第26話 ドルゴ連合国周辺国

中心国の悪魔を追い払ったジンとメルは、中心国の代表にお礼を言われていた。


「いやー、君たちのおかげでホントに助かったよ!」

「俺たちはアリア王国から救援要請を受けて派遣された冒険者ですので、追い払えて良かったですよ」

「あぁ! そうだったのかい!? それは、アリア王国に感謝しなければならないねぇ。お礼と今後の為に同盟の使者を送ることにするよ」

「わかりました。その方が色々と動きやすくなると思います。俺達は乗ってる魔物を根絶やしにしてから次の聖ルドルフ国に行くことにします」

「そうかい。ありがとうねぇ。宜しく頼むよ。あぁ、今日はここで食事して休んでいくといい!」


「お言葉に甘えさせていただきます!」

「ありがとーございます!」


お礼を言うと、皆にご飯を配っているところに案内される。


「ここでみんな食べているから、腹一杯食うといい!」

「「はい!」」


ジンとメルは、英雄のような扱いで周囲の人から声をかけられ、お腹いっぱいになるまでご飯を食べたようで、みんなの寝ているところで一緒に寝ることにしたのだった。


「今日はなんとか倒せたからよかったな」

「そうね! でも、動きが早くて私では太刀打ち出来なかったわ!」

「そうだなぁ。まさか、あれを使うとは思わなかったからなぁ。まぁ、それだけ悪魔が強かったってことだな」

「うん! 私もまだまだだね!」

「今度あれ、教えるから出来るようになろうな?」

「ありがとー!」


こうして初の悪魔撃退の日は終わりを迎えたのだった。


――


次の日


起きたジンとメルは、顔を洗い、食事所に行くとおばちゃんに声をかけられた。


「あんた達! 今日から魔物を退治しに行くんだろう? そしたら、沢山食べていきなさいよ!」


「はい! いっぱいご馳走になります!」

「いただきまーす!」


バクバク食べ出す2人を見て


「アッハッハッ! いい食べっぷりだねぇ! 英雄君達はそうでなくちゃ! ほら! これも食べな!」


「ありふぁとぅごぶぁいばぁず」

「ジン! 飲み込んでから喋りなさい!」


「アッハッハッ! メルちゃんがお母さんみたいだねぇ!」


ジンにしては珍しいことである。


「ごめん、ごめん! お礼を言わなきゃと思ってさ!」


ジンは気持ちが早まってしまったようだ。


「あはは! 嬉しいじゃないか! お腹いっぱいに食べて、気張りな!」


「はい! 頑張ります!」

「気張りまーす!」


元気に返事をする二人を見て嬉しそうなおばちゃんであった。


――


「じゃあ、行きます!」

「いってきまーす!」


「頑張ってねぇ!」

「無理するんじゃないよぉ!」

「気張っておいでぇ!」


色々な声援をうけ、再び旅立つジンとメル。


「索敵広域展開」


ブーン


空に魔法陣を放ち、より広域を索敵しながら進むことにした。


「メル! 南の方角に群れが1つある。まず、そこを退治しよう」

「わかった! レッツゴー!」


走って向かうジンとメル。


ジンはこのまま身体能力が低いままではこの先厳しいと言うことを今回実感した。


その為、自分に重力が重くなる魔法を常に掛けながら走るというトレーニングをする事にしたのであった。


メルはいつも不慣れな魔法は使わないが、今回の悪魔に出会って、このままでは、この先役に立たないと考え、炎以外の魔法陣をなるべく使うようにしたのであった。


「ウインドバレット!」


ドドドドドッ


「次! サンダーバレット!」


バババババチッ


「次! アースバレット!」


ズダダダダダンッ


「これで終わりかな?」

「あぁ、お疲れさん! これで、終わりだよ」

「はぁ、慣れない魔法は疲れるなぁ」

「でも、炎以外の発動速度も早くしないと技術は向上しないぞぉ?」

「まぁねぇ、分かってるけどさぁ」


すると、いつもと違う匂いが漂ってきた。


「これさ、潮の香りじゃないか?」

「そーなのかなぁ? 私、嗅いだことないからわかんない!」

「あっ、そっか」

「なんで、ジンは知ってるの?」

「んー? そういえば話してなかったなぁ」

「何を?」

「おれな、こことは違う世界で生きてた時の記憶を持って産まれてきたんだ」

「ふーん」

「驚かないのか?」

「なんか、納得した! 色々知ってたり、子供の頃から大人っぽくて、なんか変だなぁとは思ってたんだけど、それを聞いてなんか納得!」

「あはは! そうか。もっと早く言ってればよかったな」

「まぁ、ジンはジンだよ! 魔法陣に昔から詳しい。物知りなジン!」

「うん。俺に出来る事はして行こうと思う」

「私もー!」


2人で話しながら歩いていると海が見えてきた。


「海鮮丼が食いたいなぁ」

「海鮮丼って何?」

「いろんな海産物が乗った丼だよ」

「へぇ! 食べたい!」


――


この町は被害があまり無かった用で、お店をやっている所があった。


店を探して町を巡っていると


「あっ! あれじゃない?」

「あれかな?」


メルがそれらしい物を発見した。

そこには、看板にシーライスと書いてあった。

店には入って見ることにしたジンとメル。


「へい! らっしゃい! 2名様〜」


空いている席に座る2人。


「ご注文は何にする?」


「「シーライス!」」


「あいよぉ! シーライス2丁!」


――


出てきたシーライスは、ジンが思ってるのとはちょっと違かったが、正しく海鮮丼であった。


「うまっ!」

「うまー!」


味付けはなく、海の味がそのままという感じ、それでも、美味しかったようである。


店を出た2人は満足したような顔で次の群れを探す。


周辺国の探索が終盤に差し掛かる頃には、メルは全属性の魔法が全て同じ発動速度になった。


ジンは、素の身体能力がかなり向上していた。肉弾戦もこなせるであろう。


しかし、ジンはそこ後もずっとトレーニングを続けていた。


メルには最終的に悪魔との戦いで使った魔法陣を使えるように教えている。


数日、ドルゴ連合国を巡って、ようやく聖ルドルフ国へ入国することになる。


聖ルドルフ国ではどのような悪魔が待ち受けるのか。

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