第七百九十八夜『竜の落とし物-repellent-』
2024/12/18「音」「化石」「業務用の可能性」ジャンルは「ラブコメ」
店内には
「本当にありがとうございます! これがもう効果
そう言うのは中年の客で、手には今しがた
「いえいえ、こちらこそ。またのご来店を心からお待ちしております」
店主の女性がそう言って
「本当に売れた……」
客の姿が見えなくなってから、
「ええ、あれもうちの自信を持って提供する
店主の女性は従業員の青年が有する
「いえ、理屈の上では分かりますが、本当に売れるんですね。竜の
ここで時間は少しだけ
* * *
「竜の糞? 竜の糞と言いましたか、今? いえ、想像上の動物だか未確認生物だかの糞ってのは、この店の事だから
従業員の青年は段ボール一杯の匂い袋を運び、
「ええ、けれどもそれは少しだけ
「獣避けですか」
従業員の青年は店主の女性の言葉を聞きつつ、段ボールの中の匂い袋を胡散臭そうに手で
「ライオンのうんちを使った薬剤の話はご存知かしら? 強い捕食者の匂いを人工的に
「なるほど、竜の糞とやらをどうやって再現したかは分かりませんが、この商品の意図は分かりました」
* * *
以上が事の
「なるほど、あの様子だと本当に
従業員の青年は感想をそう
「これは動物の被害に苦しむお客様達にとって、
しかし従業員の青年の顔は
「どうしたの? 何か気にある事でもあるのかしら?」
「えっと、ハムスターって食糞をするでもなく、自分の糞を
「ええ、そうね」
「それってハムスターの
「それがどうかしました?」
「竜の糞なんてこれまでどこにも無い物が急に現れたら、そんなの居るか知りませんけど、竜の天敵が寄ってこないかなって……」
そう口する従業員の青年に対し、店主の女性は朗らかな様子を見せていた。
「嫌だわ、竜の天敵なんて居る訳ないわ。そんな生物が居るとしたら、それこそ人類が
「それもそうですね!」
その時、
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