第2話 過去と幼なじみ
笹森さんに衝撃の告白をされ、1人寂しく帰る中で俺は今までの人生を振り返っていく。
幼稚園、小学校、中学校と異性と関わる中で俺はずーっと当て馬状態であり非常に残念な青春時代を過ごしている。
(何故なんだ、なぜ俺に振り向かない?
えっ、外見?でもそれはもう治しようがないし、中身でカバー出来てる気が・・・。)
悩んでも納得出来る答えは出てこない。別に悪い印象を与えている訳でも無く、今までの狙っていた女子達には「優しいよね!」と褒められていたくらいだ。
(まぁ、その優しさが何故か恋のキューピッド要素を与えているみたいだけどな。)
好きな子には優しくしたいし、悩みがあるなら聞いてあげたいそう思って紳士的に接して来たつもりだが上手くは行かず。
「はぁーあ、このままずっと1人かよ。」
つい口にしたこの言葉もギャーギャーうるさいカラス達の声でかき消され、惨めさが増しいく。更に重くなった足を引きずるように歩いていると後ろから声をかけられた。
「おーい!有志!」
名前を呼ばれびっくりして振り向くとそこには幼なじみの【鏑木澪】が立っていた。
茶髪ロングで少しキリッとした目鼻立ちの綺麗系なJK、性格も姉御肌で俺はいつもケツを叩かれている。そんな澪が俺にどんどん近付き、いつの間にか目の前まで来ていた。何となく気まずくて目を逸らすと澪が不機嫌そうに口を開く。
「なによ、あんた。話しかけたって言うのにこの澪様になんか文句でもある訳??」
「はっ、いや、別になんもねーよ。
つか澪様とか自分で言うな、イタイぞ。」
「はぁ〜?ケンカ売ってるなら買ってあげるけど?」
(やべ、これは結構怒らせたっぽいぞ。
殺される・・・。)
澪の怒りは凄まじく綺麗な顔も般若みたいになるので急いで機嫌を治そうと愛想を振り撒く、俺はまだ死にたくないからプライドも何も消して接する。
「ケンカとかそんな澪様に売るわけないじゃないですか〜、あは、あはは。
大っ変申し訳ありませんでした!!」
直角90度の綺麗なお辞儀をしてみせると澪は満足したようで、俺を取り残しながら上機嫌で歩いて行く。
そんな澪の後を追うように歩いくと、澪が思い付いたように話し始めた。
「そーいえば、なんであんなにしょげて歩いてたのよ?見てるこっちがうわってなるくらいだったけど。」
「いや、いつも通りだろ。
別にふつーに歩いてただけだよ。」
「ふーん、あっそ、声掛けて損した〜。
また当て馬にでもされたのかと思って心配してあげたのに。」
ニヤリとした笑みでこちらを見てくる澪に動揺を隠せなかった。
「・・・。はっ、はぁ〜あ??」
「おっ、その反応は正解ってことだ!
まぁ、気にしないことね。」
「うぐっ・・・。」
そうこいつは唯一俺が当て馬になっている事を知っている、最悪の幼なじみでもある。
変な慰めを受け、少し落ち着いていた気持ちがまた暴れ出す。
「俺はもう・・・、もう当て馬になんかならないからなぁ!!」
カラスの声が響くだけの住宅街に俺の叫び声が響き渡り、続いて平手打ちの音が響き渡ったのだった。
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