第五百四十一夜『船が来る!-Invasion,Enterprise,Of the,Nemesis-』
2023/12/28「湖」「洗濯機」「希薄なヒロイン」ジャンルは「童話」
川のほとりで、少女が
少女は洗濯が
「うちにも洗濯機が有ればなあ……」
選択をしながら、そうポツリと独り言を
「ございますよ!」
背後から声がして反射的に振り返ると、そこには
「え? こ、こんにちは!
少女は脳の
「落ち着いて下さい。我々はあなた達に、ちょっとした交換条件でこの洗濯機をプレゼントしに参りました」
「交換条件ですか……?」
そう言うと襟を正した格好の男はわざとらしい咳払いを一つしてから、こう言った。
「我々の船に引っ越しをして頂きたいのです」
そう言うと襟を正した格好の男の上空に巨大な空飛ぶ
「あの空飛ぶ船に引っ越しを……?」
「ええ、しかしこの星から
そう言うと襟を正した格好の男は
少女は引っ越しを促す襟を正した男に始めは不安を覚えたが、彼のプレゼンと提示する
「素敵! でもごめんなさい、私一人で引っ越すかどうかの判断は出来ないです。うちでお母さんやお父さんに聞かないと……」
「そうですか」
襟を正した格好の男は不満がりもせず、乗って来たであろう空飛ぶ船に戻って行った。勿論、洗濯機も空飛ぶ船の中に回収するのも忘れない。
その様子を、少女は残念そうに見ていた。
少女が洗濯を終えて、村に帰ると様子が何かおかしい。普段より村の人が少なく感じられたし、その残っている村の人々も騒がしくしている。
「恥知らず共め! 俺達は何としてでも村を守るぞ!」
そんな怒号が聞こえて来て、何だか穏やかとは言い
「あの、何があったんですか? 他の人達はどうしたんですか?」
少女は控えめに尋ねたが、思い当たる節があった。そしてその返答は、彼女の予想通りの物だった。
「それがな、この村を丸ごと欲しがっている奴が来て村をくれたらドデカい集合住宅をくれてやるって言って来たんだ。冗談じゃない! 分かるか? あいつらは俺達のふるさとを売れと言ったんだ! 信じられるか? 村の若い衆は皆
少女には村に残った人々の話が頭に入っていなかった。彼女の脳内には、村の消えた人々が空飛ぶ船の中で悠々暮らしたり、空飛ぶ船の中の施設を利用したり
「今度連中がご自慢の空飛ぶ船で交渉に来たら、もう一度ガツンと拒否してやる! あんたもそう思うよな?」
「え? ええ! 早く空飛ぶ船がまた来ないかしらね? 今から待ちきれない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます