当て馬な俺は、JKのサラダボウルで恋を学ぶ

秋花 犀

第1話 当て馬な俺

高校2年の春、放課後の教室で俺【美山 有志】は胸の高鳴りを抑えながらある女の子を待っている。

(はぁ〜、やっとだ。今回こそは上手くいったはず!!)

隣の席になった子がたまたまクラスの可愛いランキング上位に入る子であった為、このチャンス活かすしかないと思った俺は慎重に慎重を重ね距離を縮めて行った。

気持ち悪い奴にはならないように、それとなく話しかけ話題を途切れさせない様にしていくのはとてつもなく大変だった。努力の日々だったと言ってもいい、まぁ授業中もどう展開させていくか悩んでいた為勉強は今後の俺に期待している。

(これからは放課後デートやらなんやら出来るから、今後のスクールライフは絶好調間違いなしだな。)

今までの日々をしみじみと思い出していた時、教室のドアが開く。そこには走って来たのだろう少し息の上がった俺の待ち人が立っていた。

「はぁ、はぁ。待たせてごめんね、美山くん

!」

息を整えながら俺に近寄って来る待ち人の【笹森さん】。

「いや、全然待ってないよ!

そんな慌てて来なくて良かったのに。」

(これからは俺とゆっくりスクールライフを過ごすって言うのにさ。)

なーんて心の声が暴走気味の中笹森さんはいつの間にか俺の前まで来ていた。緊張がバレない様に平静を保ってるフリをし、笹森さんに向き合う。

「えっと、急に呼び出しちゃってごめんね?その・・・、私美山くんにどうしても伝えたい事があって。」

「全然平気だから。

それで、その伝えたい事って何かな?」

(いよいよ来るぞ来るぞ!!俺の憧れてたシチュエーション。今までの俺グッバイ、新しい俺よろしくな!)

「その私、実はみ、み、宮原くんと付き合う事になったの!!」

「こちらこそよろ・・・、って、えっ、はっ?

み、宮原くん?」

「うん!!隣のクラスの宮原くん!

美山くんには沢山相談に乗ってもらったから伝えなきゃって思って。」

「えー、あー、うん、あー、そーなんだ。

あはは、よかっ・・・たねー。」

(あれ思ってた展開と違いすぎるんだが。どした、俺のスクールライフ。)

「ほんとに良かったよ〜!

これも全部美山くんが良いアドバイスくれたからだよ、今度2人でお礼するね!」

「いや、それは大丈夫。ほんとお礼なんてされるよーな事してないから。」

確かに相談乗ったしアドバイスしたけど。(でもあれは全部俺に意識を向けてもらう為のであって、違う男とくっつくとか思ってないから〜。)

予想外すぎる展開に俺は焦りを隠せないでいた。だか、そんな俺の事なんてお構い無しに笹森さんは惚気話を続けている。正直内容なんて入ってこないから適当に相槌を打つしか出来なかったが、それでも満足したようで笹森さんは笑顔で教室を出ていく。

「じゃあ、宮原くんが待っててくれてるからそろそろ行くね!

本当にありがとう、なんかあったらまた相談するかも。うふふ、また明日ね〜。」

「あっ、うん、また明日。」

やっとの事で動いた右手を使い、気分ルンルンで去っていく笹森さんに手を振った。

まるで夢でも見てたかの様な空間に取り残された俺は混乱し発狂して叫んばずにはいられなかった。

「なんなんだよー!!宮原ってだれ??

アドバイスとかしてないから、俺がやって欲しい願望を伝えただけだから。」

もはや好きなんて可愛い感情なんか残っておらず憎さ100倍になってしまった。

「くそっ、別れちまえ。リア充なんてみんな爆発しろ!!」

だが悲しい事に今回みたいな展開は初めてではない、俺は今までの人生で両想いにはならず大抵当て馬となりリア充を呪って来たのだった。

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