第五百九夜『不便な植物-The Day of the Nepenthaceae-』
2023/11/22「花」「メリーゴーランド」「業務用の小学校」ジャンルは「ラブコメ」
部屋で
「ええい、
俺は殺意を隠そうともせず、手のひらと手のひらを
俺の部屋は何故だか蚊やハエが出る。
「クソクソクソクソッ、殺してやる!」
俺はムキになって羽虫を
そんな不毛な
「やれやれ……」
俺がコンピューターに再度目を落とすと、動画投稿サイトはアニメの再放送を流していた。俺が子供の時からやってるアニメで、
『
モニターの中では悪の組織のドジで憎めない幹部が、自分で飼っているウツボカズラやハエトリグサの
「そうか、コレだ!」
俺の脳内にはこの状況を打破する
そうと決まれば善は急げ、俺は早速目的の店へと向かう事にした。
俺が辿り
「すみません、ウツボカズラって売ってますか?」
俺は嬉々として、ウェーブのかかった緑の
俺のこのアイデアが浮かんだのは、言うまでも無く
「ええ、ございますよ。どの様なウツボカズラをお求めですか?」
そう言うと店員さんは、手元から
「ええと、匂いが強くて虫をよく捕まえる奴が欲しいです。それから、丈夫で枯れにくいと嬉しいです」
「それならば、このツボウツボカズラなんてどうでしょう?」
店員さんは器用に端末を操作し、俺に対してウツボカズラの写真と値札と在庫数を見せてくれた。はっきり言って、俺はウツボカズラに関してふんわりとした
「分かりました、ではそれを一株頂きます」
「はい、承りました」
店員さんはそう笑顔で言うと、端末を更に操作して俺に対して見せた。
「ではウツボカズラに
店員さんは
「待って、待ってください! 俺はただウツボカズラに家で蚊やハエを食べてもらえれば、それで良いんです!」
こんな訳の分からぬ電気で動くジョウロや、ドデカい照明やら、そこらの土と何が違うのかとんと分からぬ土に水なんて買わされたら
「何を言っているんですか!」
俺の制止に対して店員さんはピシャリとした口調で、俺を叱った。
「ウツボカズラは高温多湿の地域の植物なんですよ! 普通の土や水だと乾いて死んでしまいます! そもそも食虫植物と言うのは、土だけでは充分栄養が
「えっ? 虫に食い破られる……?」
俺は自分で自分の耳を疑い、思わず聞き返した。何せウツボカズラが虫に食い破られると言ったのだ、まるでネコがネズミに食い殺されるかの様ではないか。
「ええ、そうです。ウツボカズラの消化液は一種の果汁の様な物で、水が不足すると十分に消化液を作れなくて捕らえた虫を消化できません。それから土に栄養剤を打つのもほどほどに、土が栄養豊富だと今度は虫を捕らえる
俺の口にした疑問を聞き、店員さんは増々
俺の脳内には、件のウツボカズラとハエトリグサに
(全く、こんな努力を絶え間なくしているのならば、食虫植物の方も懐くと言う訳だ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます