」
「続いて、これが十年後の姿です」
映写機が十年後の姿を映し出す。これも、見た目にさほどの変化はない。ただ、顔付きや体付きは成熟した成人女性の姿となっていた。
「さらに、二十年後にまいりましょうか」とノリノリで説明する
「ちょ、ちょっと待て!カムナバルの女性の寿命は、せいぜい十年じゃないのか。二十年も生きるってことがあるのか?」
玉藻は、健造の反応を確認しながら、少し間を置いて静かに言葉を口にした。
「だんなさま、それは『不死の薬』のおかげなのです」
京都で見つかったシャトルに保存されていた「不死の薬」。月読は、二つのリザーブポッドを取り出して、それを命言と玉藻に渡していた。
「『不死の薬』は、成長抑制剤のことじゃないのか?」
「成長抑制剤は、延命効果はありますが、いずれ寿命が参ります。服用しても、不死にはなりません。『不死の薬』とは、先人が残してくれたのは、地球人のゲノムのことだったのです」
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