第4話 紫色のヘビ
「何、あれ……?」
わたしは目の前にあったものを指さした。
そこにいたのは、紫色のヘビ。でも、なんだか異常だ。
ヘビのまわりには、紫色のもやがただよっている。
みていて、すごく、恐ろしい。
怖くて動けなくて、その場にかたまっていたら。
急にうでをグイッと引っ張られた。
「きゃ!」
驚いて悲鳴をあげる。って、誰⁉
「あ、ごめんね! びっくりしちゃった? って、鶯さん?」
「え、その声、もしかして」
上を見上げたら、そこにいたのは楓くん!
「なんで鶯さんがここに?」
「それは、ママがここで働いているからで、」
「そうなんだ。じゃなくて! 鶯さん、あれ見えるの?」
そう言いながら楓くんは少しおどろいた顔でヘビを指さした。
「え? 見える、よ? 一応」
本当はわたし、見えてほしくはないんだけど。これはヘビが怖いから夢であってほしいけど、楓くんと話せているから夢であってほしくない。矛盾だ。
「なんで見えてるんだろ……? あ、ちょっと待っててね」
楓くんがヘビに近寄った。
楓くん! 危ない! 戻ってきて! そう言おうと思った。
けど、楓くんが次の言葉を唱えたら、その気持ちは消えたんだ。
「ホワイト・ディサピアー」
楓くんがそう唱えて手をかざすと、ヘビがすうっと消えていったの。
「鶯さん、こっち来て」
「え、楓くん?」
わたしのうでをつかんで、どこかに連れていこうとしてるのかな?
って、超カッコいい推しにいきなり手をつかまれたら心臓止まると思ったんですが⁉
目的地に着いたみたいで、楓くんの足が止まる。
そして、ドアをあけた。
ドアの向こうの、わたしの目に飛び込んできた景色、それは。
「ようこそ、SHAKEの楽屋へ」
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