第13話 Cランク討伐依頼
初依頼でDランクになった翌日
冒険者ギルドに来ていた。
だが、かなり注目されているようで、周りからジッとみられている。
ヒソヒソ
「アイツらが飛び級でDランクになったやつららしいぞ」
「女の子可愛いなぁ。あの男羨ましい」
「男の子可愛いじゃない。お近付きになりたいわ」
周りが騒がしいが、無視してマリーさんの元へと向かう2人。
「マリーさん、おはようございます!」
「おはようございます! 今日も依頼を受けるんですか?」
「はい! 昨日も別に疲れませんでしたし」
「そ、そうですか」
「では、また私が選びましょうか?」
「お願いします」
しばらくすると
「お待たせしました。こちらなんか宜しいかと」
差し出された依頼書を見る。
南に行ったところにある墓地の辺りで夜に動く何かを見たという依頼らしい。
「墓地の近くですと、リッチかもしれないのでCランクの依頼となっております!」
「いきなりCランクですか?」
「はい! ギルドマスターの推薦ですし!」
「はぁ。わかりました」
「冒険者カードです。お願いします」
「ありがとうございます! 少々お待ちください!」
ジンとメルの分の冒険者カードを差し、受託処理を済ませる。
「はい。ありがとうございます。それでは、行ってらっしゃいませ!」
「行ってきます!」 ニコッ
「行ってきまーす!」
ボーッ
「ちょっと何あの子達!? 可愛いじゃないのよ!」
声を掛けられてボーッとしていた事に気付く。
ジンの笑顔に見惚れていた様だ。
「クソッ! マリーちゃんまでアイツかよ!」
何処からともなく恨み言が聞こえてくる。
ギルドを出た2人はさっそく南に向かう。
道中ホーンラビットとコボルトが出たが難なく撃退している。
索敵と迎撃の複合魔法陣を展開すればいいのだが、それは魔力をずっと流していないといけない為、魔力切れを警戒して使用しないようにしていた。
墓地に着いた。
何もいない様だ。
「そうか。リッチかもしれないっていったっけ?」
「うん! 言ってたねー!」
「出るの夜って言ってたよな?」
「あー! 言ってたかも!」
「じゃあ、夜に来なきゃダメじゃん?」
「あはは! そうだねー!」
一旦王都に戻る事にしたジンとメルであった。
そして、夜まで宿屋で睡眠を取り、依頼に望む。
――
夜、ジンとメルは昼間に来た墓地へ向かっていた。
辺りは街灯もない為、真っ暗である。
夜というのは魔物が活発になるもので、ダークウルフに囲まれていた。
『グルルル』
「あー……コイツらか」
「1匹ずつにする?」
「いや、一気に倒す」
ブンッブンッブンッ……
ダークウルフの6匹分の小さい魔法陣が出現し結ばれる形で連なっている。
これは、ジンの開発した並列魔法である。
複数の魔法陣を同時に操作できる魔法である。
「ホーリーアロー」
バシュっと6本のウォーターアローが一気に放たれる。
ドサッ
一気に倒れるダークウルフ。
全てのダークウルフが灰になる。
ジンの魔法精度は最早、神がかっている。
その後は魔物に阻まれる事無く進んだ。
墓地に着いて、当たりを見渡す。
すると、何かが浮かんでいる。
「ん? あれじゃないか?」
指をさしてメルに教える。
「あっ! そうだねー! リッチかな?」
「あれは、リッチだな」
そう言うと倒そうと直ぐに魔方陣を展開しようとするが。
ガシッ
何かに足を掴まれた。
よく見ると腐った死体の様である。
リッチが使役するとなるとグールである。
「メル! 下がろう!」
墓地から離れる2人だが、墓地の下から次々にグールがはい出てくる。
その数100体位だろうか。
「多いな。夜に何かしてたのは、使役するグールを増やしていたんだろうな」
「そーいうことか! 焼却だね?」
「この前炎魔法で被害が酷かったから、光魔法にしな? 使えないわけじゃないんだからさ?」
