第七百九十四夜『あなたの足の下にあるもの-white out-』

2024/12/11「現世」「幻」「業務用の記憶」ジャンルは「王道ファンタジー」


 昔々、その昔、誰も知らない、そのまた昔のお話です。


 しんしん、しんしん、雪が降る、地球を全部真っ白に。

 積もる雪は全部を隠す、小人が殺した巨人の死体。


 初めの地球に海は無い、あるのはずーっと大地だけ。

 小人は色々欲しがった、海とか山とか、それから全部!


 あれが欲しいね、それが欲しい、これは要らない、捨てちゃおう。

 小人は巨人を討ち殺し、血で海作り、体で作った山に森、それから洞窟どうくつ丘陵きゅうりょう、沼と谷!


 しんしん、しんしん、雪が降る、巨人を全部真っ白に。

 積もる雪は全部を隠す、小人が殺した巨人の死体。


  * * *


 昔々、その昔、誰も知らない、そのまた昔のお話です。


 今でも巨人の死体はそこにある。

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