第五百五十五夜『金太郎飴をパキリパキリと音を立てて-Attack of the clones-』

2024/01/13「神様」「観覧車」「新しいヒロイン」ジャンルは「邪道ファンタジー」


 何でも、最近は小説投稿サイトに人工知能に書かせた物が増えてきているらしい。

 このうわさの真偽そのものはともかく、私は自分で真実を確かめる事にした。


 なるほど、事実小説投稿サイトを軽く俯瞰ふかんする目的で一通り精査したところ、似た様な名前のタイトルばかりが並んでいる事が分かった。

 。これも人工知能によって書かれていると言う噂が出るだけの説得力だと言えた。

 何せ、、これが同一のフォーマットないし人工知能を用いて作った作品でないと言うのであれば、何なのだろうか?

 しかし、私は精査をした末に、これらの作品は殆ど全て人工知能によって作られた作品ではないと判断を下した。何せ人工知能では考え付くか怪しい、酷く読みづらい造語や不可解な誤用の数々が見受けられた。少なくとも一から十まで人工知能によって作られた作品ならば、あの様な人間的なミスは行なわない。例えば金星と書いてマーズ、炎と書いてファンタジーと読ませるようなルビの振り方をする人工知能を作ったら、最初から最後まで文章がおかしくなることは想像にかたくない。


「結局、噂は噂でしかない、やっかみや妬みや疑わしきは罰せよの精神の妄言に過ぎない事か……」

 私はを見て、納得するやら安堵するやら、つまらない報告に溜息を一つつき、人工知能検出ツールを閉じた。

「人間が一番怖いってのはよくある話だけど、人工知能と人間の区別がつかない人間ってのが一番怖いのかもね……」

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