「んー。好きじゃないんだよなー!」
「コントロールが難しいからね。じゃあ、俺と一緒に合成魔法やる?」
「うん!」
「じゃあ、魔法陣出して。俺が重ねるから」
「はーい!」
ブーン
グール達に向け、大きな魔方陣を出す。
ブーン
ジンがもう1個出した魔法陣をメルが出した魔法陣に重ねる。
魔法陣を重ねることで攻撃範囲と出力が高まるのだ。
「行くぞ」
「「ホーリーウェーブ!!」」
ブワブワーッ
光の波がグール達に向かっていくと、波のようにグングン飲み込んでいく。
光を受けたグールは片っ端から浄化されて行く。
光が広がり終わると、残ったのはリッチが一体だけであった。
「あとは、リッチだけだ」
「焼却しよぉ!」
話をしているとブンッっとリッチが生み出した魔法陣が展開される。
すると何故かジンがリッチの魔法陣に自分が出した魔法陣を重ねようとしている。
リッチが魔法を放とうとするが、出ないようである。
「アップデート」
重ねては魔法陣が光っている。そしてリッチの出した魔法陣が改変されて行く。
「起動」
すると、リッチがジン達に放とうとしていたダークアローがリッチに向かって放たれる。
『あ゛ぁぁぁぁ』
ダメージはあるが闇属性なのであんまり聞いていないようである。
「ホーリーバレット」
ババババババババ
光の弾が散弾銃の様に面の攻撃が迫り、為す術なくリッチは灰になって魔石を残して消えた。
「よし、俺で終わりっ! 帰って寝よぉ!」
「寝よー寝よー!」
2人で意気揚々と王都に戻る。
夜なので基本的にギルドも閉まっている。
次の日の朝行くことにし、寝る。
――
次の日の朝
「マリーさんおはようございます。依頼達成の報告に来ました。」
「あっ! おはようございます! 早いですね!」
「朝一で報告の方が良いかなと思いまして」
「お気遣いありがとうございます!」
挨拶をすると、朝袋を取り出す。
ジャラジャラ
「……」
デジャブである。
「あのー、これは?」
「昨日の夜墓地にリッチを倒しに行ったんですけど、そしたらグールを100体ぐらい使役してて、倒したんで魔石持ってきました」
「あのー、言いづらいんですけど普通はそのレベルだとC、Dランクの3パーティくらいの討伐隊を結成して行くんですけど……今更ですね。わかりました! ちょっと報告してきます!」
奥へ行くマリーはまたギルドマスターに報告せねばならない。
ギルドマスターを引き連れて戻ってきた。
「君達は凄いね! なんと言うか引きが強い! ただリッチを倒しに行ったのに、グール100体が付いてくるなんて中々ないよ?」
「でも、所詮はグールなので光魔法で倒しました」
「光魔法が使えるのかい?」
「光魔法の気質ではありますね。全部の属性の魔法が使えますけど」
それを聞いてピクッと口を引き攣らせるギルドマスターとマリー。
「全部?」
「はい。メルも全属性使えますよ? 炎魔法の気質ですけどね」
この世界の魔法士には気質という自分の使いやすい属性、イメージし易い属性と言うものがあって、普通は自分の気質の魔法しか発動できない。
全属性を使うには魔法陣の意味を理解し、正確にイメージをつけないと発動できないため、長年の修行が必要となるのだ。
ということは、そんな事が出来るのはほんのひと握りの魔法士のトップレベルの人達なのだ。
「ふぅ。これはとんでもない事を聞いてしまった。あんまり言わない方がいいよ?」
「はい。わかりました」
「では、これが報酬と、冒険者カードだよ。今回はランクは上がらないよ」
「当然でしょう。この程度では、まだまだです」
「そ、そうかい」
「では、失礼します」
挨拶をするとそそくさと帰っていくジンとメル。
無事にCランクの依頼を終えて今日も終わりを迎える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます