第六百四十四夜『困った時の神頼み-Nomad Mythmaker-』
2024/05/01「火」「レモン」「激しい才能」ジャンルは「童話」
書けない、ネタが無い。
書けないという苦しみが喉のすぐ上の方につかえとなり、胃はキリキリ言うし、舌の根には酸っぱい物を覚えた。
しかし、これは絶体絶命のピンチではない。
私はこの様なピンチは何度も体験して来たし、その都度乗り越えて来た。
そう、こうなったら最後の常套手段、困った時の神頼みである。
困った時の神頼みと言うと、ネガティブなイメージを抱いている人も多いかも知れないが、そんな事は無い。
何せ人間、困ったときは神様神様と助けを求める物だし、つまりは神に助けを求めるという行為は大衆の
困った時の神だよりは恥ずかしい事ではないし、人間の本能や意識の根源にあると言ってもよいだろう。
そうは言ったが、私の神頼りと言うのは少々毛色が違う。
私も先日、太陽の神の義理の息子と孫を主題にした短編を書こうと思い、何故か太陽の神の娘が出張ってきてしまい、主役を食ってしまった。
その前には、国産みの神々を主役に据えた短編を一度ならず書いている。
ある時は、原初の神を白紙の神でもあると強弁する短編を書いた事もある。
「そうだ! 隣国の王子、あいつは父親と外見が似ていないし、あいつをモデルにして主人公を書き、どこぞの天神が父親だとでっちあげてやろう! ついでに王はその事を知って王子を
* * *
時を同じくして、似た様で異なるアイディアを書き上げた作家が複数居た。
何せ困った時の神頼みは普遍的集合意識の様な物なのだ、似た様なアイディアに辿り着くのも当然と言えよう。
結果として、どこぞの天神とやらの子供が
言い換えれば、どこぞの天神は見境の無い下半身もオツムも緩いだらしの無い不倫が絶倫の姦淫野郎だとあちこちで見聞する事になった。
それだけ人間からどこぞの天神が頼りにされていた証左と言えば、それはそうなるが、しかしどこぞの天神からしたらいい迷惑である。
何より困った事に、人だろうが天神だろうが、一度ついてしまった
結果、どこぞの天神は今日に至るまで下半身のだらしない神として知られる運びとなったが、そもそもどうしてその様な神話が国内のあちこちにあるかは、それこそ神のみぞ知ると言う奴である。
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