第五百十六夜『お地球見-Luna Furioso-』

2023/12/01「太陽」「鞠」「希薄な関係」ジャンルは「指定なし」


 そらを見上げると、やみの中に青い星がくっきりと見えた。今日はだ。

 住民達は皆そろって宙を見上げ、真ん丸の地球を見ながら地球見団子を食べていた。何せ、そうするのが彼等にとって風流だったのだ。

「今日は地球が綺麗きれいですね」

「ええ、あんなにも地球が大きく見えるのは久しぶり」

 住民達は互いに額を寄せて、はなをひくつかせつつ、月面でのんびりと雑談ざつだんをしていた。中には興奮こうふんの余り、耳をピンと立てるものも見受けられた。

「あんなに青くて綺麗な星なら、地球のウサギも楽しく暮らしているのかな?」

 月の住民の誰かがそう言うと、別の住民がたしなめる様な口調で自信満々じしんまんまんで言った。

「とんでもない! 地球が青いのは、一面水だらけだから! あんな水しか無い星では、とてもウサギは生きてはいけない! 知らないけれど、そうにちがいない!」

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